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「ショートケーキ1個の糖質は、おにぎり1個とほぼ同じ」現役医師がスイーツは我慢しなくていいと説く理由

  • 2022.8.21
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36歳で血管年齢45歳、体重79キロだった循環器内科医の池谷敏郎さんは、現在60歳で血管年齢30歳、体重66キロを維持している。池谷さんは「厳しい糖質制限だと続かない。好きなものを食べながら賢くコントロールする“なんちゃって糖質制限”でいい」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)より
池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)より
ざっくり1日で帳尻が合っていればいい

大事なのは、1日のトータルでバランスをとることです。

たとえば、「今日のランチはちょっと食べすぎたな」と思ったら、「明日は少なめにしよう」ではなく、その日の夜に、昼間食べすぎた分を差し引いて食べる。

数日とか1週間ではなく、朝起きてから夜寝るまでの間の1日の中で帳尻を合わせるのが大原則です。

とりすぎた糖質やカロリーを翌日に持ち越さない。これが“なんちゃって糖質制限”のポイントです。

食事をコントロールしにくいのが、人と一緒に食べる外食だと思います。

友人との食事会でも、仕事関係の会食や飲み会でも、血糖値や糖質のことばかり気にしていられませんよね。

「これ、糖質が多いから、いらない」なんていちいち言っていたら、せっかくの盛り上がりに水をさしかねません。

私も、人と一緒の外食のときには、出てきたものは、たいていすべていただきます。

先日も、息子の誕生日祝いで家族でレストランに行き、お腹いっぱいに食べました。お酒も飲んで、楽しいひと時を過ごしました。

せっかくおいしいものを食べに行くときには、楽しむ。それも人生においては大切なことです。

その代わり、ランチで外食したら、自宅での夕食は主食抜きで軽めに済ませます。

夜に会食がある日は、朝・昼に炭水化物を抜いて備え、運動もします。

そうやって必ず「その日のうちに」ざっくり帳尻を合わせるので、たとえ昼や夜にお腹いっぱいに食べても、肥満にはならないし、血糖値も悪くならないのです。

帳尻合わせをするにあたって、食事のたびに「朝のクロワッサンの糖質が○gだったから昼は……」などと計算しなくても、慣れてしまえば感覚的に分かるようになります。

慣れるまでの間だけ、以下の「よく食べるメニューの糖質量」と「GI値」のリストを見ながら、多いのか、少ないのか、何と同じぐらいなのかをチェックして、感覚をつかむようにしましょう。

よく食べるメニューの糖質量・GI値

《定番メニュー、定番商品の糖質量》

○ご飯
白米ご飯 1膳(150g)55g
玄米ご飯 1膳(150g)51g
もち麦ご飯 1膳(150g)41g
おにぎり 1個(ご飯100g)具材によって多少変わりますが、だいたい40g弱
やっぱり一番多いのは白米ご飯です。おにぎり1個のご飯の量はだいたい100g。ご飯茶碗3分の2杯分ぐらい。2個食べると、大盛1杯と同じぐらいになります。納豆ごはんや大豆混ぜごはんにすれば、白米少なめでも満腹感が得られます。



○丼もの(1人分、それぞれのご飯は250g)
親子丼 106g
カツ丼 116g
牛丼 111g
天丼 120g
ねぎトロ丼 92g
カレーライス 112g

ご飯の量が多くなりがちなので、糖質量も増えます。天丼、カツ丼は、さらに衣の分、親子丼、牛丼は甘辛いタレの分の糖質量もプラスされ、より多めです。



○パン
食パン(6枚切り1枚60g) 27g
ロールパン(1個30g) 14g
クロワッサン(1個45g) 19g
あんパン(1個100g) 48g
ベーグル(1個90g) 47g
ナン(1個80g) 37g

食パンは5枚切り、4枚切りを選ぶと、さらに1枚当たりの糖質量は多くなります。



○麺類(1人分)
かけうどん(うどん250g) 56g
かけそば(そば170g) 47g
焼きそば(麺170g) 73g
塩ラーメン(麺230g) 59g
ボロネーゼパスタ(パスタ100g) 79g

麺類の中でも糖質量が多いのが、焼きそばやパスタ料理。私は、具材をたっぷり入れて、麺は少なめ(半量ほど)でつくっています。血糖値スパイクを抑えつつ、満足感はしっかりある食事になります。



