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【ゲイと女の5点恋愛術】ISSUE6(最終回):恋愛に興味がないのは異常なの? 恋愛=“世間からの呪い”説 恋愛至上主義に屈しない方法とは?

  • 2022.11.9
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ネオおばさん世代の恋の悩みを解決!

人気Poscast番組「ゲイと女の5点ラジオ」パーソナリティーのヴァジャ&しょうちゃんによる出張恋愛保健室。最終回の本記事では「恋愛って何!?」を大激論!/イラスト:MOMOKO YAMADA
人気Poscast番組「ゲイと女の5点ラジオ」パーソナリティーのヴァジャ&しょうちゃんによる出張恋愛保健室。最終回の本記事では「恋愛って何!?」を大激論!/イラスト:MOMOKO YAMADA

人気Podcast番組「ゲイと女の5点ラジオ」パーソナリティーのしょうちゃん(ゲイ)とヴァジャ(女)による出張恋愛保健室がオープン! 妻でも母でもなく、ターゲットとされる雑誌もない。属性のない私たち“ネオおばさん”が、自意識をこじらせながらも、偏見と妄想のなかに笑いと正論を交えて、同世代の皆さんの恋愛のお悩みに誠心誠意お答えします! 100点満点中、なにかと5点の私たちではありますが、ご容赦ください。

お悩み:恋愛していない自分はおかしいの?

5点ネーム「ときめきを忘れたゲイ」さんからのお悩み、セクシュアリティに関係なく世間を圧倒する恋愛至上主義と自分とのギャップに悩んでいる。
5点ネーム「ときめきを忘れたゲイ」さんからのお悩み、セクシュアリティに関係なく世間を圧倒する恋愛至上主義と自分とのギャップに悩んでいる。

5点ネーム:ときめきを忘れたゲイさん「20代ゲイですが、恋愛をしたいと思わない自分に悩んでいます。「彼氏いるの?」「いい人いないの?」「すぐ彼氏できるよ!」といった会話が苦手で、ゲイ社会に限らない世間一般の恋愛至上主義的なムードに尻込みしています。恋愛がテーマの作品を見たり、他人の恋愛話を聞いたりするのは好きですし、性欲もそれなりにある、一人のさみしさを感じることもありますが、我慢してまで誰かとお付き合いしたいとは思いません。恋愛って人生の必須科目的な位置づけですよね? 恋人がいることが普通で、長期間いない人は人間性に問題がある……そんな風潮がつらいです」

しょうちゃん:私はどちらかというと彼と逆で、性欲はそんなにないけれど恋愛欲は強いほう。だから心底共感することは難しいかもしれないんだけれど、この「性的欲求がなくはないが、恋愛感情を持てない自分はおかしいんじゃないか」って心配になる気持ちは分かる。ゲイかつ恋愛に興味がないなんて、マイノリティの中でもさらにマイナー区分に属することへの恐怖心みたいなのがあるのかも。

ヴァジャ:恋愛ってそもそも何なんだろうね? 学生時代とかだと、誰かに対してときめきを感じるとか、目が合ってドキッとするとか、会話を交わしてキャーキャー騒ぐとか、鼓動が高鳴る感覚が常にあると思うの。そういうときめきとかドキドキが、いわゆる恋愛感情なのかな?

しょうちゃん:私の場合は、世間的にどうとかじゃなくて、心穏やかに過ごせる人といつも一緒にいたいって思っているから、パートナーには常にいてほしい。だから、相手に対してドキドキする感情が恋愛なのだとしたら、当てはまらないかも。すっぴんを見せるとか、オナラを隠さないとか、部屋着でダラダラするとか、そんな人間関係を末永く築くことが、自分にとっての恋愛かな。

