1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【東京】東北へのまなざし1930-1945@東京ステーションギャラリー 東北の魅力再発見!

【東京】東北へのまなざし1930-1945@東京ステーションギャラリー 東北の魅力再発見!

  • 2022.8.20
  • 1962 views

丸の内の東京ステーションギャラリーでは「東北へのまなざし1930-1945」展が9月25日(日)まで開催されています。

出典:リビング東京Web

1930年-1945年頃の時代、第二次大戦の前から戦中の時期に先端的な意識をもった人々が東北地方を訪れ生活、建築、文化に注目し、様々な角度から見た東北についての魅力が感じられる展覧会です。

ポスターに掲載されている人物、今 和次郎、ペリアン、柳 宗悦、タウトについてのプロフィールと、東北との関わりについての資料が展示されています。彼らはどのような経緯で東北を訪問し、東北地方を見つめていたのか興味深い展示です。

ブルーノ・タウトの軌跡

ドイツの建築家、ブルーノ・タウト[1880-1938]は1933年に来日し、仙台の商工省工藝指導所でデザイン規範を約半年間指導しました。滞在中の様子を撮影したアルバムが展示されています。

出典:リビング東京Web

タウトの秋田の旅について時系列に滞在の様子と当時の東北の生活用品が詳細に展示されています。

出典:リビング東京Web

展示風景

出典:リビング東京Web
柳宗悦の東北美学とは

柳宗悦(やなぎ むねよし)[1889-1961]は美術評論家、宗教哲学者でもあり「民衆的工藝」を略語化した「民藝」を提唱しました。柳は名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具を「民藝(民衆的工芸)」と名付け、美術品に負けない美しさがあると唱え、美は生活の中にあると語りました。当時の東北地方は後進的とみなされていましたが、柳にとって「驚くべき富有な地」であり、「民藝の宝庫」でした。

出典:リビング東京Web

芹沢銈介《日本民藝地図(現在之日本民藝)》部分、1941年、日本民藝館

出典:リビング東京Web

展示風景

出典:リビング東京Web

展示風景

棟方志巧の作品はダイナミックで力強さが感じられます。

出典:リビング東京Web
郷土玩具

昭和初期は旅行ブームでもあり、地方への関心が高まり、こどもが楽しむ郷土玩具が大人の趣味・収集の対象となっていきました。こけしは頭と胴体のシンプルな形状ですが、地域によって名称、サイズが異なります。会場で実際に比較しながら鑑賞してみると、面白い発見があるかもしれません。

出典:リビング東京Web

展示風景

「雪調」ユートピア

東北地方の冬季は豪雪地帯も多く、厳しい気候です。1933年、農林省は経済恐慌や凶作に陥った東北地方の救済の道を探ろうと、山形県新庄に積雪地方農村経済調査所(通称「雪調」)を設置しました。民家研究の第一人者で青森生まれの今 和次郎[1888-1973]は、雪害を受けにくいトンガリ屋根の試験農家家屋を設計するなどしました。こちらの模型は雪国での生活課題を解決すべく二階に出入口を設け、女性の家事負担にも配慮した画期的な設計です。

考現学とは

あまり耳慣れない言葉ですが、1927年(昭和2年)、今 和次郎が提唱した学問です。都会の人々の行動パターンや装いを独自の目線で路上観察し、データを採集、分析する行為を「考現学」(考古学に対する造語)と名づけます。 今 和次郎は、民俗学者・柳田國男らと行った日本各地の民家調査をもとに、1920年代以降、東北の近代化と生活改善にも力を注ぎました。

出典:リビング東京Web

フランスのデザイナー、シャルロット・ペリアン[1903-1999]は1940年(昭和15年)、 日本の商工省が輸出工芸指導の装飾美術顧問として招聘しました。山形の素材とモダンデザインを融合させた家具を試作し、地元の人に伝授しました。

出典:リビング東京Web

展示風景

福島出身の画家・吉井忠[1908-1999]が、1941年から3年間、東北各地の農村漁村を訪ね歩き、作業を手伝いながらスケッチやメモにまとめた『東北記』は、物資の乏しい戦時下において、貧しくも粘り強い人々の営為の貴重な記録です。

出典:リビング東京Web

東北地方は、1930年代当時は都会と物理的にも遠距離であることから、後進的な周縁と思われていました。展示されていた数々の民芸品、芸術作品を鑑賞していると厳しい気候条件の中でも豊かな文化が形成され、東北地方の人々のたくましさが感じられました。改めて東北地方の魅力が再発見できた展示でした。

東北へのまなざし1930-1945 会期 2022年9月25日(日)迄 *会期中一部展示替えがあります(前期7/23~8/21、後期8/23~9/25) 会場 東京ステーションギャラリー 住所 東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口 改札前) 時間 10:00~18:00(金曜日~20:00)*入館は閉館30分前まで 休館日 月曜日 *ただし8月15日、9月19日は開館 観覧料 一般1,400円、高校・大学生1,200円、中学生以下無料 *障がい者手帳等持参の方は100円引き(介添者1名は無料) *最新情報・チケット購入方法は当館ウェブサイトでご確認ください *新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催内容が変更になる場合があります TEL 03-3212-2485 URL https://www.ejrcf.or.jp/gallery 【東京ステーションギャラリー|公式サイト】

元記事で読む
の記事をもっとみる