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清原果耶、「霊媒探偵・城塚翡翠」で新境地へ “定番ヒロイン像”に染まらない“透明感”

  • 2022.10.17
清原果耶さん
清原果耶さん

俳優の清原果耶さんが主演を務める新連続ドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」(日本テレビ系、毎週日曜 午後10時30分)が10月16日よりスタート。自然体な演技に定評のある清原さんが霊視能力を駆使して難事件を解決に導くヒロインを演じます。

「おかえりモネ」百音、「ファイトソング」花枝… “定番ヒロイン像”を覆す魅力

清原さんが主演を務め、2022年1月期に放送された連続ドラマ「ファイトソング」(TBS系)の第2話で、清原さん演じる木皿花枝が「いらないです。付き合わない?とかそういうの。そういえば、女の子が喜ぶんじゃないかなとか思ってるならマジでいらないです」というセリフを吐きました。

同作は、不慮の事故により夢を絶たれた元空手選手の花枝と、一発屋でクビ寸前のミュージシャン・芦田春樹(間宮祥太朗さん)が偶然出会うところから展開されるヒューマンラブコメディー。それまで全く接点のなかった2人を結びつけたのは、芦屋がかつて所属していたバンドのヒット曲「スタートライン」でした。

それは花枝の亡き母が大好きで、花枝自身も試合前に必ず聴いていた勝負曲。その作者が芦屋であることを知り、花枝は感動しますが、直後に芦屋から「俺と付き合ってくれない?」と提案され、上記のセリフを投げかけるのです。

従来のラブストーリーだったら、そこで胸をときめかせるヒロインの姿が描写されていたはず。でも現実問題、いくら憧れのミュージシャンといえども出会ったばかりの男性に告白されたら多くの女性は不信感を抱きます。

そこには「女の子はみんな少女漫画みたいな展開が好きでしょ?」という安直な発想とあざとさがあり、それに対してキッパリとNOを突きつけるのが花枝。2話以降も、いきなりキスしようとしてきた芦屋に拳をお見舞いしたり、必死で思いを伝えようとしてくる彼をとある理由から拒否し続けたり、とにかく一筋縄ではいかないキャラクターとして描かれていました。

そんな花枝に対し、一部の視聴者からは「めんどくさい」「素直になればいいのに」との声も挙がっていたように記憶しています。しかし、劇中で芦屋が「強いというかかたくな」「自分が決めたことを絶対に変えない。それは強さでもあるけど、それしかできない弱さでもある」と分析していたように、花枝は人に弱みを見せるのが苦手で、自分だけで問題を抱え込む不器用な女性でもありました。

花枝を見ていて思い出すのは、同じく清原さんが演じたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おかえりモネ」(2021年度前期放送)の永浦百音です。同作は東日本大震災から10年という節目に放送された作品で、百音は被災地である宮城県気仙沼市の島で育ったヒロイン。

震災当時、高校の合格発表で地元を離れていた百音が、自分は何もできなかったという思いから“人の役に立ちたい”と願い、やがて気象予報士を目指すというストーリーでした。

朝ドラヒロインといえば、明るくて天真爛漫。周囲の人たちを笑顔にする太陽のような存在をイメージする人が多い中、百音はどこか暗い影をまとっており、人生もまた順風満帆ではありません。幾度となくあの日のトラウマに襲われ、その度に立ち止まり考える。

そんな百音に対する視聴者の意見も賛否両論。ですが、この物語はそもそも誰かに共感を求めるものではありませんでした。環境に限らず、心に抱えている痛みは人それぞれ違います。

「おかえりモネ」はあくまでも、大切な家族や友人が怖い思いをしている時にそばにいてあげられなかった、何もできなかったと自分を責める声から、少しずつ遠ざかっていく百音という一人の女性を描いた作品だったのです。

朝ドラでも民放ドラマでも、従来のヒロイン像を覆してきた清原さん。彼女の何にも染まることのなさそうな透明感や、大げさではない自然体の演技が、花枝や百音のように弱さを抱えた、だけど悩み抜いた先に自分なりの答えを見つけ出す芯の強いキャラクターに説得力をもたせているのではないでしょうか。

新垣結衣と共通点? 「ニコラ」出身モデルからの軌跡

そんな清原さんの印象と、どこか重なるのが俳優の新垣結衣さんではないでしょうか。新垣さんもまた、ピュアで真っ直ぐなヒロインとは少し異なる役柄を多々演じてきました。例えば、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)で演じた森山みくり。彼女は賢さゆえに相手を理詰めしてしまう癖があり、元彼から「小賢しい」という理由で振られてしまったことも。

そんなみくりが、契約結婚の相手である平匡(星野源さん)から正式なプロポーズを受けて放った「それは“好きの搾取”です」というセリフも大きな話題となりました。このセリフは、好きな人のためなら無償で尽くすのは当たり前という姿勢に抗議したもの。

そういう世間の“普通”を押し付けられることを嫌うからこそ、マジョリティーからは時として「めんどくさい」と思われる唯一無二のキャラクターを等身大に演じた新垣さんと、清原さんには共通点があります。

今年で俳優デビューから7年目の清原さんに対し、新垣さんは17年目。清原さんにとって新垣さんは俳優のみならず、ファッション雑誌「ニコラ」(新潮社)の出身モデルとしても大先輩にもあたります。

2019年からは新垣さんに続き、清原さんがスキンケアブランド「雪肌精」のCMキャラクターに起用されたことも反響を呼びました。

新垣さんといえば、現在放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合)に出演。主人公・北条義時(小栗旬さん)の初恋の相手にして、初鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝(大泉洋さん)の妻となり、時代に翻弄されながらもたくましく愛に満ちた人生を送る八重役で新境地を開きました。

一方、清原さんも10月から始まるドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」で俳優として新たな扉を開こうとしています。同作は、相沢沙呼さんによるシリーズ累計55万部突破の大ヒット小説「medium 霊媒探偵城塚翡翠」(講談社文庫)を実写化したもの。「霊が視える」という能力と翠色の瞳を持つ城塚翡翠が、死者からのヒントを頼りに「霊媒探偵」として難事件を解決に導く様を描きます。

これまで、どこかに実在していそうなリアリティーあふれる役柄を演じてきた清原さんは異色のヒロインをどのように体現するのでしょうか。国民から愛される俳優へと駆け上がっていく清原さんの成長を見届けましょう。

ライター 苫とり子

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