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手作りジャムで始まるドイツのご近所付き合い。私は手づくり味噌をおすそ分け【日登美のタベコト in Berlin・31】

  • 2022.9.10
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ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主催している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。

手作りジャムはドイツの挨拶

自家製ジャムの数々が並ぶテーブル。ドイツの朝食の風景。

海外でもずっと手作りしている味噌。ついついおせっかいながらも麹から手作りの味噌を、そのおいしさをおすそ分けしたくて、私は人に会うとき、手土産によく自家製の味噌を持って行きます。

なんだこれ?という反応の人もいますが、海外では新鮮で質の良い味噌は簡単に手に入らないので、だいたいみなさん喜ばれます。味噌が挨拶がわり。こんなふうにちょっとした手作り土産を持って挨拶に行ったことは、きっとどなたもあるのではないでしょうか?

同じように、ついこの間、夫の家族の家に行った時に私はあることに気がつきました。それはドイツではこの挨拶が「ジャム」だってことです。

棘ベリーと呼ばれるベリーもジャムに。ドイツではベリーの種類が豊富なのでジャムもさまざま。
お庭でベリーを収穫してジャムにするのが夏の定番。作るのはなんと、おじいちゃんが担当なんです。

ドイツ人って、ジャムをすごい作るんです。5月頃になると、さまざまな種類のベリーやバラ科のフルーツ、さくらんぼに桃にプラムに杏にと、果物が野菜より豊富に実るんです。なので季節になると、どの家庭でも必ず数種類のジャムを仕込むのが習わしのよう。そしてそれを人に配るんですね。ご近所さんに、お友達に。「ちょっとおひとついかがですか? 今年はルバーブとイチゴのジャムを作ったのよ」とかなんとか言いながら、玄関先で四方山話をするのです。

朝食の時間にはそんな風にして集まった、さまざまな空き瓶に詰められた色とりどりのジャムが所狭しと並ぶのがドイツの食卓の風景でもあります。暖かな季節にせっせと庭の果物を収穫してできた自家製のジャムを、暗くて寒い秋や冬に取り出して、季節を懐かしむかのように、焼いたパンやケーキに乗せて食べる喜びは格別。

ドイツでは柑橘類は採れないので、日本で作ったゆずジャムを持って行ったら、とても喜ばれたのを覚えています。ジャムで始まるご近所付き合い。瓶を開けた時の幸せ、甘ーい時間。こんな挨拶も悪くないですよね。

私は毎年ベルリンで味噌を作り、挨拶がわりにお渡ししてます。
これからの季節は、祖父の庭で収穫した西洋カリンやリンゴをジェリー状にしたジャムを作ります。
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