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世界一の鉱物コレクター、ビル・ラーソン・コレクション〜前編〜

  • 2022.8.27
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ビル・ラーソンのコレクション/ロードクロサイト“ザ・スネイル、エメラルド

Awesome Mineral Collection

「このファイアを見て!」と白色のオパールを手に取り、照明にかざすビル・ラーソンさん。手の動きとともに、緑から紫、そしてオレンジ色へと遊色効果が見られるこの標本は、くぐもった白によって輝きが抑えられ、なんとも上品な優美さを誇っている。

メキシコ産オパール
100年以上前に採掘されたメキシコ産オパール。ビルさんの個人コレクションには、もともとミュージアムに収蔵されていた標本もたくさん見られ、このオパールもそのうちの一つ。

「1908年にアメリカ自然史博物館に持ち込まれた標本で、メキシコ産のオパールとしてはかなり巨大。母岩も美しいでしょう?」。その声からは純粋な興奮が聞き取れる。鉱物・宝石商〈Pala International〉を営むビルさんはいかにして、世界一のコレクターと呼ばれるようになったのか。鉱物に目覚めたのは6歳の頃だと語る。

「まだミネソタに暮らしていた頃、近くのミネトンカ湖の周りでメノウを見つけ割ってみると、小さなクリスタルが出てきたんです。それが太陽の光に当たって輝く姿を見て、おー!と、夢中になったのが始まりでした。父の仕事でカリフォルニアへ移住すると、20世紀初頭にトルマリンをたくさん産出した鉱山帯が近くにあったんです。父の助けもあり、8歳の時に鉱山の廃棄所から黒いトルマリンなどを見つけ出し、さらに石の魅力にのめり込んでいきました」

テネシー州のカルサイト、アリゾナ州のマラカイト、スペインのフローライト
玄関でいきなり巨大な標本たちがお出迎え。米・テネシー州のカルサイト(左)、アリゾナ州のマラカイト(中)、スペインのフローライト(右)。
ビル・ラーソンのコレクション/フローライト
フローライト/Fluorite - China2019年に中国で産出。ビルさんが「チェーン」と呼ぶ、結晶が連なる造形がユニーク。136×65×40mm。photo:Joaquim Callén
ビル・ラーソンのコレクション/アクアマリン
アクアマリン/Aquamarine on Albite Pakistan柱状結晶が束になりスプレー状の広がりが素晴らしい標本。小さな母岩とのバランスも◎。120×45×40mm。photo:Wimon Manorotkul
ビル・ラーソンのコレクション/エメラルド
エメラルド/Emerald with Calcite Colombia通常であれば宝石としてカットされてしまうレベルのエメラルドの標本。コロンビア産。56×60×35mm。photo:Jeff Scovil
ビル・ラーソンのコレクション/アクアマリン2
アクアマリン/Beryl var. Aquamarine "Scepter" - Brazil「最も好きなアクアマリン」と称する標本。ブラジル・ミナスジェライスで産出。140×60×60mm。photo:Jeff Scovil
ビル・ラーソンのコレクション/フローライト2
フローライト/Fluorite - Russia家族旅行で訪れたロシアで現地のトップコレクターから購入。旅先でもハントは怠らない。183×135×80mm。photo:Jeff Scovil
ビル・ラーソンのコレクション/レインボー ガーネット
レインボー ガーネット/Garnet var. Andradite "Rainbow" New Mexico2018年に米・ニューメキシコ州で産出。この種の中でも虹色の輝きが特に美しい標本。40×35×30mm。photo:Jeff Scovil
ビル・ラーソンのコレクション/ユークレース
ユークレース/Euclase on Calcite - Colombia標本美学を追求するビルさんが「やられた」と思うほど、母岩とのバランスが美しい。45×35×25mm。photo:Robert Weldon
ビル・ラーソンのコレクション/クンツァイト
クンツァイト/Kunzite - California元アメリカ自然史博物館蔵のJ・P・モルガンのコレクション。米・サンディエゴで産出。160×103×15mm。photo:Harold and Erica Van Pelt
ビル・ラーソンのコレクション/ロードクロサイト“ザ・スネイル
ロードクロサイト“ザ・スネイル”/Rhodochrosite "The Snail" South Africa1977年に南アフリカで産出した、世界一有名な鉱物標本。最初にこの標本を撮影したフォトグラファーのヴァン・ペルト夫妻が「カタツムリみたいね」とコメントし、このニックネームがついた。110×80×30mm。photo:Ben DeCamp
ビル・ラーソンのコレクション/ルビー
ルビー/Corundum var. Ruby on Calcite - Myanmarミャンマーで産出。「ピジョン・ブラッド(ハトの血)」と呼ばれる鮮やかな赤色が特徴のルビー。標本のバランスにこだわり、カルサイトはビルさん自らトリミングしたという。90×90×35mm。photo:Mia Dixon
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