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いちいち命令しなくても、部下が上司の思い通りに動いてくれる「魔法の会話法」5つ

  • 2022.11.3
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自分の話ばかり、話が止まらない人は、信頼されるリーダーになれない? 基本的な傾聴スキルを学び、部下に支持される上司になる。

オフィスで仕事をする女性たち
※写真はイメージです
部下を生かすも殺すもリーダーの聞き方次第

部下が指示待ちで主体性がない、上司として信頼されている気がしない……その悩みの原因は話の「聞き方」にあるかもしれません。部下の話を最後まで聞かずに途中で遮ったり、自分の意見を一方的に押しつけたりすると「この人は自分のことばかりで話を最後まで聞いてくれない、認めてくれない」と部下の心に不信感が芽生え、上司への好意はもちろん、やる気も失ってしまいます。職場のコミュニケーションの質はリーダーの聞く力=傾聴力にかかっていると言ってもよいのです。

傾聴力は、グローバル企業が覇権をふるう現状では重要なスキルの1つと考えられています。多文化共生の職場環境で人の話がきちんと聞けない、他人を理解する力がない管理職ではそもそも仕事になりません。どんな背景を持った人も理解し、十二分に実力を発揮してもらう。極論を言えば、マネジメントの役割は、部下の力を引き出し、それぞれが結果を出せるようサポートすることに尽きるのです。

人の話を最後まで黙って聞けない理由

「つい人の話の腰を折ってしまう、最後まで話を聞けない」という場合、原因は自分にばかり意識が向いていることにあります。人は話を聞くとき、この話は自分にとってどんなメリットがあるか、正しいかどうかに気を取られているのです。つまり、黙って人の話が聞けないのは、「自分本位」な聞き方をしているからなのです。

ですが、相手のことを理解するために相手に意識を向けると、最後までしっかりと話を聞くことができます。相手の視点に立つことで理解も進みますし、傾聴の姿勢で話を聞いてもらった人は「自分は受け入れられている」と感じ、聞き手に対する安心感が増すものです。こうした「聞き方」を身につけることで、上司と部下の間に信頼関係が生まれ、部下はのびのびと仕事に取り組めるようになります。

聞くべきことは話の内容だけではありません。言葉だけではなく、表情や声のトーン、手の動きなど非言語に表れる相手の感情にも注意を払い、受け止めましょう。表情が見えるように体ごと向き合う、目線を合わせるなどの傾聴ポーズをとることは極めて大事なポイントです。多忙な時期など、部下の話をPCに向き合ったまま聞くことがあるかもしれませんが、要注意。上司が聞く姿勢をとれていないと、部下は自分の感情を無視されていると感じ、きちんと話を聞いてもらった気がせず、内心失望しているかもしれません。上司の理解もあやふやになり、「言った、言わない」などと、トラブルに陥ることにもなりかねません。

指示命令をせずに部下の力を引き出す方法

傾聴力があるリーダーのチームでは、指示命令をしなくても、主体的に部下が動いてくれるようになります。リーダーが部下を信じ、話しやすい場づくりをすることで、どんな意見を言っても受け入れてもらえる安全・安心な場が生まれ、部下の可動域が広がるからです。さらに部下の主体性を発揮させるために、部下が話す内容だけではなく、感情もしっかりと受け止めながら、相手に考えさせるような質問を適宜投げかけていきます。指示命令は楽ですが、部下の主体性が損なわれ、「指示待ち部下」を生み出してしまいます。

聞き上手の心得5

変化の激しい予測不能な時代で生き残るには、上下関係の権威を軸にしたマネジメントでは変化のスピードについていけません。水平関係の横のつながりをいかして、さまざまな意見やアイデアを瞬時に共有し合えるような場が、変化に迅速に対応するためにも、とても重要になります。業種によっては古い体質の企業もあるでしょう。それでも若いリーダーが自分から改革していくことはできます。まずは時間を見つけて部下に声をかけ、雑談などの機会をいかして、部下のことを少しでも理解しようと行動することで、職場の雰囲気が変わってくるはず。草の根であってもできるところから始めることが肝心です。

特に女性リーダーは数の上では少数派なので周囲から反発や誤解を受けやすく、男性リーダーや部下から注目が集まりやすいもの。常に厳しい視線を感じていると強引なリードをしてしまい、孤独感が募り、悪循環に陥ることもあります。しかし傾聴力を磨いて、周囲を味方につければ、いろいろな意味で仕事がやりやすくなります。部下との信頼関係を深め、チームの活性化をはかるためにも、後輩女性に魅力あるロールモデルを示すためにも、まずは傾聴の基本ノウハウを確認し、慕われる上司をめざしましょう。

3つの傾聴ステップで仕事が回る、指示待ち部下が変貌する

部下が動かない、仕事がうまく回らない……原因はリーダーの傾聴力不足かも。「聞いているつもり」を検証して、部下の話に正しく耳を傾ける上司になる。

【step 1】「聞く」とは何かを理解しよう
相手を理解するには、話を聞くことしかない

「傾聴」とは能動的に人の話を聞くことで、その人を理解し、認める行為にほかならない。相手の承認欲求が満たされると、聞き手との間に信頼関係が生まれる。

相手を理解するために話を聞く「傾聴」は、2つの要素から成り立つ。ひとつは言葉によるメッセージを受け取り、話の内容を理解すること。もうひとつは話し手の表情やしぐさ、声のトーンなどから非言語の情報を受け取り、相手の感情や心の状態も一緒に受け止めることだ。

漫然と聞いているのとは違い、相手に意識を集中しないと聞きもらしてしまうためエネルギーがいるが、上達すると観察力がアップし、話を聞くだけで、部下のコンディションがわかるようになる。僅差でも普段と様子が違うことに気づければ、声かけなどのサポートができ、トラブルを未然に防ぐことにもつながる。

