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若いからといって油断禁物!アラサーが知っておきたい「リウマチ」とは?

  • 2022.8.25
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誰もが一度は聞いたことのある病名のひとつ「リウマチ」。まさか自分がなるわけがないって思っていませんか? 今回は、「湯川リウマチ内科クリニック」の湯川宗之助先生に、リウマチの症状や治療方法について伺いました。

リウマチとはどんな病気か教えてください。

関節リウマチは、自己免疫疾患です。通常、免疫は細菌など異物が体内に入ってきた際に、その異物が体内で増えないように防御をする役割があります。その免疫が誤って働き、自分で自分の関節などを攻撃するのが自己免疫疾患です。関節リウマチの場合、免疫の異常により関節を包む滑膜に炎症が起こり、それが増殖すると軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれます。放っておくと、やがて関節が変形してしまう病気です。患者数は全国で約80万人と言われていますが、誤解も多い病気であります。それは、関節リウマチは関節が変形してしまう病気で、年配の方がなる病気だという誤解です。

このような背景としましては、リウマチがかつては「不治の病」として知名度の高い病気の一つで、発症した患者の人生を大きく変えてしまう病気だったからだと言われています。しかし、今ではさまざまな治療法が開発され、早期から適切な治療を行えば、症状をコントロールし、関節破壊が進行するのを防ぐことができます。寛解は当たり前、完治も夢ではなくなってきています。その事実が多くの人々に知られていないということが現状であり、課題となっています。

リウマチになりやすい人の特徴を教えてください。

リウマチは、男女比1:4と女性に多い病気です。女性に多い理由としては、出産後に自己免疫疾患を発症する確率が上がるからです。女性は初潮がきて月経が始まり、妊娠可能な期間を経て、閉経する中で、女性ホルモンのバランスが変化していきます。出産を経れば、なおのこと。この女性ホルモンが、自己免疫疾患に関わっていると考えられています。20代では12.5%、30代では19.3%と20〜30代で31.8%が発症している病気ですので、若いからといって見逃せるものでもありません。※2020年 リウマチ白書より

また遺伝的な要因も指摘されていますが、環境的な要因としては喫煙歴も影響しています。現在喫煙している人は、男性で2~3倍、女性で1.2~1.3倍の発症率になると言われています。

リウマチはどんな症状があるのか教えてください。

リウマチの初期症状は下記が主ですが、内容から過労やストレスと思われがちです。

•どことなく気分がすぐれない
•身体がだるい、疲れやすい
•眼や口の渇き
•口内炎
•微熱が続く
•食欲の低下
•体重の減少
•朝の全身の関節のこわばり etc.

最大の特徴は、朝の両手のこわばった感覚で、特に手指の第二、第三関節(指の付け根)で気づきやすいと言われています。症状が進むと手、手指、肘、肩、膝、足、足の指などの関節の痛み・腫れが生じ、中には全身の臓器にも症状が現れることがあります。このため、リウマチはきちんとコントロールされないと寿命が10歳程縮まってしまうこよが分かっております。そのため、早い時期にきちんと診断し、寛解に向けた治療を開始することが重要です。

リウマチの最新治療・予防法を教えてください。

症状や進み具合に合わせて、薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどが行われますが、早期発見が何よりも重要となります。前述した通り、ちょっとした症状でも「リウマチかも?」と疑ってみて診断してもらうことが何より大切となります。
数十年前までは、リウマチは不治の病と考えられていましたが、2003年に新たな治療薬『生物学的製剤』が登場し、これまで根治が難しいと考えられていたリウマチ治療にパラダイムシフト(劇的な変化)が起きました。現在は8種類の生物学的製剤があり、適切な治療を行うことによって寛解(病状が落ち着き日常生活に支障がない状態)を目指せる病気になっています。何度もお伝えしていますが、リウマチは早期発見が鍵となります。

発症した人のうち、約10%は「単周期型」といって発病して1~2年で自然に寛解しています。しかし、50~60%は症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に全身に症状が表れるようになる「多周期型」 20~30%の方は病状がそのまま悪化し、急速に関節破壊が進行する「進行型」のため、いかに早く治療を開始するかが、関節を守れるかどうかのポイントとなります。

リハビリテーションとしては、関節の動く範囲を広げ、血液の流れをよくして痛みや筋肉のこわばりをとるための運動療法や患部を温めて痛みやこわばりを和らげる温熱療法などがありますが、1日最低1回はすべての関節を動かすことが、発症予防や進行を防ぐために望ましいとされているため、無理なく、動かせる範囲でのストレッチや体操を推奨しています。出版させていただいた書籍「リウマチは治せる! KADOKAWA (2020/10/22)」でも特効ストレッチや最新治療をわかりやすくまとめているのでぜひご覧ください。

リウマチが社会に与える影響を教えてください。

医師である私がリウマチ医療を専門に決めたのは研修医時代のことです。ある日、リウマチを患った20代の患者さんがいらっしゃいました。彼女の手指は急速に変形が進んでいて、カバンからモノを取り出すことさえ困難な状態。当時はリウマチが難病と考えられている時代です。彼女の今後の人生を想像し、恋愛や結婚、出産などをどのように乗り越えいくのだろうと、いたたまれない気持ちになりました。リウマチがライフステージに大きく影響する病気であると実感し、患者さんを少しでも普段通りの生活を取り戻してあげたいと考え、リウマチ専門医になることを決意しました。

日本リウマチ友の会による『2020年リウマチ白書』によると、7000人を対象にしたアンケートであなたの職業生活にどんな影響を与えたかという設問に、約50%の人がリウマチのため休職・退職・廃業したと答えています(複数回答)。新薬が登場してから10年以上がたってもこうした状況なのです。また毎日の生活が不便になった人は85%以上、家事ができないという人も50%もいます。1カ月のうち8日間、体調の悪い日があったら、家事・育児・仕事に大きな影響を及ぼします。

リウマチという病気の正しい認識が広まれば、労働力や出生率の向上にも影響してくると考えています。日本社会全体にとっても重要だと考えていますので、リウマチの正しい知識をきちんと広め、リウマチの患者さんにも安心して頂きたい。全国にリウマチの情報を知らない方がいない、医療機関による格差ゼロの状態にしなければいけない。その実現に向けて活動していきたいです。

教えてくれたのは

湯川リウマチ内科クリニック 湯川宗之助先生

1975年生まれ、東京都出身。高校生の時、祖父の病をきっかけに医師を志す。2000年東京医科大学医学部医学科卒業後、 東京医科大学病院第三内科、産業医科大学医学部第一内科学講座を経て、2015年湯川リウマチ内科クリニックを開院。2016年一般社団法人リウマチ医療地域ネットワーク協会を設立。リウマチ治療を受ける患者間、及びその治療システム構築のための社会環境基盤にかかわる事業者間、医療・介護従事者、自治体との連携並びに知識交換を促進する活動。リウマチ治療システムの情報収集・情報公開・普及活動などリウマチの正しい理解を促す啓蒙活動を精力的に行う。2020年、KADOKAWA書店より『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』を発刊し、好評につき台湾翻訳版を準備中。

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