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公務員の年金に上乗せされる「職域加算」とは?会社員は貰えない?

  • 2022.8.12
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待遇面から、なにかと優遇されている感のある公務員。会社員同様に公務員は厚生年金の加入者です。にもかかわらず、公務員にだけ「職域加算」という上乗せがあるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。そこで本記事では、公務員の職域加算および年金制度について解説します。

■日本の公的年金制度

まずは日本の公的年金制度について確認しておきましょう。

国民年金や厚生年金、企業年金などと、日本の公的年金制度は少し複雑です。その仕組み上、2階建て、3階建てといわれ、それぞれの加入対象者は次のようになります。

・1階部分
国民年金(基礎年金ともいう):日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入

・2階部分
厚生年金(被用者年金ともいう):会社員と公務員が加入

・3階部分
企業年金(確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出型年金(DC)など):企業年金のある会社に勤める人が加入

2階部分まで加入する人は1階部分も加入しているということです。同様に、3階部分まで加入する人は1・2階部分も加入しています。

■職域加算とは?公務員にだけあるのはなぜ?

公務員が厚生年金に加入することは前述したとおりですが、実はこれは2015年10月1日以後のこと。同年9月30日までは公務員独自の年金制度である共済年金の加入者でした。ちなみに共済年金は厚生年金と同じ2階部分の年金です。

厚生年金も共済年金も共に被雇用者が加入する「被用者年金」であり、被用者年金制度全体の公平性・安定性確保の観点から両者が統合されました。統合された後は、公務員も厚生年金に加入することになりました。

ところが、かつての共済年金には、民間企業のいわゆる「企業年金」に相当する「職域加算」がありました。つまり、職域加算は先に見た3階部分にあたる年金です。

2階部分の共済年金が厚生年金と統合されると同時にこの職域加算は廃止されたものの、そもそも3階部分は共済年金加入者(公務員)独自の制度です。

共済年金の加入期間がある人および年金権を有する人は、経過措置として、統合日以後も「加入期間に応じた職域加算」が支給されることになっています。

別の言い方をすれば、共済年金の加入期間がない公務員はもちろん、会社員も職域加算をもらうことはできません。

■職域加算廃止後も公務員は年金が優遇されている?!

職域加算の廃止に伴い、実は、新たに「年金払い退職給付」制度が設けられました。これは、制度創設後の2015年10月1日以後に加入した期間に応じて65歳以後支給されるという、公務員独自の3階部分の年金制度です。ちなみに、この3階部分の保険料は労使折半。半分は公務員自身の負担です。

職域加算から年金払い退職給付へと、制度の内容は変わっても公務員独自の3階部分の年金が無くなったわけではありません。そのため、やはり公務員は優遇されていると捉える人もいるかもしれません。

しかしながら、冒頭で説明したように、民間企業に勤める会社員は、3階部分の年金がある人、ない人に分かれます。また、多くの場合、企業年金の保険料は全額を企業が負担することを考えると、公務員が優遇されているとは言い難いでしょう。

■大切なのは自分で自分の年金を確保すること

老後の収入源として大きな役割を担う公的年金。誰もが少しでもより多くの額をもらいたいと思うものでしょう。しかし、働き方や勤務先などによって将来受け取れる年金が異なるのが実情です。

そうであれば、自分のおかれた環境で、いかに自分の将来の年金を確保するかということを考えましょう。年金制度について知るとともに、長く働き続けたり、iDeCoに加入したりして、自分で自分の年金を守り、増やすことに努めることが大切です。

文・續恵美子
生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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