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【上野】日本初公開のピカソ作品35点と出会える「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」

  • 2022.11.6
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ドイツ生まれの稀代の画商ハインツ・ベルクグリューンが、パリで画廊を経営しながら、収集した世界有数の個人コレクションの初来日「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」 絶賛開催中です。まだ見たことのないピカソ作品35点を含む76点が日本初公開!芸術の秋、注目の美術展です。

出典:リビング東京Web
稀代の画商が厳選した20世紀美術コレクション

画商としての経験と人脈を生かし、自身の嗜好と鑑識眼によって作品を収集したベルクグリューンは、作品だけではなく、芸術家の人となりにも深い関心を持って親交を深めながら一貫性のあるコレクションを作り上げたのだそう。

最終的に画商が最も敬愛したという同時代の4人の芸術家に重点を置いたというこのコレクションから精選した97点に、日本の国立美術館所蔵・委託作品11点を加えた108点が一堂に会する貴重な美術展となっています。

出典:リビング東京Web
まだ見たことのないピカソ作品が35点も!

構成は序章+7章で、2章から4章ではピカソに注目した展示。ピカソに心酔していたベルクグリューンは、画家本人とも交流しながら作品収集に没頭したことから画業の各時代を代表する名品が紹介されています。

出典:リビング東京Web

ベルクグリューン展の展示会カタログ(国立西洋美術館研究資料センター所蔵)

2章「ピカソとブラック:新しい造形言語の創造」では、青の時代の後期に描かれた「ジャウメ・サバルテスの肖像」、バラ色の時代の「座るアルルカン」など、有名なピカソ初公開の作品をたどりながら、ジョルジュ・ブラックとの緊密な対話から20世紀の美術に重要な刷新をもたらした“キュビズム”の展開は見どころの一つと言えそうです。

4章「両大戦間のピカソ:女性のイメージ」では、自分を取り巻く女性たちを描き続けたピカソのいくつもの作品の中に、個人的な様々な感情の他に戦禍や社会的な状況も深く影を落としています。コレクションを代表する「大きな横たわる裸婦」は、第二次世界大戦中のピカソの最も重要な作品だそう。圧巻です。

出典:リビング東京Web

4章「両大戦間のピカソ:女性のイメージ」展示風景、手前から)パブロ・ピカソ「座る女」「黄色のセーター」ベルリン国立ベルクグリューン美術館

作品に調和して引き立たせるアンティークの額を探しに奔走していたというベルクグリューンのユニークな発想の”額選び”にも注目してみてください。

「ヨーロッパの近代芸術は、大きく日本からの影響を受けている。それがなければヨーロッパの近代アートが発展することはなかっただろう」と語ったのは展覧会を企画したベルリン側キュレーターの一人で、ベルリン国立新ナショナルギャラリー副館長のヨアヒム・イェーガー氏。今回の展覧会は、ベルクグリューン美術館の改修を機に開催が決定したものだそうですが、最初に日本で開催できることは非常に意味深いことなのだそうです。

最も敬愛した4人の芸術家に焦点を

この展覧会の大きな見どころとしては、パブロ・ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティというベルクグリューンが敬愛した4人のアーティストを重点的に収集したコレクションだということ。4人いずれもが多くの影響を受けた近代絵画の父と言われるセザンヌの作品「セザンヌ夫人の肖像」なども展示されています。

5章「クレーの宇宙」ではピカソのキュビズム絵画に影響を受けたというクレーの35点の作品が展示されています。6章「マティス:安息と活力」では、印象的な切り絵を中心に躍動感あふれる20世紀の巨匠マティスの作品に魅了されます。まだ切り紙絵の進化が認められていなかった時代に、べルクグリューンはその展覧会を開催して世間の評価を促したそうです。

出典:リビング東京Web

5章「クレーの宇宙」展示風景、左)パウル・クレー「植物地窓のある静物」ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託、右)「ネクロポリス」ベルリン国立ベルクグリューン美術館

出典:リビング東京Web

4章「マティス:安息と活力」展示風景、手前より)アンリ・マティス「ドラゴン」ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託、「植物的要素」ベルリン国立ベルクグリューン美術館

最終章の「空間の中の人物像:第二次世界大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ」では、人物像をテーマとした第二次世界大戦後のピカソ・マティス・ジャコメッティの作品が展示されています。開放的な一つの空間の中で、3人の際立つ個性が共存する興味深い空間を体感できます。

出典:リビング東京Web

7章「空間の中の人物像:第二次世界大戦後のピカソ・マティス・ジャコメッティ」展示風景

音声ガイドのナビゲーターは長谷川博己さん

展覧会をより魅力的に紹介してくれる音声ガイドのナビゲーターは長谷川博己さん。「見る方の邪魔をしないよう、寄り添える形でできたら…」というご本人の意図通りに静かな語り口で語りかけてくる長谷川さんの音声ガイドは必聴です。

ミュージアムショップで購入したものたち
出典:リビング東京Web

購入品。今回はかなり我慢したつもりですが

展覧会と同様にミュージアムショップをチェックするのも楽しみの一つ。今回も充実した品揃えです。まず目についたのは、青山デカーポの「ドイツ缶」(1,188円)。ふた部分には民族衣装、サイドに城・プレッツェル・車などドイツ文化のアイコンたちを散りばめた缶入りのお菓子。内容はアップルクランチといちごチーズクランチの2種のグルテンフリー&低糖質のチョコレートクランチです。

出典:リビング東京Web

カタヌキバウムの「ピカソとその時代」展限定商品(各756円)は、アンリ・マティス「雑誌ヴェルヴ第4巻13号の表紙図案」とパウル・クレー「子どもの遊び」の図柄。定番のポストカードのほか、マグネットや複製画なども人気だそう。図録は間違いなく読み応えありです。

出典:リビング東京Web
出典:リビング東京Web
出典:リビング東京Web
出典:リビング東京Web

今回の展覧会は、ベルクグリューン美術館の改修を機に開催が決定したものですが、2つの戦争の影響が影を落とすという時代的背景の中、時代を超えて人々の心を揺り動かす作品の数々。芸術の秋です。稀代のコレクターが選んだ20世紀の巨匠たちの貴重なコレクションに出会ってみては?

※会場内の写真は許可をいただき撮影したものです。

ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 会期:2022年10月8日~2023年1月22日 会場:国立西洋美術館 住所:東京都台東区上野公園7-7 電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 開館時間:9:30~17:30(金土~20:00)※入館は閉館30分前まで 休館日:月曜(2022年10月10日、2023年1月2日、1月9日は開館)、2022年10月11日、12月30日〜2023年1月1日、1月10日 料金:一般 2100円 / 大学生 1500円 / 高校生 1100円 ※混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)を導入。詳細は展覧会サイトへ 公式HP:https://picasso-and-his-time.jp

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