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91歳、曽野綾子。「少し嫌われるくらいがちょうどいい」

  • 2022.9.21

「人間関係はむずかしい。それだけに稀にうまくいった時の嬉しさは貴重だし、うまくいかなくて当然の苦しみが、私たちの心を柔らかなものにする」――。

2022年9月14日に発売された『少し嫌われるくらいがちょうどいい』(ポプラ社)は、今月91歳を迎えた作家の曽野綾子さんが、人生や人間関係の難しさをつづったエッセイだ。

40年以上読み継がれているロングセラーを全面改稿。本書は「人生百年時代」を歩むための、アップデートされた21の道しるべを収録している。たとえば、「人間関係は、理解よりも、むしろ誤解の上に安定する」とある。

「安定する感情、というのは、≪どちらかにかたづける≫ことなのだ。あの人は悪い人だ、あの女は感情的だ、あの男はけちだ、あいつは頭がいい、というふうに定形を作ることである。悪人だけど心優しいところもあるとか、感情的で冷静だとか、けちだけど金の使い方は知っているとか、頭はいいけど賢くないという表現は、あまり喜ばれない。しかし通常、人間の絶対多数は、そのように屈折した複合形を持っているはずである。自分にもわかりにくい自分の本当の姿を、どうして他人がわかることができよう」

曽野さんによると、人間は複雑で一筋縄ではいかない。ほどほどのところで諦めて、自分も相手も互いに誤解しあっているという自覚を持つことだという。70年以上人間関係について考え抜いてきた、巨匠による人生訓。あなたの悩みも解きほぐしてくれるかも。

■曽野綾子さんプロフィール

東京生まれ。1954年聖心女子大学英文科卒業。同年発表の「遠来の客たち」が芥川賞候補となる。『木枯しの庭』『天上の青』『哀歌』『アバノの再会』『二月三十日』などの小説の他、確固たる人間観察に基づく、シリーズ「夜明けの新聞の匂い」などのエッセイも定評を得ている。他に新書『アラブの格言』などがある。79年ローマ法王庁よりヴァチカン有功十字勲章を受ける。93年日本藝術院賞・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

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