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キャンプ初心者必見!キャリーバッグひとつで行くお手軽“キャリーキャンプ”

  • 2022.8.9

キャンプは、大人に許されたおままごと自分好みの空間をつくろう

ここ数年のブームを受けて、キャンプに興味をもちはじめた人も多いのでは? 準備やキャンプ場へのアクセスなど、初心者さんにはハードルが高いイメージもありますが「場所や道具選びを工夫すると、思いのほか気軽に行けますよ」と、キャリーバッグひとつで行くキャンプスタイルを確立したキャンパーの森風美さんは話します。そんな森さんに、キャンプ初心者にぴったりな“キャリーキャンプ”の楽しみ方を教えていただきました。

キャリーバッグひとつで行く「キャリーキャンプ」とは?

アウトドア好きな家族のもとで育ち、幼い頃からキャンプに慣れ親しんできたという森さん。豊富なキャンプ経験を生かして、女性も気軽に楽しめるキャンプスタイルを発信するほか、キャリーバッグひとつで行く“キャリーキャンプ”を確立したことでも知られています。そのきっかけは、ソロキャンプデビューした大学生の頃のあるできごとでした。

「今日もってきたテントに一目惚れして、このテントでソロキャンプしてみたい!と思ったのがはじまり。小さい頃から家族とはキャンプに出かけていましたが、ソロは未経験で。当時は車も運転免許ももっていなかったため、公共交通機関で移動しやすい荷物量にせざるを得なかったんですね。そこからたどり着いたのが、キャリーバッグで行く“キャリーキャンプ”でした」

日本全国をはじめ、海外にもキャリーバッグひとつでキャンプに出かけるという森さん。「キャンプが大好き」だといい、毎年計80泊はキャンプしているのだとか!

当時はソロキャンプについての知識もなかったため、まずは下調べ。「そこで女子ソロキャンパーの先がけとなったこいしゆうかさんに出会いました」。こいしさんはバックパックを愛用されていたそうですが「バックパックに収まるサイズの折り畳みテーブルや軽いチタン製の鍋は、質がいいぶん値が張るんですよ。私はまだ学生だったので予算的に厳しいなと考えたときに、思いついたのがキャリーバッグでした」

今愛用しているのは、デザインが気に入って選んだという70リットルサイズの布製キャリーバッグ。キャリーバッグの素材を大きく分けると、布製のソフトタイプとプラスチックやアルミを使っているハードタイプの2種類があります。「ハードは頑丈で汚れも落ちやすいので便利ですが、私はなぜか帰りに収納がうまくいかなくなったり、おみやげを買って荷物が増えたりするタイプなので、多少容量が増えても大丈夫な伸縮性のあるソフトタイプを使っています。それぞれの良さがあるので、用途や好みによって選んでみてください」

森さんのキャリーバッグ
はじめはゴムバンドで旅行バッグをくくりつける、フレームタイプのキャリーカートを使っていたそう。「キャンプ場への道中は足場が悪いことも多いため、荷崩れや、雨にも悩まされました。そのうちに、旅行用のキャリーバッグでいけるかも!と思いついたんです」と森さん

「ちなみにキャンプにもっていくなら、4輪よりも2輪が向いています。4輪は小回りが利きますが、2輪の方がタイヤが大きく、舗装されていない道でも引きやすい。また、ロックをかけなくても電車やバスの中で転がりにくいのもお気に入りです」

「キャリーバッグに収まるようにキャンプ道具をチョイスする時間も、キャリーキャンプのおもしろさ」だとか。「焚き火台やBBQコンロはキャンプ場でレンタルできることもあるので、その時々で借りられるものを踏まえながら、手もちのアイテムをピックアップしていくと荷造りもスムーズです」

森さんのキャンプ用の装備
森さんのキャンプ用の装備はこちら。テントや、キャンプコット(ベッド)、折り畳み椅子、はんごうなど、最低限の荷物でまとまっています。夏はこれらが入ったキャリーバッグにプラスして、クーラーボックスももっていくそう。ガスボンベや刃物のもち込みは各公共交通機関によってルールが定められているので、出かける前に確認を

「けっこうな量ですが、おうちではキャリーバッグに収納したまま置いておくと部屋のスペースも圧迫しませんし、災害時に避難するときの備えにもなります。特にLEDランタンは火事の心配もないので、一つ用意しておくと安心ですよ!」

よく見ると、ランタンが3つも入っています。「すべて充電式の吊るせるタイプで、テント内で使うものと空間に雰囲気を出すインテリア用とで使い分けています」。中でも夏キャンプでのイチオシは、アウトドアショップ「5050WORKSHOP」の殺虫ライトが付いた「MOSKEE YURAGI」。

私だけのキャンプ空間をつくる楽しみ

家族でキャンプに行っていたときは、道具選びも機能性重視だったため、一人でキャンプするようになってからお気に入りの道具を集める楽しみや、キャンプでの空間づくりにも目覚めたという森さん。

キャンプで自分ならではの空間をつくる醍醐味(だいごみ)は「無駄なものがないこと」だと話します。「おうちではせっかくインテリアに凝っていても、家電のコードや郵便物の山など、どうしても余計なものが目に入りますよね(笑)。大自然の中で過ごすキャンプならそうした現実的なものが入り込まないので、好きなアイテムだけがそろう特別な非日常空間がつくれるんです」

キャンプ空間づくり
森さんいわく、キャンプは「大人に許されたおままごと」。「子どもの頃に好きだった人形遊びのスケールが大きくなったような感覚です(笑)。台湾旅行で買ったラグなど、自宅で使っているお気に入りのアイテムも取り入れながら空間づくりを楽しんでいます」

