ハリー・ベイリー版『リトル・マーメイド』を見た“黒人の子どもたち”の反応、こっちまで泣ける…

肌の黒いアリエルが主人公のディズニーによる『リトル・マーメイド』。予告編を見た黒人の子どもたちの反応は？（フロントロウ編集部）

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『リトル・マーメイド』予告で黒人のアリエルが初お披露目

ディズニーが2023年5月26日に公開を予定している実写版『リトル・マーメイド』は、グラミー賞にノミネート経験のある姉妹デュオのクロイ＆ハリー（Chloe x Halle）のハリー・ベイリーがアリエルを演じるミュージカル。彼女の美声はトリトン王役のハビエル・バルデムも驚くほどで、先日ついに公開された予告編でその声は聞くことができるが、短いにもかかわらず鳥肌モノ。

さらに、予告編が公開されたことによって、ついに黒い肌のアリエルを世界が目にすることにもなった。黒人であるハリーがアリエル役に起用された時には、反発も多かった。しかし物語というのは、新しい作品が制作される時に舞台となる場所や時代、設定などは改変されるもの。とくに本作はファンタジーであり、人魚は人間でもない存在だが、アニメ版『リトル・マーメイド』でアリエルが赤い髪の毛になったことは気にならないが、黒い肌になるのは気になるのであれば、それはなぜかを考える必要がある。

黒人の子どもたち、親たちが大感激

反発があっても、実写版『リトル・マーメイド』が持つメッセージは、すでに多くの子どもたちを喜ばせている。現在、子どもたちが黒人のアリエルを見た時の反応を映した多くの映像がTikTokで公開されている。

ある少女の親は、「これはあなたたちのために作られたものではないと言われてきたおとぎ話で、私たちの子どもたちが自分たちをその中に見ることが出来るのが、どんな感覚か理解できるでしょうか。言いたいことを言って、文句を言えば良い。私には何も聞こえない。この小さな子が自分と似た人物を見て、喜びと楽しみに満ち溢れている以外は」というコメントともに動画を公開。おとぎ話の中に自分たちのようなキャラクターを見ることがなかった親世代は、より一層本作の価値を感じることもあるのだろう。

また、別の3きょうだいは新しいアリエルに大騒ぎ。弟と見られる子も大喜び。

「彼女は私みたいに茶色い」と喜んで話す子どもの姿には胸が打たれる。

ある程度成長した子であっても、自分と同じ肌色のディズニープリンセスが描かれることは嬉しいもの。10代とみられる少女は歓喜の大絶叫。

その他にも、あまり興味がなさそうに寝転がって予告編を見ていた子が、ハリーの姿を見た途端に起き上がり喜ぶ姿や、無言で目に涙を浮かべる少女の姿などが拡散されている。小学校にあがらない幼い年齢の子どもたちが、黒人のプリンセスがいなかったことを理解し、ここまで感動しているということには考えさせられる。

ウーピー・ゴールドバーグは、『スター・トレック』で黒人女性のニシェル・ニコルズを初めて見たときに、黒人女性がメイド以外の役を演じるを初めて見たことで、「自分には無限の可能性がある事を知ったのです」とトーク番組『The View』で語った。そして、アカデミー賞受賞俳優のルピタ・ニョンゴは、自分と同じような見た目をしていたウーピーをスクリーンで観たとき、初めて俳優という夢が芽生えたことをたびたび語っている。現存する俳優たちの言葉からも、黒人のアリエルはこれから何世代にもわたってインパクトを与えることが見て取れる。

黒人俳優の起用は戦略だと批判的に言う声もあるが、戦略は何事にもつきまとうもの。黒人のアリエルを求めていた人々が多く存在しているのは事実で、その人達のために新しい作品を作ろうとするのはビジネス的にも理にかなったことではないだろうか。

作品が面白いかどうかは見てみないと分からないことで、アリエルの肌の色は関係ない。人の価値観は、社会に存在するものに影響されている。ハリーによる『リトル・マーメイド』が出来たことで、次世代のなかにはさらに広く自由な価値観が育っていくことは希望。

（フロントロウ編集部）