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【中村倫也さんスペシャルインタビュー】クールな中村さんが「やるっきゃねぇ」と感じている理由は…?

  • 2022.10.15
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映画やドラマ、舞台に引っ張りだこの中村倫也さんが主演を務めるミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』。青年期のベートーベン=ルードヴィヒを演じる中村さんへのスペシャルインタビュー、前編では作品についてのお話をメインに伺いました。

――今回、作・演出を手がけるのは河原雅彦さん。中村さんとタッグを組むのは7年ぶりです。河原さんが「本格ミュージカルをやりたい」と中村さんにオファーなさったとか。
河原さんとは、舞台では〝真心一座〟の作品から『ぼっちゃま』『八犬伝』『ライチ☆光クラブ』、テレビドラマでは『ハリ系』もやりましたね。今回、河原さんが本格ミュージカルをやりたかったんだっていうのは意外でしたし、この作品を河原さんのところに持っていくんだというのも意外でしたが(笑)、俺を指名してくれたのは嬉しかったです。僕らの歴史を含めると「やらなならんな」って感じてます。
僕が若手の頃、河原さんは〝真心一座〟の舞台に呼んでくれて、それを見た演劇界のいろんな人が声をかけてくれて、またそれを見ていろんな人が面白がってくれた。ご存知のとおり、当時の私は仕事がなかったものですから(苦笑)、映像の世界で、たとえば連ドラのゲストで3シーンくらい出るような役では、現場に行っても達成感なんて感じられるわけもなく…まあそれは自分の実力不足なんですけど。そんな鬱屈してる若手時代に、演劇っていうのはすごく自分の生きていく支えになった。河原さんは間違いなく、その道を開いてくれた方ですので。その人が、新しいチャレンジって言っていいのかわからないけど「一緒にやろうぜ」って言ったら、しんどそうだなって思いながらも、なんだかんだ「やるっきゃねえ」っていうのはそういうところです。本当はラクしたいんですけどね、ははは(笑)。

――韓国で創作されたミュージカルの日本版となる今作。中村さんには「めちゃくちゃ歌うベートーベンをやってもらいます」と河原さんがコメントしています。
ははは(笑)。まあ、ラクはできないですよね。韓国のオリジナル版ってちょっとヤバいんですよ。韓国俳優すげえなって。よくこれ、やれって言われてやれるなっていうくらい。だいたい歌がしんどいか芝居がしんどいか、どっちかだと思うんですが、両方トップクラスにしんどいと思いますね。〝しんどい〟というニュアンスはネガティブなイメージじゃなくて、表現者としてかなりの熱量を放出しなければならないという…。だから「中村、頑張ってるな」で終わらないように、ちゃんとそれを忘れさせるくらい観客をまきこめるような作品作りをしなければならないなって思ってます。

――共演は、中村さんがアラジンの声を担当した映画『アラジン』吹替版でご一緒した木下晴香さんと福士誠治さん。中村さんが思う、お二人の印象と魅力を教えてください。
晴香はジャスミンなので単純にうれしかったです。『アラジン』では一緒に声を録ったわけじゃなかったけれど、歌番組やNHK紅白歌合戦、イベントなどでその都度会ってましたから。「イヤモニ(イヤーモニター)気持ち悪いわ」とか言いながら(笑)、「どうやればいいの?」とか聞いたりして。そういう意味では今回もいろいろ質問しようかなと思ってますね。ずっとミュージカルをやられてる方ですし。たぶん僕や河原さんより、その界隈のこと詳しいはずなんで(笑)。「こういうとき、どうしてんの?」みたいなことは、僕を筆頭にみんな晴香に聞きに行くってことはあるんじゃないかなって、ちょっと予想してます。
誠治くんはたぶん1,2本、一緒に作品をやったことがあって。でも一緒にお芝居をしたことはたぶんないかな。この後、会うので「どんなノリでした? 僕ら」みたいなことを確認することから始めようと思っています。彼はご自身で芝居を作られたり音楽活動もしているみたいで、すごく熱い人っていうイメージがあります。今回、僕が主演ですけど、主演らしいことしなくていいなと思ってるのは、たぶん誠治くんが兄貴肌でいてくれる気がするから。僕のやることは、率先して恥かきながら喉を壊さないようにフルスロットルで頑張る。あと、身体に気をつけて過ごすということかなって予感がしてますね。