あなたの「聞く力」を自己チェック
【step 2】基本の「傾聴ポーズ」をマスターしよう
傾聴ポーズを整えて、話し手への興味・関心を

忙しい最中に話を傾聴するには、マインドとともにポーズも切り替えると、聞き手のスイッチにもなり、話し手に興味・関心が伝わって効果的だ。まずはそれまでの作業をいったん中断し、相手に意識を向けるために顔と体を相手のほうに向けること。腕や足を組んだり、手を握ったり、頬づえをついたりすると聞いていない印象を与えるので、両手は軽く開き、脚も自然にそろえておく。

目線は合わせるのが基本だが、あまりまともに目を見つめると緊張するので、鼻のあたりを温かみのあるやさしいまなざしで見ること。オンラインの場合は、カメラ位置を調整し、相手を見下ろす感じにならないように注意してフラットな関係性をくずさない心がけを。不思議なことにポーズを整えるだけで相手の話が弾み、充実した時間が共有できる。

基本の「傾聴ポーズ」をマスターしよう
【step 3】傾聴の初歩テクニックを学ぼう
相手に好奇心を持ち、コントロールを手放す

話を聞きながらも自分の都合ばかり考えていると相手は聞いてもらった気がしない。相手の視点に立って傾聴するには、相手を尊重し、好奇心を持つことだ。まず話の内容をジャッジしないこと。途中で意見がある場合もひとまず横においておき、話の途中で口を挟まずに最後まで黙って耳を傾ける。相手を観察し、非言語のメッセージにも注意を払い、感情の推移にもついていく。話を聞いている間はしかるべきタイミングで相づちを打ち、聞いていることを態度で示すことも忘れずに。慣れないうちは「意識は相手に」「ジャッジしない」など傾聴のキーワードをメモにして手元におき、確認してから話を聞くとよい。

人の話を集中して聞いていると、思いもよらない考え方に出合えるし、課題を解決するヒントをもらうことも多々ある。「違うな」と思うことの中にさえも、得るものがある。傾聴は話す人だけでなく、聞く人の世界も豊かに広げてくれる技術なのだ。

聞き上手の心得
明日から実践できるコーチングの基本

部下と信頼関係を築ける、傾聴力のトレーニングにもなる部下のやる気やアイデアを引き出すワーク。

【やってみよう】「10分間1on1」信頼関係を築く対話ワーク

“1on1”を敬遠するリーダーは多い。本格的に導入するには専門知識が必要で、所要時間も最低1時間を要するためだ。しかし部下との信頼関係構築のためだけに限定的に応用できる方法がある。“10分間1on1”だ。お互いに苦手意識があり関係が希薄な部下と1対1で関係を改善する目的なら雑談に終始してもコミュニケーションの方法として試す価値はある。場所や時間の確保が難しい場合は、対面ではなくリモートでも効果は変わらない。

1 準備

基本姿勢は「相手には無限の可能性がある」という考え方。上司はこれを踏まえて部下と二人きりになれる場をもうけて向き合う。その際は職務上の上下関係を外し、相手のありのままを受け入れる姿勢で傾聴すること。あくまでも自分の関心事ではなく、相手が話したいことを聞く姿勢が大事。

2 自己開示

話しやすい場にするために雑談を交え、お互いのことが少しでも理解できるように自己開示していく。そのあと部下が話したいテーマを1つ決める。「学生時代にがんばったこと」など仕事以外のプライベートなことでもよい。ただし詮索はしないこと。また自由に話せるように守秘義務は厳守する。

3 相手の感情を聞く

部下にテーマについて5分程度話してもらうが、上司は話の内容だけでなく、特に非言語メッセージに意識を向けて傾聴する。相手の感情を理解する訓練になり、傾聴力を鍛えることができる。話を聞きながら、相づちを打ったりうなずいたりして「聞いている」という態度を示すことで相手の安心感が増す。

4 振り返り

最後の1~2分で振り返り。上司、部下ともにお互いに感じたことや気づいたことについてざっくばらんにシェアし合う。その際、否定的なコメントは基本的にしない。建設的なコメントをし合うことで信頼関係が深まる。これを2週に1回程度3カ月ほど行う。相互理解が深まれば信頼度が増す。

部下の力を引き出す7つの項目

傾聴力があれば部下との信頼関係は構築できるが、ただ話を聞ければいいわけではない。どうしても必要な場合を除いて指示命令は極力しないようにする。部下の能力を引き出し、主体性を発揮してもらうには、指示命令ではなく、7つの項目による質問によって「どうしたらいいのか?」を部下に自ら考えさせ、自分で答えを導き出す力を身につけさせることが重要。質問して考えさせることによって、自走型のチームに育っていく。具体例は以下に。

部下が自ら動き出す対話例
部下の主体性をそがない、軌道修正法「愛のツッコミ」とは

上司が指示命令をせず、部下の主体性をそがずに間違いを軌道修正するにはどうしたらいいか。1度は「なるほど」と認めた後、ツッコミを入れることだ。上司が間違いを正して従わせるのではなく、不具合箇所や疑問について質問することで問題点を明確にする。部下が説明をしていく中で自ら矛盾や間違いに気づき修正してくるまで、上司は根気よくひたすら大きな愛をもってツッコミ続けることが大切。

構成=モトカワマリコ イラスト=谷山彩子

國武 大紀(くにたけ・だいき)
エグゼクティブコーチ
組織変革コンサルタント。Link of Generation代表取締役。銀行、JICA(国際協力機構)を経て留学後、外交官に従事。コーチング、リーダーシップ開発や組織変革を専門に活躍。近著は『その「ひと事」でチームが変わる 最高のフィードバック』(大和書房)。

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