1. トップ
  2. 井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第2回『小松海佑の90分』小松海佑

井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第2回『小松海佑の90分』小松海佑

  • 2022.8.29
  • 310 views
井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第2回『小松海佑の90分』小松海佑

公演日: 6月10日公演名: 『小松海佑の90分』

昨年末に銀兵衛を解散後、ピン芸人として再出発した小松海佑。その活動の中心である漫談はますます革命家然としてきていて、身近なことをテーマにしつつ脳を揺さぶる世界観を提示し、あたらしい思想を与え続けています。彼の、客と芸人という関係を超えてくるような語り口や、どこか客観的なものの見方、そして言葉が駆け抜けていき爆発していくネタの方法論が垣間見えたのが、ワンマントークライブ『小松海佑の90分』でした。

登壇してきた小松はしばらく普段の漫談のように立ったままカニカマサンドについてなど話します。自分の生い立ちを語るという段になって着席し、ノートのメモの話し終わった内容に斜線をいれていきました。小松はいろいろな種のようなものをくっつけることでネタを作っていると語りました。それを表すかのように、ノートのメモにはトピックがばらばらに並べてあるようでした。

特に、小学生の頃父親に将来の夢を聞かれた小松が、特に夢はなかったけれど「世界征服」と父に答えると「どう世界征服をするかのプランを考えたほうがいい」と返された話は彼のシニカルさが垣間見えるものだと思いました。
生い立ちを語り終え、ライブがすでに80分経っていると知った小松は立ち上がって怒濤の語りを始めます。時系列に関係なく思い出した順に次々とエピソードを話す様子は星座をつくらない星空のようで、うつくしく、この語りがいつまでも続けばいいなと願ってしまいました。

終演後さっと舞台を去っていった小松のまっすぐな背には強い希望が詰まっているようでした。そんな強い輝きを放つ小松海佑に、みなさんも洗脳されてみませんか?

profile

小松海佑

小松海佑

こまつ・みゆう/漫才コンビ銀兵衛を経て現在はピン芸人としてフリーで活動。第43回ABCお笑いグランプリ最終予選出場。10月まで毎月『新ネタ五本ライブ』を開催。独特の漫談は「文学的」と評されるが、本は読まないそう。

元記事で読む
の記事をもっとみる