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昭和楽曲リミックスから現役アイドルへの楽曲提供…Night Tempoが見据える未来と先人へのリスペクト【インタビュー】

  • 2022.10.13
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「昭和グルーヴ」をキーワードにジャパニーズ・シティポップを発信し、世界中から注目を集めている韓国人DJ/プロデューサーのNight Tempo。

Winkや斉藤由貴、工藤静香など、80年代の日本の音楽シーンを盛り上げた歌手の楽曲をリエディットした音源は、海外でも熱い反響を得ており、昨今の国内外におけるシティポップ・ブームの立役者とされている。

コロナ禍が徐々に落ち着きつつあるなか、それに合わせるかのようにNight TempoはアメリカでのDJプレイ、日本ツアー、FUJI ROCK FESTIVAL '22出演など、多岐にわたる活躍を見せている。

そして今回、昭和グルーヴ・シリーズ第15弾である「RA MU」の『青山Killer物語』『少年は天使を殺す』リエディットをリリースするタイミングで、Night Tempoの対面インタビューを行った。

──まず今年、2019年以来、2度目の「フジロック」に出演されました。前回よりも大きなステージでパフォーマンスされていましたが、いかがでしたか?

久しぶりのライブでした。DJは結構休んでいたし、コロナ禍ではクリエイティブに集中していました。

フジロックに出演する約半年前にアメリカでDJをしたのですが、日本ではしっかりと準備されている舞台でDJプレイをしたことで、やっぱり現場っていいなと。とても久しぶりだったので、皆さんの盛り上がりを見られて、とても楽しかったです。

──10月7日には、昭和グルーヴ・シリーズの最新作としてRA MUのリミックスをリリースしました。その際、「RA MUがいなかったら、昭和グルーヴ・シリーズも生まれていませんでした」というコメントを出しており、とても思い入れの強い作品になったと思います。今作は自身にとって、どのような位置づけでしょうか。またなぜそのような作品が15番目に来たのでしょうか。

今回リリースできる順番になったというだけで、15作目という数字はあまり重要ではありません。

昭和グルーヴ・シリーズを出すきっかけになったという話は、以前、僕が個人的に作ってSNSなどにアップロードしたものを、現在所属している会社の方たちが見つけて連絡をくれて、そこからオフィシャル・リエディット企画のリリースが始まったという意味です。

いつかは出せたと思うのですが、自分のキャリアについて悩んでいた時期に話をいただいたという意味で、重要なきっかけになったと思います。

また、(楽曲を)個人で出すのとオフィシャルで出すのとでは、大きく意味が変わります。個人で出しても、(原曲アーティストの方々に)良い印象が残らなかったと思いますが、今は公式に本人たちの許可をいただいていますし、本人たちが喜んでいる姿を見られるということが大きなモチベーションですね。

──9月末にはSKE48のチームKⅡ新公演の楽曲制作も発表されました。どのような楽曲に仕上がっているのでしょうか。

私もアイドルグループのプロデュースはやってみたいと思っていましたし、ちょうどいいタイミングでお話をいただいたので引き受けました。

ただ楽曲を作るにあたって音楽性という面では譲れなかったので、対話を重ねて、私のことを理解してもらった上で数曲を作っています。これらはタイトル曲だったりメインの曲になると思います。

従来の日本のアイドルらしい楽曲ではなく、アーティストとして何段階も成長できる、そんな機会を与えてくれる楽曲になるはずです。

──平成に誕生したSKE48の楽曲を作ることになりましたが、これまでは昭和アイドル、歌手の楽曲を扱ってきました。昭和アイドルに感じる魅力とはなんでしょうか。

一人ひとりのクオリティが高いことが魅力だと思います。“この人はこんなイメージ”というのがはっきりとありますし、社会的に影響も及ぼしていた。そのような点を“憧れ”として持っています。

Night Tempo

──コロナが落ち着き始めましたが、今後、日本でやりたいことはありますか。

アーティスト活動と作家活動を両立させていきたいと思っています。もっとオリジナル楽曲の制作もしたいですし、プロデュースをもっとやってみたい。特にアイドルプロデュースがやりたいですね。

──アイドルプロデュースは、すでにイメージや構想は持っているのでしょうか。

ただのアイドルとしてではなく、音楽好きなリスナーにも届くように、ある程度のクオリティを持ったアイドルを世に出したいと思っています。

もともと僕はシティポップDJではなくて、ダンス・ミュージックやアイドルのプロデュースがしたかったので、今回のSKEさんの楽曲制作もちょうどいいタイミングだと思って引き受けました。今後もチャンスがあると思うので、色々とやってみたいです。

終始、穏やかな表情でインタビューに応じたNight Tempoだが、言葉の端々からは自身が作る音楽への揺るぎない自信が強く感じられた。

昭和楽曲のリミックスから始まり、現役アイドルへの楽曲提供、そしてまだ見ぬアイドルのプロデュースと、時代を超えて駆け抜ける彼の活躍を今後も注視したい。

(インタビュー・文=高 潤哲)

【作品情報】

『RA MU – Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』

配信日」2022年10月7日(金) 

収録曲

1.青山Killer物語(Night Tempo Showa Groove Mix)

2.少年は天使を殺す(Night Tempo Showa Groove Mix)

◇Night Tempo(ナイト・テンポ) プロフィール

80年代のジャパニーズ・シティポップや昭和歌謡、和モノ・ディスコ・チューンを再構築した「フューチャー・ファンク」の人気アーティストである、韓国人プロデューサー兼DJ。米国と日本を中心に活動する。竹内まりやの『プラスティック・ラブ』をリエディットして欧米でシティ・ポップ・ブームをネット中心に巻き起こした。角松敏生とダフト・パンクをこよなく敬愛する、昭和カセット・テープのコレクターでもある。昭和時代の名曲を現代にアップデートする『昭和グルーヴ』シリーズを2019年に始動。Winkを皮切りに、杏里、1986オメガトライブ、BaBe、斉藤由貴、工藤静香、松原みき、中山美穂、秋元薫、菊池桃子、八神純子、小泉今日子、細川たかし、飯島真理とこれまでに14タイトルを発表。2021年5月には、昭和アイドルにフォーカスした『昭和アイドル・グルーヴ』のコンピレーションCDもリリースした。オリジナル・アルバムは、『Moonrise』(2018年)、『夜韻Night Tempo』(2019年)、『Funk To The Future』(2020年)、『集中Concentration』(2021年)の4タイトルをセルフリリース。2021年12月1日には初のメジャー・オリジナル・アルバム『Ladies In The City』をリリース。2022年7月にはフジロックフェスティバル‘22の出演、そして8月には全国7都市を周る来日ツアーを開催。ディスク・ガイド本『Japanese City Pop 100, selected by Night Tempo』を発売するなど、世界的なシティ・ポップ・ブームの牽引役として活躍中の彼は、地上波TVでも数多く取り上げられ、今最も注目される海外アーティストの1人。

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