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セックスシーンで女性俳優への保護は必要ない、『GoT』ショーン・ビーンの発言に波紋

  • 2022.8.10
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『ゲーム・オブ・スローンズ』などで知られるショーン・ビーンが、セックスシーンなどの撮影で俳優を守るために起用される専門家のインティマシー・コーディネーターはシーンを壊すと発言し、批判が集まっている。(フロントロウ編集部)

ショーン・ビーンがインティマシー・コーディネーターに反対

映画『ロード・オブ・ザ・リング』やドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』など、数々の作品に出演してきた俳優のショーン・ビーンが、ここ数年で多くの撮影現場で起用されているインティマシー・コーディネーターの存在を批判し、物議を醸している。

インティマシー・コーディネーターとは、俳優が裸になるシーンやセックスシーンなどの親密なシーンにおいて、俳優達が安全に演技ができるように環境を整える専門家のこと。性暴力被害に遭ってきた映像制作現場の女性達が声をあげたMeToo運動によって注目が高まり、2018年にはHBOがすべての作品の撮影現場でインティマシー・コーディネーターを配属すると決定した。

しかしショーンは先日、英The Sunday Timesのインタビューで、インティマシー・コーディネーターは親密なシーンにおける「自然さを台無しにする」と発言。「愛し合っている者同士の自然な行動は、それを誰かが技術的なエクササイズにした時に破壊される」と続けた。

画像: ショーン・ビーンがインティマシー・コーディネーターに反対

ショーンの発言には批判の声があがっているが、さらに、インタビュアーが、インティマシー・コーディネーターは女性を守るためにハリウッドが取った方針だと指摘すると、彼はドラマ『スノーピアサー』で共演したレナ・ホールを例に出し、「女優による。あの人はミュージカルキャバレーの経験があるから、なんでもやれた」と発言。キャバレーの経験があれば何でもやると主張しているような口ぶりにも批判が集まった。

ショーンの発言に他の俳優達から批判

彼の発言を受けて、映画『ウエスト・サイド・ストーリー』や『白雪姫』の主演で知られるレイチェル・ゼグラーは、「インティマシー・コーディネーターは俳優達のために安全な環境を作ってくれる。『ウエスト・サイド・ストーリー』で配属されたことに、かなり感謝してる。私のような新人にも丁寧だったし、何年もの経験を持つ共演者達のことも指導していた。親密なシーンでの自然さは危険になり得る。目を覚ませ」と、怒りの感じられるコメント。

また、男性俳優も反応しており、ドラマ『Ghosts(原題)』のリッチー・モリアーティは、「脚本で決められた瞬間を自然に感じさせることこそ俳優の仕事だけど」と鋭く指摘した。

有名YouTuberのフランチェスカ・ラムジーは、「“自然さを台無しにする”ことが、文字通りインティマシー・コーディネーターの仕事でしょう。すべてのパフォーマーが安心し、守られているなかで、セックスや裸を含むシーンの撮影が行なわれるためにコーディネーター達はそこにいる。たった1人の俳優だけが作り出そうとするのは不可能」と、コーディネーターの仕事の意義を支持していた。

インティマシー・コーディネーターがいてくれて助かったと話す俳優は多く、女性俳優からはもちろんのこと、『ブリジャートン家』のジョナサン・ベイリーや、『セックス・エデュケーション』のエイサ・バターフィールドなども、その存在について助かったと話してきた。

また、インティマシー・コーディネーターのパイオニアであるイタ・オブライエンがフロントロウの独自取材で話してくれたように、コーディネーターが行なうのは撮影中に俳優達に動きの指示をすることだけではなく、俳優達の意思を聞き、監督や撮影監督、衣装チームなどとの連携を図り、撮影の環境全体を整えることも含まれる。

レナ・ホールが反応

そして、ショーンがレナについて「ミュージカルキャバレーの経験があるから、なんでもやれた」と発言したため、彼女の元には多数の心配の声が寄せられていた。そのため、レナ本人が反応した。

画像: レナ・ホールが反応

彼女がまず指摘したのは、『スノーピアサー』におけるショーンとの共演シーンの撮影では裸ではなかったということ。2人は浴槽に浸かっており、彼女は裸に見えたが実際はそうではなく、ショーンはタキシードを着ていたという。

続いて、ショーンが彼女にはキャバレーの経験があると言ったことは適切ではないと感じたようで、「私が劇場での俳優(キャバレーではない。数年に一回はパフォーマンスをするけど)だからといって、何でもすることは意味しない」と指摘。どこまでできるかどうかは共演者やシーンの詳細、監督やスタッフによるとしたうえで、一方でショーンは素晴らしい俳優だったため、彼との親密なシーンは問題なかったと話した。そして、「そのシーンでの共演者や、その部屋にいる他の人達と安心していられれば、私はインティマシー・コーディネーターは必要ない。でも!変、キモイ、過度に露出されていると感じれば、そのシーンの必要性に疑問を呈するか、インティマシー・コーディネーターが必要」と続けた。

インティマシー・コーディネーターに対する賛否は置いておいて、ショーンが、レナにはキャバレーの経験があるから何でもやるとしたことは、経験や職業によって個人を無視する問題のある発言だと言える。

また、自殺やレイプに関するシーンではメンタルヘルスの専門家が必要だとし、インティマシー・コーディネーターはその点でも助けてくれるため、セットで歓迎するとした。

親密なシーンにおける撮影環境については、何十年の演技経験を持つウィル・スミスすらも、「セックスシーンは演技における最悪の部分。映画で観る時には、音楽が流れていてワインもあってという感じですが、セットではマイクを持ったデカい男が、ガムを噛みながら自分たちを見ているんですから」と話していたことがある。

インティマシー・コーディネーターのパイオニアであるイタ・オブライエンは、フロントロウの独自取材で、活動の当初は監督に無視されることもあったと明かしてくれた。そんな彼女がインティマシー・コーディネーターの理論を発展させてきた背景には、「もし俳優たちに被害者と加害者を演じさせる場合は、どうすればそれを安全にやらせられるかと考えました。俳優たちが主体的に参加でき、中心にいて、自分を持っていて、お互いのためにいられるための、本当に良い実践の場を持つには、リハーサルにおいてどのような実践と基準が必要なのか?それが私がとくにこだわったところでした」と話していた。

ショーンの発言からは、彼が、これまでに親密なシーンで傷つけられたり、最悪の場合は性暴力を受けたりしてきた俳優達の声に耳を傾けられていないと感じざるを得ない。

(フロントロウ編集部)

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