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『ぼうしかぶって』【今日の絵本だより 第308回】

  • 2022.8.17
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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ぼうしかぶって』【今日の絵本だより 第308回】の画像1

『ぼうしかぶって』 三浦太郎/作 童心社 880円

8月10日は、ぼうしの日。 「ハッ(8)ト(10)」の語呂合わせからですね。 今回ご紹介する『ぼうしかぶって』は、1歳から楽しめるファーストブックです。

最初に登場するのは、仕事カバンを手にネクタイ姿の、なすのとうさん。 ちょっとお急ぎ気味のようで、 「なすの とうさん たたたたた」。 ページをめくると、 「ぼうしかぶって いってきまーす」。 なるほど、頭にのせたのは、紫のなすのへたのぼうし。 次にやってきたパイナップルのにいさんは、ギターを抱えて 「どどどどど」。 「ぼうしかぶって いってきまーす」。 ツンツン緑の葉っぱのぼうし、かっこいい。 かきのねえさんは、カメラ片手に 「さささささ」。 かきのへたのぼうしって、こうして見ると、なかなかおしゃれなデザインです。

繰り返しのオノマトペが楽しいファーストブックはたくさんありますが、「赤ちゃんは楽しむと聞いていても、なんだか大人にはよくわからなくて……」と、ちょっと手が出ないママパパも多いのではないでしょうか。 『ぼうしかぶって』のよいところは、シンプルだけれど物語があるところ。 家族のみんなが次々に「ぼうしかぶって いってきまーす」というお話は、日常生活の続きのようで、絵本ビギナーのママパパもすっと読めると思います。 そう、ちょうど今の時季、ぼうしをかぶってのおでかけ前に読むのもおすすめですよ。

作者の三浦太郎さんの娘さんは、赤ちゃんの頃はぼうしをかぶるのが嫌いだったとか。 当時のエピソードを思い返してのあとがきは、私のように子どもが大きくなった世代には、じんわりと胸にしみてきます。 最初の扉ページと、最後の奥付ページにある絵にもご注目。 こういう小さな喜びの種も、絵本の楽しみのひとつですよね。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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