ヴァジャ:セクシュアリティの分類と一緒で、恋愛にも考え方やスタイルがいろいろあって、細分化できると思う。ひと言で表現しようとするから困惑する人が出てくるのよ。

しょうちゃん:よく「長く付き合っていたけれど、ドキドキすることがなくなったから別れた」っていう人がいるけれど、私にとってはとんでもなくびっくりする話。それってISSUE:5の「恋に恋するノンセク女」さんの、性行為をしたくない女がセックス好きな男と別れた話と同じで、私みたいにドキドキしたくない人と、いつもときめいていたい人が付き合っても、結局うまくいかないよね。

ヴァジャ:昔、とある偉い先生の恋愛文学講座を受けたことがあるんだけれど、すごく楽しみにして行ったのに「そもそも恋愛なんて概念は存在しないので、恋愛に夢を抱いている人は今ここで帰ってください」って最初にピシャッと言われて驚愕(きょうがく)したのね。でも講座の内容にはすごく学びがあって、相手と初めて交流する時の緊張感みたいなものを、単に恋愛感情って呼んでいるだけかもしれないと思うようになったの。何事も初体験ってドキドキするじゃん。人間相手だったらなおさらで、目が合う、手が触れる、仲よくなる、一緒に帰る、初デート……とかさ。

しょうちゃん:“つり橋効果“っていうのもあるよね。ピンチや試練を乗り越えていく2人に芽生える愛みたいな。不安や恐怖を強く感じる状況で出会った人に対して、恋愛感情を抱きやすくなるとかいう現象。絶叫系のアトラクションに一緒に乗ると恋愛成就するなんてジンクスとか。

ヴァジャ:でもそういうのを一通り経験して、さらに何人ともデートするようになったら慣れてくるじゃん。20歳を過ぎて場数を踏むようになると、映画館で隣同士に座っても、手をつないでも、ドキッとはしなくなる。一目ぼれとかもしなくならない? 「恋愛感情は3年で終わる」っていうのは一理あると思う。

恋愛こそが“世間からの呪い”である可能性!?

恋って何? 甘いもの? ドキドキしたりときめいたりする感情? 結婚・出産までのプロセスの一環? 考えれば考えるほど袋小路にハマる/イラスト:MOMOKO YAMADA
恋って何? 甘いもの? ドキドキしたりときめいたりする感情? 結婚・出産までのプロセスの一環? 考えれば考えるほど袋小路にハマる/イラスト:MOMOKO YAMADA

ヴァジャ“恋愛=世間からの呪い”説も成立する気がする。だって恋愛しないと、結婚もしないし子供もできない。少子化一直線になって人口が少なくなれば税金の徴収先が減るし、国が繁栄しないじゃん。もしかしたら秘密結社みたいな恋愛推奨組織が、水面下でこっそりエンタメ業界に圧力をかけていて、あらゆる映画とかドラマとか音楽とか漫画とかがこぞって「みんなー! 恋愛あるよー! とってもステキなことなんだよー!」って旗を振っているのかもしれない。

しょうちゃん:確かに、恋愛コンテンツは世界中どこに行ってもめちゃくちゃ大量にあるし、なぜかみんな「恋愛ってステキなんだ! 幸せになれるんだ!」って思い込んでいる節はあるよね。でもさ、仮に、恋愛の最終目的が、子供を作って大人になるまで育て上げることだとすると、国民の性欲を満たしてあげるほうが、目的達成のためにはストレートなアプローチじゃない?

ヴァジャ:だからって「ハイみなさん、性欲に忠実になりましょう!」って政府から大っぴらにお勧めされても、国民はドン引きするじゃん。美しくないし、犯罪にもつながりかねない。だから“ステキな恋愛”を隠れみのにして、実は結婚とその先にある子作りを推奨してるんじゃないの……私たち、国家の思惑に気がついちゃったんじゃないの!?

しょうちゃん:だけど、ノンセク女さんみたいに「恋愛感情はあるけど性欲はない」って人も一定数いるわけじゃん。「恋愛感情がないことを社会から責められているようでつらい」っていう、「ときめきを忘れたゲイさん」のお悩みと、根っこでつながっているのかもね。恋愛しなきゃってみんなが焦り出すタイミングっていつなんだろう?

