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品川区長選「再選挙」見通し、なぜ「決選投票」ではない?総務省に聞く

  • 2022.10.11
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なぜ「決選投票」ではない?
なぜ「決選投票」ではない?

10月2日に投開票された東京都品川区長選で、立候補した6人がいずれも法定得票(有効投票総数の4分の1以上)に届かず、当選者が出ないという珍しい事態が起きました。異議申し出期間(14日間)を経て再選挙が行われる可能性が高まっていますが、再選挙には、条件を満たせば「誰でも」立候補できるそうです。

つまり、同じ6人が立候補して、さらに新たな候補者が出て、1回目の選挙を上回る混戦となる事態もあり得るわけです。1回目の選挙で上位だった立候補者から選ぶ「決選投票」方式にすれば、2回目で確実に当選者が決まるのに、なぜ決選投票にしないのでしょうか。総務省選挙課の担当者に聞きました。

決選投票制度は1952年廃止

Q.法定得票数を定めた法律と、それが設けられている理由を教えてください。

担当者「公職選挙法95条のただし書きに、当選に必要な得票数(市長選など『地方公共団体の長』の選挙では、有効投票総数の4分の1以上)が示されています。得票数が極端に少ない候補者が当選人(特別区長選の場合は区長)になると、選挙人(有権者)の代表としてふさわしいのか、という問題があるため、一定の得票数が定められています」

Q.知事や市区町村長の再選挙について教えてください。

担当者「公職選挙法109条に、どういう場合に再選挙を行うかが定められており、同条1項1号に、『当選人がないとき』などが挙げられています。当選人の不足を補充する選挙として、再選挙を行うことになります。

今回お尋ねの品川区長選のような特別区長選の場合、いずれの候補者も法定得票数、つまり有効投票総数の4分の1に達しない場合、先述した公選法109条1項1号の規定にもとづいて再選挙を行うことになっています」

Q.最初の選挙の上位2候補による「決選投票」の方が、確実に当選者を決められそうな気がするのですが、なぜ決選投票にしないのですか。

担当者「実は、かつて、知事や市区町村長の決選投票制度がありました。1946年に導入された制度でしたが、1952年に廃止されました。

制度導入後の統一地方選で、複数の知事選で決選投票が行われるなど、1回目の選挙で当選人が決まらない事例が多数起きました。当時、知事選や市区町村長選の法定得票数は、有効投票総数の8分の3以上で、今より多く設定されていたのです。

制度が廃止となった理由ですが、決選投票を行った結果、1回目の選挙の最多得票者が、2回目の決選投票でも最多得票することが多く、決選投票は実益に乏しいといわれていました。また、決選投票といっても、最初の選挙同様に選挙をするので、多くの経費がかかります。そのため、法定得票数を『8分の3以上』から『4分の1以上』に引き下げるとともに、決選投票を廃止して再選挙の制度を導入したのです」

Q.当選人が決まらない事態の多発を避けるために、法定得票数を下げたということでしょうか。

担当者「そうですね。それに併せて、決選投票制度が廃止されました」

Q.再選挙には、最初の選挙で立候補しなかった人も立候補できるそうですが、なぜでしょうか。

担当者「再選挙は、当選人が決まらなかった最初の選挙とは、別の選挙として実施されるためです。全く別の選挙という位置付けなので、新規の立候補を制限していません。

例えば、今回の品川区長選は『任期満了に伴う選挙』ですが、仮に再選挙となった場合は、いわば『最初の選挙で当選者がいない場合の選挙』となります。『どちらも品川区長選では?』と思われる人もいるでしょうが、別の選挙ということになります」

Q.法定得票数の関係で再選挙が実際に行われた事例を教えてください。再々選挙になった事例もあるのでしょうか。

担当者「総務省で把握している限りでは、首長選で6例あります。その6例はすべて、再選挙で当選人が決定しています。議員選では1例、再々選挙になった事例がありますが、再々選挙で当選人が決まりました」

Q.再選挙でも当選者が決まらない場合、延々と再選挙を繰り返すことになるのでしょうか。

担当者「再選挙でも当選人が決まらない場合は、再度選挙を行うことになりますが、先ほど述べたように、総務省が把握している限りでは、首長選では再々選挙は実施されていません。ただ、もしものときは再度選挙を行うというのが、現行の制度になっています」

オトナンサー編集部

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