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女の呪いから救い出してくれる、 理解者という存在。

  • 2022.8.19
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女の生きざま、夫婦という関係性、ジェンダーの呪い、シスターフッド……。漫画は幅広い社会問題や多様性に切り込み、さまざまな愛のカタチを知ることができる大人の読み物。エッセイスト犬山紙子が、いま読むべき作品を厳選&コメント。

母からの呪いを継ぐ、 女たちに寄り添う男。

愛すべき娘たち

よしながふみ著  白泉社刊 ¥715

女のさまざまな愛と人間模様を描いた5つの連作集。「主人公は母から容姿をけなされることなく育てられた。でも美しい母は祖母から不細工だと育てられ、心の傷を負って生きてきた。そんな母は元ホストの若い男と再婚し、ふたりを見る主人公の第三者視点で語られる。最初は偏見を持ってしまうけれど、年の差のあるふたりのコミュニ ケーションや対等な恋愛関係の描かれ方が素晴らしい。母から子への呪いやフェミニズムに切り込んだ作品」

フェミニズムに切り込んだ、 異色の少女漫画に注目。

『さよならミニスカート』(1、2 巻)

牧野あおい著  集英社刊 各¥484

アイドルとして頑張っていた主人公 は、ある事件から芸能界を辞め、スカートではなくスラックスを履き、男装をして転校する。「ミニスカートは『あんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ』という台詞が素晴らしい。女の子は自分のためにミニスカートを履いている。そんな主人公に、こんなにわかってくれる男の子っているのかというほどの理解者が現れる。この作品が、あの少女漫画雑誌『りぼん』 での連載作品ということが最高!」

犬山紙子Kamiko Inuyama1981年、大阪府生まれ。イラストエッセイスト、コラムニスト。ファッション誌の編集者を経て、『負け美女ルックスが仇になる』(マガジンハウス刊)でデビュー。雑誌、テレビ、ラジオなどで幅広く活躍中。madameFIGARO.jpでは「犬山紙子がいま思うこと」を連載中。

*「フィガロジャポン」2022年3月号より抜粋

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