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がっつく親子にドン引き!? 「試食品の食べ過ぎ」は罪になるのか

  • 2015.10.29
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【女性からのご相談】

本日子どもとスーパーに買い物に出かけたら、信じられない光景を見てしまいました。子どもを2人連れた親子が、精肉売り場でハムの試食を勢いよく食べており、並んでいた試食品をすべて食べきっていきました。その後、鮮魚売り場に移動し、刺身の試食も食べきって いきました。もちろん商品はなにも買わず帰っていきました。これって罪にならないのですか?

●A. 試食の食べ過ぎは罪になる可能性があります。

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の篠田恵里香です。

1つや2つという常識の範囲内での試食であれば、商品を買わなくとも法的に問題になりません。しかし、置いてある試食を全て食べきったり、過度に食べ過ぎた場合は罪になる可能性があります。

●試食の範囲を超えて、大量に食べた場合、窃盗罪になる

スーパーに置いてある試食は、「味を試してみておいしかったら商品を購入してください」という趣旨のものですね。これは法的には、「(味をたしかめる範囲内で)自由にお召し上がりください」という店側の同意があると考えられます。ですから、味や値段に納得がいかなければ、当然商品を購入しなくとも、店の同意を得て食べているので何ら罪にはなりません。

ただし、味を試す範囲を超えて、全ての試食を食べてしまったり、数十個も試食を食べたとなると、これは店の同意の範囲を超えていると考えられます。したがって、この行為は、店の意思に反した“財物(お店の品物)の窃取”となり、窃盗罪が成立する可能性があります。

今回は、“ハムの試食”から“刺身の試食”まで、かたっぱしから全て食べきっているようなので、これは店の意思に反した行為であり、窃盗罪が成立する可能性が高いでしょう。

●悪質な場合は窃盗罪だけでなく、詐欺罪や威力業務妨害になるかも?

食べる行為ではなく、試食品を持ち帰ったりしても当然窃盗罪になります。過去には無料の氷を大量に持ち帰ろうとした男性が窃盗罪の現行犯で逮捕されるという事件も発生しています。

たとえ“無料”を謳っていても、“冷蔵保存用”の範囲内で持ち帰りが許可されているわけですから、店の意思に反する持ち帰り行為は、窃盗罪に当たるわけです。ちなみに、この男性が購入したのは洗剤1点のみだったそうです……。

さらには、“はじめから購入するつもりがないのに、あえて購入を考えているふりをして試食を食べる”行為が、「試食品をだまし取った」として詐欺にあたる可能性もあります。ただ、通常は、「(買うつもりがなくとも)味だけでもお試しください」という店の同意があると考えられますので、詐欺罪までは成立しない可能性が高いでしょう。

また、試食を食べ尽くしてしまうと、店側は新たに試食の用意を強いられることになりますので、このように店側の業務を妨害する側面については、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

●試食して、気に入ったのなら、買ってお家で食べましょう

今回は親子で行った行為のようなので、少なくとも成人である親に犯罪が成立する可能性があります。仮に、今回の行為を子どもだけで行った場合は刑事責任能力の話になります。

法律上、「14歳未満の子どもであれば刑事責任は負わない」とされていますので、14歳未満の場合は犯罪としては扱われないことになります。しかし、この場合でも、少なくとも監督責任として、親の民事上の賠償責任を免れないといえるでしょう。

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結論として、味を試す範囲の試食であれば、何も問題はありませんが、試食の範囲を超え食べ過ぎてしまうと罪に問われてしまう可能性があります。大人・子ども問わず、1口食べておいしかったのであれば、商品を購入し、自宅で味わって食べるようにしてください。

●ライター/篠田恵里香(アディーレ法律事務所パートナー弁護士)

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