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「人にやらされるとやる気が起きない」は本当?単なる言い訳?心理カウンセラーに聞く

  • 2022.10.5
「人にやらされるとやる気が起きない」は本当?
「人にやらされるとやる気が起きない」は本当?

仕事や勉強についてなかなか取り掛かろうとしない人に対し、早く取り掛かるように促すと、「人にやらされるとやる気が起きない」と言い返される場合があります。確かに自分から動いた方がやる気は起きそうな気もしますが、それは単なる言い訳で、何も言われなければ、結局手つかずのままなのでは?という気もします。「人にやらされるとやる気が起きない」は事実なのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

そういうケースもあり得るが、そうでない場合も

Q.そもそも「やる気」とは何でしょうか。

小日向さん「『やる気』とは『自ら進んで、物事を進めていこうとする気持ち』のことをいいます。この言葉は一般的に、進めていこうとする物事がポジティブなもの(試験勉強、仕事など)に対して使われます」

Q.「人にやらされるとやる気が起きない」のは事実でしょうか。

小日向さん「そういうケースもあり得ますが、常にそうとは限りません。

人には『誰にも自分の自由を奪われたくない』という心理欲求があり、それを阻害されそうになると抵抗するという心理があります。この状態を心理学用語で『心理的リアクタンス』と言い、1966年にアメリカの心理学者であるジャック・ブレームによってその概念が提唱されました。

ただ、この心理的欲求は誰もが持っているものとはいえ、人からやらされた際に、常に心理的リアクタンスが働くというわけではありません。また働く場合にも強弱があり、それは命令する人や命令される環境によって変わってきます」

Q.「人にやらされるとやる気が起きない」ケースについて、もう少し詳しく教えてください。

小日向さん「先述したように、基本的に人は、生まれたときから一つの人格を持った一個人として、選択や行動の自由を求める生き物です。何かをやらせようとする人からの言動は、それによって自分の意思決定や行動の自由を剥奪されるということですから、不快感情が湧きます。

もちろん、その不快感情に抵抗して自分の思うように進んでいく人もいますが、抵抗する気力がない場合は諦めてしまいますよね。『せっかく自ら勉強する気持ちになっていたのに、勉強しなさいと言われた途端にやる気がなくなった』というのは、ある種の諦めの感情だといえます」

Q.「人にやらされるとやる気が起きない」人を、周囲から「やる気」にさせるには、どうしたらいいのでしょうか。

小日向さん「心理的リアクタンスが強く働くケースは大きく2つで、一つはやらせようとすることに妥当性がない、ということと、もう一つは、やらせようとする人との間に関係構築がされていない、ということです。そのため、やる気を起こさせるためには、この2つを意識して改善すると良いと思います。

例えば仕事にやる気を持ってほしいのであれば、『これやって』と命じるだけでなく、その仕事をすることの意味をきちんと伝えて妥当性を持たせることや、日頃から相手との間に信頼関係を構築するよう心がけるといったことです。自分とは関係性の構築がうまくできていないという場合は、すでに構築されている人から指示してもらうことも『あり』でしょう」

Q.「人にやらされるとやる気が起きない」人が、自ら「やる気」になるには、どのようにすればいいのでしょうか。

小日向さん「今回は、命令されるとやりたくなくなる、という心理を心理的リアクタンスで説明しましたが、心理的リアクタンスは『やってはダメだと言われるとやりたくなる』という逆のパターンでも生じます(これはカリギュラ効果と言われています)。

『やれと言われると嫌、やめろと言われたらやる』といった心理的リアクタンスに振り回されていると自分自身も疲れますし、そのようなあまのじゃくな言動は周囲からも敬遠されてしまいます。

やる気を出す手段やツールを考えるのではなく、常日頃から『自分の行動に自分なりの意義や目的を持つ』ということを意識してください。その意識付けが他人に左右されない自発的な行動を生み出します」

オトナンサー編集部

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