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ティモンディ前田裕太「僕の運命の相手」【#僕のあまのじゃく#57】

  • 2022.9.4

僕のあまのじゃく#57

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

◁◁

ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。

テーマ:運命

予見できる運命などないと思っている。

運命も、才能も後付け。

後から、あれは運命だったな、と自分で思う分にはいいけれど、あ、これって運命かも、だなんて感情は、単に自分が運命という言葉を利用して、その出会いに理由づけたいだけ。

なんだって運命だって言えるからこそ、思い出した時に運命だったと思えるものこそが運命と定義してもいいだろう。

その性質上、当然ながら他人に運命だなんだ言われるものでもないし、運命も才能も、自分でそうだったと思い込めば、それがそのものになると言っていいと思う。

こうなって然るべきだった、と原因と結果を結びつけられるのであれば、こういう結果になるべくしてなる運命だったと言えるし、因果関係がない場合でも、結局、こうなる運命だったんだ、と後から言うことができる。

そんな中で、私が運命だと感じる存在がある。

イカである。

イカは昔、アサリやアンモナイト同様に、貝の仲間で、遥か昔のイカの形状は、今のような形にはなっていなかった。

もしも、出会う時期が違かった場合、私が目にしていたイカは、アンモナイトのように殻付きだった訳で、そうなると、もう単なる貝としてイカを食していたことになる。

何を隠そう、私は、無類のイカ好きである。

現在のイカと出会うことができなかったなんて考えると、ゾッとする。

あんな美味しいもの、世の中に存在していいのだろうか、と疑問に思うくらい、形状も含めて愛している。

生で良し、煮て良し、焼いて良し、干しても煎餅にしても良しのハイパー食材。

安価に完全養殖をする技術が未だ無いのがイカの実態だけれど、いつか、潤沢な資金を手にしたら、その技術開発の一端を担えるように知識と技術と資金を手に入れて、イカ業界の発展の力になりたいと思う。

どこかの企業がイカの香水を作ってくれたら顧客がここにいることを宣言したい。

ここまで愛している私はおかしい?

そんなことはない。
実はみんなイカが大好きなのだ。

石川県の能登町に、全長13メートル、重さ5トンの巨大イカモニュメント「イカキング」なるものがある。

設置総額の九割に当たる2500万円がコロナ対策の交付金で賄われたということで、賛否も集まったそれは、私にとっては夢のような存在だ。

「無駄ではないか」「コロナとは関係ない」という意見があったらしいけれど、イカキングは、一部の人間にとって、夢のモニュメントである。

いやいや、と首を傾げる読者もいるだろう。

否である。

蓋を開ければ、経済効果は約6億円にも昇り、宣伝効果は約18億円も結果として叩き出している。

なんだよ、みんな結局、イカ好きじゃん。

それが、アンモナイトのような見た目だった場合、食べ方も今のイカより制限されるだろうし、「アンモナイトキング」では、また違う魅力のモニュメントになってしまう。

おそらくここまで盛り上がってはいないだろう。

こんなにも、愛せる存在が、愛せる形で生きている時代に生まれてきたこと、そのものは、私にとっては運命といっていい。

いつか、イカキングとツーショットを撮りに、石川県まで足を運ぼうと思う。

ー完ー

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