ヴァジャ:外野からプレッシャーを受けた時だと思う。友達がいない、ドラマや映画を見ない、音楽も聴かない環境にいると「恋愛しよう!」と思わないんじゃない? 友達に「最近どうよ、恋してる?」とか聞かれて初めて「彼氏、やっぱりいたほうがいいのかなー」って思っちゃう。そしてアプリとかインストールしてみるわけよ。

しょうちゃん:相談にある「恋人が長期間いない人は人間性に欠ける」なんていう見解は絶対に許されないんだけれど、まあ確かに、彼氏いない歴が長くなればなるほど“事故物件”扱いしてくる人はいるよね。

ヴァジャ:でも、パートナーが欲しいけれどできない人、彼氏彼女はあえて作らない人、あえて結婚しない人、いろんな人が現実にはいるわけじゃん。こういう社会こそ、世間が目指すところのダイバーシティっていうんじゃないの?

恋愛しなくても、恋愛話の聞き専にはなれる

自分ができないことで悩むより、できることを伸ばすほうが得策! 他人の恋愛話にトコトン付き合うプロフェッショナルを目指すのはいかが?
自分ができないことで悩むより、できることを伸ばすほうが得策! 他人の恋愛話にトコトン付き合うプロフェッショナルを目指すのはいかが?

しょうちゃん:どうしよう、恋愛の定義づけもうまくまとまらないし、「恋人って何?」って話にもなってきた……この話、永遠に終わらないね。

ヴァジャ:でも、今ここで私たちが答えを出したら、ノーベル平和賞をいただくレベルの難題よ!? 何を恋愛とするかなんてその人の価値観次第でよくて、それがたとえ世間一般の見解から外れていたとしても「自分が幸せかどうか」「自分がその人と一緒にいたいか」「自分がその人とどうなりたいのか」「相手もそう思ってくれているのかどうか」が恋愛なんじゃないですか……知らんけど。

しょうちゃん:ちょっと、ここで華麗に2022年の流行語を駆使してこないでよ! でも、ときめきを忘れたゲイさんの「恋愛をテーマにした作品を見たり、他人の恋愛話を聞いたりするのが好き」というキャラクターはとても素晴らしいから、そこを大切にした方がいいと思う。だって私、他人の恋愛話なんてこれっぽっちも興味ないもの。恋バナを聞いてくれる人ってだけで、世の中の大勢の人にとってものすごくありがたい存在のはずよ。

ヴァジャ:その世界のトップを極めている人って、どんなに狭い業界でもすごいから、ときめきを忘れたゲイさんにはぜひ、他人の恋愛話を聞くスペシャリストになってほしい。いっそ「あなたの恋愛話をひたすら聞きまくります!」っていうPodcast番組を始めたらどうかな? きっとお便りがいっぱいくるだろうから、延々と読み続けるだけでいいの。そして「恋愛トークをすごく親身になって聞いてくれる、とんでもなくいい人」というポジションを築こうよ。

しょうちゃん:24時間365日、恋愛の悩みに寄り添ってくれるなんて神様じゃん! 神様に対して「最近(恋は)どうよ?」なんて聞いてくる失礼な奴はいないだろうし、「ずっと彼氏いないからあの人おかしいよ」なんて陰口もたたかれなくなるよ。自分の悩みを聞いてくれる人の人間性を疑う人なんていないからね。共感も集まるし、いつか優良コンテンツとなってマネタイズもできるかも。

ヴァジャ:私たちもノリでPodcast番組を始めたし、スマホ1台あればできる。単発でも不定期でもいいから、なんらかのコンテンツとして発信したら、きっと何人かからリアクションはあるよ。そしたら世界がすごく広がると思います。ぜひやってみてほしいですね。

人気ポッドキャスターがネオおばさん世代の恋のお悩みを一緒に考える恋愛コラム連載「ゲイと女の5点(でも愛されるための)恋愛術」は今週の回で、いったんファイナルを迎えました。次回、どこかでお目にかかれるのをお楽しみに!

(@okishimagazine)

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