○間食系
ショートケーキ(1個110g) 47g
フルーツタルト(1個200g) 60g
チーズケーキ(1個100g) 15g
モンブラン(1個70g) 47g
シュークリーム(1個100g) 25g
アイスクリーム(1個100g) 22g
プリン(1個110g) 16g
クッキー(3枚30g) 18g
ミルクチョコレート(1切れ5g) 2.6g 高カカオチョコは5gで1.6g
カステラ(1切れ50g) 31g
どら焼き(1個60g) 33g
たい焼き(1個85g) 39g
かりんとう(6本30g) 23g
せんべい(2枚15g) 12g
プロテインバー(1本52g) 14g
大豆バー(1本30g) 11g

洋菓子でも和菓子でも、小麦粉をたっぷり使っているものは糖質量が多いです。
ショートケーキ、タルト、モンブランなどのケーキはご飯1膳分ほど、どら焼き、たい焼きなどはおにぎり1個分ぐらいの糖質量があります。



○フルーツ
アボカド(1個140g) 1.2g
いちご(3個45g) 3.2g
パイナップル(1/8個70g) 8.3g
温州みかん(1個80g) 8.8g
キウイ(1個85g) 9.4g
りんご(半分100g) 14g
スイカ(1切れ150g) 14g
ネーブル(1個150g) 16g
バナナ(1本100g) 21g

バナナ、スイカ、ネーブルなど、甘みの強いフルーツは少し糖質量が多くなります。
ちなみにドライフルーツは、水分を飛ばして凝縮している分、一口あたりの糖質量が多いので、あまりおすすめできません。みかん、キウイ、イチゴなどは高血糖が生じにくいフルーツなのでおすすめです。



○ドリンク
コーヒー(無糖.150ml) 1.1g
トマトジュース(200ml) 6.6g
オレンジジュース(果汁100%.200ml) 1g
スポーツドリンク(200ml) 10g
コーラ(200ml) 23g
牛乳(200ml) 9.6g
ビール(200ml) 6.2g
日本酒(1合180ml) 8.1g
ワイン(100ml) 白 2g/赤1.5g
梅酒ロック(60ml) 12g

甘い飲みものには糖質が多く含まれているので当然ですが、液体でとると吸収されやすいので要注意です。
《食材別GI値リスト》
GI(グリセミックインデックス)とは、食後血糖値の上がりやすさを示す指標のこと。
同じぐらいの糖質が含まれていても、GI値が低ければさほど血糖値は上がらず、GI値が高ければ血糖値が上がりやすい、ということです。


○ご飯
白米 84/おにぎり80/玄米58/五穀米55/おかゆ(全粥がゆ) 57

○パン
あんパン 95/フランスパン93/食パン91/バターロール83/ナン82/ベーグル 75/クロワッサン68/ライ麦パン58/全粒粉パン50

○麺類
ビーフン 88/うどん85/インスタントラーメン73/マカロニ71/そうめん 68/そば54/スパゲティ65/スパゲティ(全粒粉)50/中華麺(生) 61/春雨32

○いも・野菜
じゃがいも 90/とうもろこし70/さといも64/くり60/さつまいも55

○フルーツ
パイナップル 65/すいか60/バナナ55/巨峰50/桃41/柿37/りんご 36/キウイ35/みかん33/オレンジ31/いちご29ドライバナナ 65/ドライレーズン54/ドライプルーン44

○お菓子
飴 108/どら焼き 95/チョコレート91/せんべい89/大福88/キャラメル 86/フライドポテト85/かりんとう84/ショートケーキ82/こしあん 80/つぶあん78/クッキー77/チーズケーキ75/アイスクリーム 65/ポテトチップス60/プレーンヨーグルト25