――ミュージカルや音楽劇の出演は久々ですが、中村さんにとって音楽はどんな存在ですか? たとえばどんなときにどんな音楽を楽しんでいますか?
運転してるときや家事してるときは、音楽かラジオか何らかの音を流してますね。僕は90年代後半の小学校時代、おこづかいもらうとCDを買ってた子だったんですよ。そのときからわりと音楽好きだったんだなと思います。その後の学生時代もずっと、みんなと同じように音楽を聴いてきて。特に歌詞をすごく覚えてますね。大人になってから気づいたことなんですけど、「なんで、そんなに歌詞うろ覚えなの?」って思うことがよくあったんです。たぶん小さいときから、物語とか詩世界にフォーカスして音楽ってものに触れてた子だったんだなって、後になって知りました。今は、僕が生まれる前の歌とか懐メロを聴くことが多いですね。最近は井上陽水さんがブームで、車に乗って一曲目に『傘がない』をかけたりするんですけど。暗いな~って(笑)。忌野清志郎さんの歌もそうですけど、何十年も前に作った歌詞の世界観が今でも通用したり、HIDEさんの曲とかサウンドも全然古くなくてすごいなって思いますね。今あげただけでも、結構いろんなジャンルの音楽を聞いてるかもしれないですね。

――中村さんにとって、舞台のお仕事とはどんなものでしょうか。
感覚的にたとえるなら〝ホーム〟だとか〝育った場所〟だとかあるんでしょうけど、結局のところ好きでやってるだけなんだなって思うんですよね。自分の性格上、好きでなかったらやってないし。また自分の役者としての特性を考えると、舞台が一番合ってるなって前から思っていて。ドラマなど映像作品が寂しいなと思うのは、観終わった人の顔が見たいのに見れないところ。舞台って物作りするためにみんなとの稽古期間があって、本番があって、ひとりの人生なのか半生なのかを一方通行で描けて、それを観た人がどんな感想を抱くのかどんな拍手をしてくれるのかがあって…。なんかすごく健全というか。勤務時間的にも、物作りとしても人としても健全な気がします。でもそのぶん、たとえば映像だったら微妙なアングルや照明、音の変化があるけど、舞台は一枚の絵なのですべてバレてしまう。立ち姿ひとつとっても、細部に至るまで観た人は想像力を働かせるものなので、よりしっかりと役としてそこに立ってないといけない。その怖さみたいなものはありますね。

中村倫也
‘86年12月24日生まれ 東京都出身 血液型A型●’05年デビュー以来、数々のドラマ・映画・舞台に出演。最近の主な出演作はドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』、映画『ハケンアニメ!』、舞台 劇団☆新感線『狐晴明九尾狩』など。『仮面ライダーBLACK SUN』が10月28日よりAmazon Prime Videoで配信開始。待機作として舞台『ケンジトシ』が’23年2月上演予定。

ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』
韓国で初演され注目を集めたミュージカルの日本版。天才音楽家であり、聴力を失ってなお音楽への情熱を注ぎこんだ悲運の人・ベートーベンの生涯と、彼を取り巻く愛、影、喪失、そして運命を描く。出演/中村倫也 木下晴香 福士誠治ほか。上演台本・演出/河原雅彦 訳詞/森 雪之丞 ●[東京]10/29~11/13東京芸術劇場プレイハウス [大阪]11/16~11/21梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ [金沢]11/25~11/26北國新聞赤羽ホール [仙台]11/29~11/30電力ホール

【衣装】カーディガン ¥33,000 (KIIT/TEENY RANCH☎03-6812-9341)パンツ ¥50,600(DRESSEDUNDRESSED/PR01.☎03-6805-0904)ブーツ ¥43,000( APOCRYPHA/Sakas☎03-6447-2762)
撮影/木村 敦 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)

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