1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 「八王子の由実ちゃん」がシンガーソングライター「荒井由実」になるまで。『小説ユーミン』

「八王子の由実ちゃん」がシンガーソングライター「荒井由実」になるまで。『小説ユーミン』

  • 2022.9.22
  • 283 views

2022年10月27日、ユーミンこと松任谷由実さんのデビュー50周年を記念して、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』(マガジンハウス)が発売される。作家の山内マリコさんが、松任谷由実さんの少女時代を小説にした。

10月発売のベストアルバムに、AIで再現した荒井由実との対談やデュエットを収録することが話題を呼んでいる松任谷さん。17歳で作曲家としてデビューして以来、日本の音楽シーンを牽引してきた。幼少期からデビューまで、あの名曲「ひこうき雲」ができるまでを、本人への取材をもとにフィクション化するのは今回が初だという。著者の山内マリコさんは本作の執筆にあたり、取材を徹底的にしたそうだ。

■松任谷由実さんコメント
これはノンフィクションというより、ルポルタージュに近いかもしれない。山内マリコさんの獰猛な取材力とインタビューに、記憶のボタンが次々とクリックされ、私は幼少期を、青春を、サーフィンしまくった。目眩く楽しかった。これは多くの人たちが好きなサクセスストーリーの真逆だから、全くシンパシーが得られなかったとしても仕方ない。正に、"事実は小説よりも奇なり"。ひとりの特異な少女が、50s、60s、そして70sの、東京カルチャーとカウンターカルチャーに彩られ、特異なまま大人になってゆくお話。山内さんの大いなる好奇心が、私自身もすっかり忘れていた愛を、思い出させてくれた。こんな機会を与えていただけて、本当に良かったと思う。つくづく私は、"ユーミン"以外のものにはなれなかったのだなあと、覚悟とも諦めともつかない幸せな気持ちで、この小説を読み終えた。
――松任谷由実

■目次
第一章 八王子の由実ちゃん
第二章 ピアノ、清元、サウダージ
第三章 立教女学院とパイプオルガン
第四章 マギーと立川基地
第五章 らせん階段の家
第六章 フィンガーズ・デイズ
第七章 一九六九年
第八章 カルチエ・ラタン的御茶ノ水
第九章 セブンティーン!
第十章 ハロー、キャラメル・ママ

■あらすじ
1970年代、シンガーソングライターとして十代でデビューを飾った荒井由実。のちに日本最大の女性ポップスター、松任谷由実=ユーミンとなる煌めく才能はいかにして世に出たか――。八王子の裕福な呉服店に生まれ、ピアノに触れ、清元を学び、ミッション系の私立女子校に入学。グループ・サウンズが一世を風靡するなか、由実は高度経済成長期の東京を、好奇心いっぱいに回遊しはじめる。米軍基地、ジャズ喫茶、伝説のミュージカル『ヘアー』、大人の社交場キャンティetc.......次々に新しい扉を開けて、才能を開花させていく。少女・荒井由実のデビューまでの軌跡をノンフィクション・ノベルとして描き出す。
名曲「ひこうき雲」が生まれるまで――

■山内マリコさんプロフィール

1980年、富山県生まれ。2008年に「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。12年、初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行。ほかの著書に、21年に映画になった『あのこは貴族』、『一心同体だった』などがある。

元記事で読む
の記事をもっとみる