ドキュメンタリー好き・テニスコート小出圭祐、忘れられないあのシーン。『猫イジメに断固NO！：虐待動画の犯人を追え』

猫虐待動画の犯人をエスカレートさせたのはネット民の反応では？と提示されたシーン

もともと、犯罪モノのドキュメンタリー作品を観るのが好きで。特にNetflixの犯罪モノはよく観ていたので、『猫イジメに断固NO！』もその流れで観始めたんです。最初の印象は、シンプルに「テンポ良くストーリーが進んでいくなあ」というものでした。

語り部のディアナは親しみやすくて明るいキャラクターだし、世界中のネット民が動画を手がかりに“特定”を進めていく様子も、疾走感があって引き込まれました。でも、徐々に犯人像が明らかになり、逮捕、そして犯行動機が明るみになると……心に残ったのは、罪悪感でした。

犯人が100%悪いのは確か。でも、ネット上の反応は犯人の承認欲求を満たし、少なからず行動に影響を与えていました。じゃあ、こうやって僕が犯罪をドキュメンタリー作品、つまりエンタメとして楽しんでいるのも、結果として誰かの行動をエスカレートさせることにつながる可能性があるのではないか、と。

面白いけど、同時にすごく後味が悪く感じてしまう。こちら側を巻き込み、当事者の一人として、重い問題を突きつけてきます。しばらくスリリングな犯罪モノは観なくていいかな、という気分になるので、沼から抜け出せない人には、逆にオススメです。

Information

『猫イジメに断固NO！：虐待動画の犯人を追え』

ネット上にアップロードされたのは、猫を虐待する様子を記録した一本の動画だった。犯人の正体を突き止めるべく、世界中のネットオタクが“素人サイバー探偵”となり奔走。ところが、その動きに呼応するかのように、犯人の行動もエスカレートしていく。カナダで実際に起きた犯罪事件をテーマに扱い、2020年、第72回エミー賞でノンフィクション部門脚本賞受賞。Netflix独占配信。

profile

小出圭祐（テニスコート）

こいで・けいすけ／3人組コントユニット・テニスコートのメンバー。アニメ作品へのシナリオ提供やテレビ番組へのイラスト提供も。

twitter：@koide_keisuke