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「出産育児一時金」が増額…それでも出費がかさむカラクリとは?

  • 2022.10.23

政府は2023年度から出産育児一時金の増額を発表しました。一方で、かえって出産費用が増えることも懸念されています。本記事では、出産費用の負担増が懸念されているのはなぜか、そして出産費用が足りない時に使える公的制度について解説します。

■42万円もらえる出産育児一時金とは

出産育児一時金は子どもを出産した人に対して(国民)健康保険から支給される給付金です。支給額は原則として1児につき42万円(一部、40万8,000円の場合あり)です。

これは正常分娩には保険がきかないためで、出産に要する経済的負担軽減を目的に、1994年に創設されました。ちなみに創設時は、当時の国立病院の平均分娩料を根拠とした30万円でした。その後、出産費用の増加につれて、出産育児一時金も35万円、38万円、42万円 と順次上がっています。

■多くの人が42万円では賄いきれていない

令和元年における厚生労働省のデータによると正常分娩の 出産費用の全国平均は約46万円です。地域によっても差があり最も高い東京都の平均費用は約53万円、最も安い沖縄県は約34万円でした。

以下のような場合は、通常の分娩より費用が上乗せされるケースが多い傾向です。

・無痛分娩:通常+5万~10万円
・帝王切開:通常+7万~20万円
・双子の出産:通常+20万~30万円

妊娠や出産は「病気」ではないため、健康保険が適用されず全額自己負担です(帝王切開など例外あり)。

■出産育児一時金が増えても出産費用負担はさらに増加する?

正常分娩は自由診療で、料金は医療機関の裁量に任されています。それもあり、エステや豪華な食事など、より快適・安心な出産サービスにかかる料金や入院予約金といった、本来の分娩費用以外の料金を徴収する施設が増えています。

もともと出産育児一時金は分娩費用をもとに金額設定されているため、分娩方法や医療機関のサービスによって、差額分はますます増える傾向にあります。

■出産の費用が足りない時に利用できる公的な制度

出産育児一時金などを利用しても費用をまかなうのが難しい場合は、以下のような制度もあります。

●入院助産制度

お金が足りなくて困っている妊婦さんのために 自治体が出産費用の全額または一部を負担してくれるのが「入院助産制度」 です。

ただし「自治体が指定する病院で出産する必要がある」「住民税が非課税の世帯」など収入要件がある等の制限はあります。利用できれば費用負担がかなり軽くなるでしょう。

自治体の福祉窓口や保健福祉センターなどで申し込めます。

●出産費貸付制度

加入している健康保険で「出産費貸付制度」を利用できる場合があります。

詳細は、健康保険ごとに異なりますが貸付上限額が30万~40万円程度に設定されていることが多く 無利子でお金を借りられるのが特徴です。

■育児・教育にもお金がかかる!早めの対策を

出産には、「出産育児一時金」の他にも「出産手当金」や「育児休業給付」といった支援制度もあります。自治体によっては、独自の支援策を用意していることもあるので市区町村の公式サイトや広報誌などで確認しておくとよいでしょう。

ちなみに出産してから子どもがひとり立ちできるようになるまでの費用の目安は「約2,000万~4,000万円(年間約100万~200万円)」ほどといわれています。子どもにお金がかかり始める前に家計管理をマスターして、お金の不安を解消しておきたいですね。

文・fuelle編集部

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