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西野七瀬さん、「シャイロックの子供たち」に出演「怒りの感情を出すのが難しい」

  • 2022.10.9

乃木坂46の卒業から4年。元アイドルではなく、俳優としての認知が広がった西野七瀬さん(28)。10月9日から配信・放送が始まる、池井戸潤さん原作のドラマ「連続ドラマW シャイロックの子供たち」(WOWOW)で、物語の鍵となる真面目な銀行員・北川愛理役を演じます。西野さんに、演技や撮影現場の様子などを聞きました。

お仕事ドラマは、自由に演じられた

──出演が決まったときはどんなお気持ちでしたか?

西野七瀬さん(以下、西野): 以前、WOWOWのドラマに出たことがあるのですが、すごく久しぶりで、重要な役どころということもあって、今回の撮影が楽しみでした。しかも、いままで見たことがないような、銀行を舞台にしたミステリーです。どういう作品だろうっていう楽しみもありました。

──演じるのは家族を支える、けなげで真面目な女性です。役柄はつかみやすかったですか?

西野: 事前の役作りはあまりしなかったんです。愛理は、真面目でまっすぐな役。家計を支えていたり、毎日自分でお弁当を作って持ってきたり、さらにキャリアのために高みを目指して勉強していたりと、すごくえらい。それが言動に表れていることが台本を読んで伝わってきました。
鈴木浩介監督から細かな演出はあまりなかったと思います。自由にというか、自分が思うままに演じさせてもらい、監督のイメージと違っていたらそう伝えてくださるし、何もないときは、合っているのかなと。現場からの意見に対しても、監督はとても自由な感じで、私もしぐさとかはやりやすいように演じていました。

連続ドラマW シャイロックの子どもたち 10月9日(日)放送・配信スタート(全5話)

──銀行員という点は?

西野: 私は全然細かくなくて、もし銀行員になったら、仕事の面では絶対にシビアさを意識しなきゃいけないですね。窮屈さを感じる反動で、普段がルーズになってしまう気がしますけど(笑)。職場では頑張って、オフになったら、自分に戻ります。
今回の役では、札勘(お札を数える方法)を、家で練習してとても難しかったです。撮影が終わっても覚えておくと役に立つかなって思ったんですけど、なかなかたくさんのお札を数える機会っていうのはないですよね(笑)。
劇中に愛理が勉強して、キャリアアップの試験を受ける描写があるんです。その教科書をちらっと見せていただいたけど、本当に難しい。私はただでさえお金のことがわからないタイプなので、役を通して詳しくなれるのはいいなと思いますね。

演技ではなく、本当に泣かされた感じに…

──主演の井ノ原快彦さんや共演のみなさんと過ごす現場はいかがでしたか?

西野: 井ノ原さんはやさしくて、性別や年齢、キャストもスタッフさんも関係なく、みなさんとよくお話しされていました。井ノ原さんがいらっしゃると、雰囲気がかなり柔らかくなるから、私も現場へ行くのが楽しみでした。

朝日新聞telling,(テリング)

──今回演じてみて、気づきや発見はありましたか?

西野: 役として、怒りの感情を出すのが難しいということ。愛理が怒るシーンでは、感情的になって、「わああ」と声を出すのではなく、「ただ怒ってる」演技をしようって監督と話していたんです。セリフはないけど、感情表現を丁寧に、手探りで演じました。編集されてどんな仕上がりになっているのかが想像つかないので、私も楽しみです。

──井ノ原さんが演じる主人公・西木からも、愛理が責められるシーンの「怒り」のことですね。

西野: 印象強いシーンでした。私はすぐに涙することが難しくて、段取りやテストはあまり正面から受けないようにして、本番に、一か八かで臨みました。意識して泣こうとしたのではなくて、本当に泣かされた感じになったんです。同じシーンをカメラ位置を変えてたくさん撮ったんですけど、毎回本当に怒られて……。
「何で?」って気持ちになっていきました。同じシーンに出演する萩原聖人さんからは「泣かなきゃダメだよ」ってちょっとおちゃめなことを言われたり。
萩原さんとのやりとり含めて、一緒に演じる相手のお芝居によって、私はかなり演技が変わるタイプだと、改めて実感しました。

──そのシーンでもやっぱりカットがかかると、井ノ原さんは普段に戻られるんですね。

西野: そうですね。そのシーンでも現場は楽しかったです。井ノ原さんは「なんか疲れちゃった」って椅子に座ったり、「このまま怒ってる最中に座ってみようかな」と冗談を言っていたりされてました。

朝日新聞telling,(テリング)

夏休みの宿題もギリギリにやるタイプ

──ドラマの中心メンバーとして、物語の最後まで演じてみて、いかがでしたか?

西野: みんな色々抱えてるんだなって、改めて感じますよね。それを表に出さず、起こった問題に巻き込まれながら、それぞれの立ち居振る舞いがあるんです。
愛理はまっすぐな性格だったので、その部分はわかりやすいですかね。

──ドラマの内容から感じることはありましたか?

西野: 「欲に負けるのはよくない」というのが、改めて教訓になりました。私はもともとそういうタイプではないんですけど。責任が取れないことをすると、罰が当たるんだって思いました。ドラマの最後に出てくるメッセージは、「まっとうに生きること」。でも、それはすごく難しい、誰にとっても。どこかに超えちゃいけないラインみたいなものがあって。家族を守るためとか、理由は色々あるかもしれないけど、人として「まっとうに生きること」を超えちゃいけないと思いました。

朝日新聞telling,(テリング)

──欲に負けた、ささやかな経験を教えてください。

西野: セリフを覚えなきゃいけないのに寝ちゃったみたいなことですかね。現場で、慌てふためくということが、あります(笑)。
「やんなきゃ、やんなきゃ」って思っても、進まないときってありますよね。夏休みの宿題もギリギリにやるタイプ。なんなら間に合わない(笑)。全部困るのは自分なんですけどね。「いましんどい方が後で自分のためになるぞ」って言い聞かせて、欲に負けそうな自分をとどまらせたり、何日か後の自分のためだって考え方を変えるようにしていますね。

■加藤千晶のプロフィール
翻訳者、編集者。不登校しながらバイトとライブには出かける、明るい引きこもり。のちに日本の教育は無理とあきらめ、渡米。英語講師、広告制作ディレクター、雑誌や書籍の編集を経て、朝日新聞社へ入社。好きなものは小説とマンガ。1万冊の蔵書に囲まれて生活している。

■品田裕美のプロフィール
1983年生まれ。出版社勤務を経て、2008年 フリーランスフォトグラファーに。「温度が伝わる写真」を目指し、主に雑誌・書籍・web媒体での撮影を行う。

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