宴会は朝から始まっている

コロナ前には、血糖値が安定しない患者さんや体重がなかなか減らない患者さんから、「いやあ、宴会続きで……」という言い訳をよく聞きました。

でも、宴会があることは、たいてい朝には分かっていますよね。

であれば、朝食と昼食でバランスをとることはできます。

「宴会は、朝から始まっていると思ってくださいね」

そんなふうに、患者さんには冗談交じりに伝えています。

朝・昼・夕食のうち、どれかが糖質過多になったら、他のタイミングで調整することを習慣にする。“なんちゃって”ですから、そのぐらいのゆるさでOKです。

これなら、どんな生活スタイルの人も、ガマンなく続くのではないでしょうか。

スイーツはガマンしなくていい

甘いものが好きな人は、スイーツもガマンしなくてOKです。

「朝起きてから寝るまでの間の1日トータルで、糖質やカロリーをとりすぎていなければいい」というのは、もちろん間食も含めてですから。

いただきもののスイーツがあったり、「今日は甘いものが食べたい」といった日には、私も、おいしくいただいています。

その代わり、間食としてではなく、お昼の主食として食べています。

野菜ジュースや青汁を飲んでからケーキを食べたり、野菜の入ったスープやサラダを食べてからケーキを食べてランチは終わりというようにです。

食べる順番については次の項目で説明しますが、先に野菜を食べることで血糖値が上がりにくく、お腹いっぱいにもなります。

ご飯やパンも、スイーツも、同じ糖質です。おにぎり1個とベーグル1個、ショートケーキ1個は、だいたい同じぐらいの糖質量です。

スイーツで糖質をとったら、ご飯やパンを抜く。ごくシンプルなルールです。

スイーツはガマンしなくていいので、主食だと思っておいしくいただきましょう。

ただし、これは裏ワザなので、毎日・毎食はおすすめできません。週2回ぐらいまでと心得ておきましょう。

いい夢見れそう
池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)より
「お腹が空いたからまず炭水化物」はNG

お腹が空いたから、まずは炭水化物を……。

空腹のときほど、食べやすい炭水化物に手が伸びそうになりますが、これはNGです。

一番血糖値を上げやすい食べ方だからです。

食後の血糖値の急上昇を抑えるには、食べる順番が大切です。「まず野菜から」は、かなり常識になってきました。「ベジファースト」と言われることもあります。

なぜ、「野菜から」がいいのでしょうか? 改めて説明すると、野菜は食物繊維が多いからです。食物繊維は、糖質が体内で分解・吸収されるスピードをゆるやかにして、食後の血糖値の急上昇を防いでくれる、ありがたい存在です。

中性脂肪やコレステロールを便として排泄する手助けをしてくれるし、ナトリウムを排出する働きもあるので、脂質異常症や高血圧の予防にも役立ちます。

「野菜なら何でもいい」わけではない

こうした働きがあるのは、食物繊維の中でも、水に溶ける「水溶性食物繊維」です(食物繊維には、水溶性食物繊維と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります)。

食物繊維の多い食材の代表が、野菜、きのこ、海藻ですが、中でもより水溶性食物繊維の量が多いのが、ごぼう、オクラ、芽キャベツ、モロヘイヤ、なめこ、わかめ、昆布、ひじき、納豆、アボカド、イチジクなど。

ネバネバ系の食べものが多いですね。

食べる順番に迷ったら、水溶性食物繊維を多く含む野菜やきのこ、海藻が入ったサラダやスープ、副菜などをまず食べる。これが鉄則です。

野菜がなければ「大豆」

野菜や海藻たっぷりのサラダもスープもない──。

そんなときには、「ソイファースト」をおすすめします。

池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)
池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)

「ソイ」なので、大豆メニューから先に食べるということ。私自身、5年以上前から実践していて、すっかり定番になっています。

ソイファーストの実践方法でとくに手軽なのは、納豆、蒸し大豆、豆乳です。

ネバネバ食品の納豆は、先ほども紹介したように水溶性食物繊維が豊富。それに、常備しておきやすいので、サラダがないときには納豆から食べましょう。

蒸し大豆も、最近では定番商品として、パック入りのものがコンビニでもスーパーでも売られています。ほのかな甘みがあるのでそのまま食べてもおいしいのですが、私はヨーグルトにトッピングしたり、野菜ジュースやインスタントスープに混ぜています。

食前に食べてソイファーストにすることもあれば、ちょっと小腹が空いたときの間食代わりにすることもあります。

また、一番簡単なソイファーストは、豆乳です。

豆乳は、調理の過程で食物繊維がかなり減ってしまいますが、大豆独特のえぐみ成分である「大豆サポニン」が、糖の吸収を抑えてくれます。

ただし、豆乳がいいからといって、甘く味つけされた豆乳飲料では逆効果です。これでは最初に炭水化物から食べるのと同じことになってしまうので、必ず、甘くない無調整豆乳を選びましょう。私は、外食の前には、あえて豆乳を1杯飲んでから行くこともあります。みなさんも、とくに丼ものやうどん・そばといった炭水化物メニューになりそうなときには、ソイファーストを実践してみてください。

野菜・大豆の次は魚

食べる順番で、ベジファースト、ソイファーストの次はというと、おすすめは「魚」です。「フィッシュセカンド」と呼んでいます。

魚の油に含まれるEPA(エイコサペンタ塩酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は「インクレチン」というホルモンの分泌を増やし、インスリンが出やすい状態をつくってくれるのです。

インクレチンは、糖尿病の薬にも使われている、大事なホルモンです。

ベジファーストやソイファーストで糖の吸収をゆるやかにして、フィッシュセカンドでインスリンの分泌をサポートする。そして、だんだんお腹がいっぱいになってきたら最後にご飯やパンなどの主食を食べる。そうすると、自然に、主食は少なめでも満足します。

これが、ベストな「食べる順番」です。

池谷 敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。

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