自分らしいキャンプスペースをつくるコツは「占める面積が大きなものに、道具全体のテイストを合わせること」。「キャリーキャンプで一番場所を取るのはテントなので、それを中心に色みやデザインを合わせていくと雰囲気がまとまりやすいですよ」

道具の選び方も、キャンパーによってさまざま。「ブランドにこだわらない人と、ブランドのラインをそろえて統一感を出す人がいます。私は前者で、雑貨屋さんを巡ったりしながらキャンプで使えそうなアイテムを探すのが趣味の一つ。あとは、100円ショップもよく利用しますね。今日もってきた調味料ボックスも、100円ショップで買った箱をちょうつがいでつなげて手づくりしたものなんです」

初心者がまずキャンプ道具を選ぶときは、なんでもそろう量販店タイプのアウトドアショップに行くのがベスト。「『スポーツオーソリティ』や『エルブレス』『スーパースポーツゼビオ』など、専門的な知識をもつスタッフさんがいるお店でアドバイスをもらうといいですよ。店舗に行けば実物が見られるし重さもわかって、キャリーバッグで移動するときの重量感がイメージしやすいと思います。さらにアウトドアショップやメーカーがキャンプ講習を開催していることもあるので、キャンプ未経験の人はそうしたイベントに参加するのもいいと思います」

マイペースに、快適に過ごす夏キャンプ

キャンプ中は季節に関係なく、テントのそばでまったり過ごすのが森さん流。夏はそこに、シュノーケリングや釣りなどのアクティビティが加わるのだそう。「海釣りした魚を食べるなど、山海両方の自然にふれられるのは夏ならではですね」

テントの中
テントの中でアウトドア雑誌を読んだりゲームをしたりするのが、森さんの過ごし方。「ごはんをつくってお酒を飲んだりひたすらゲームをしたり、ふだん家でしている当たり前のことが特別なひとときに変わるのが、キャンプの魅力。もともと自然の中で育ってきたので、いわゆる『デジタルデトックス』がしたいわけでもなく、自分の好きなことを楽しむのが私流です」

さらに太陽が照りつける夏キャンプでは、「服装やもち物にちょっと気を使うと格段に過ごしやすくなる」といいます。「アイテムでいえば、テント内を涼しくするバッテリー内蔵のポータブル扇風機は必須! 場所も取らないので、取り入れてみてください」

森の中
「キャンプは森の中なので、虫に刺されないように肌の露出はなるべく避けること。昼夜で気温が変動するため、羽織るものを1枚もっていくのも忘れずに」

夏場にキャンプ飯をつくるなら……「暑い時期は特に、レトルトパウチ食品や乾麺が便利です。移動時間にもよりますが、生肉や魚は鮮度が心配なのと、余ったときにもち帰るのも難しい。もし生鮮食材をもっていくなら、事前に小分けにしておくとかさばりませんよ」

はんごうで炊いたごはん
本日ははんごうで炊いたごはんの上にレトルトのタコスソースと、カット野菜をのせてタコライスを調理。レトルト食品をいくつかもっていって、その日の気分に合わせて料理してみて

さらに、キャンプ飯をつくるうえでもっておくと便利だというのが「アウトドアスパイス」。「塩コショウ、ニンニク、ハーブなどをミックスしたスパイスなのですが、生野菜やお肉にふったり、レトルトにひと味くわえたり。私は『motteco』や『ほりにし』が好きですが、一般的なスーパーで買うなら『マキシマム』のものがキャンパーの中でも人気です」

たき火
他にもさまざまな過ごし方が。「季節に関係なくできるアクティビティとしては、たき火があります。冬に暖を取るだけではなく、夏場もまきのいい香りを味わったり、火を料理に使ったりして楽しめますよ。たき火台を貸し出しているキャンプ場も多いので、調べてみてくださいね」

初心者が過ごしやすいキャンプ場の選び方

キャリーキャンプのよさは「思い立ったらすぐに出かけられて、日帰りでもお酒が飲めるところ!」。「公共交通機関といえば電車やバスで行ける範囲をイメージしがちですが、ちょっとぜいたくしてタクシーを活用すれば行動範囲が広がりますし、飛行機や船という選択肢もあります。目的地が遠方であるほど、キャリーキャンプの自由度を実感しますね」

とはいえ、初めてならばまずは近場で。
夏におすすめのスポットを聞くと、「都内からアクセスしやすいのは、電車とバスで行ける『江東区立若洲公園』のキャンプ場。海釣りもでき、かつ、さおもレンタルされているのでふだんどおりにキャリーバッグひとつで行けばOKです。もう少し足を延ばすなら、伊豆七島も自然がいっぱいでいいですよ」

今回撮影で訪れた神奈川県本厚木にある「TINY CAMP VILLAGE(タイニーキャンプヴィレッジ)」も、夏のキャリーキャンプにおすすめな場所の一つ。森さんがソロキャンプ初心者の頃から通っている、思い出深いキャンプ場でもあります。

公共交通機関で行けるキャンプ場
キャンプに行くなら車を使わないといけない、遠出するのがネック……といったイメージが根強いですが、意外にも都内や関東近郊には「TINY CAMP VILLAGE」のように、公共交通機関で行ける場所が多いのだとか

「『いいところないかな?』と聞かれたら一番にすすめるのがこちら。緑にあふれ風も気持ちいいですし、涼しげな小川のせせらぎに癒やされます。1区画が大きく、1日5組限定というプライベート感があるのも初心者さんには最適。人数が限られているため、泊まっている人たちの雰囲気がわかる安心感があります」

そして初心者さんにすすめたい一番の理由は「オーナーさんの人柄! テントを立てるのに慣れていなくても優しく教えてくれますし、希望すればあらかじめ立てておいてくれることも。しっかりケアしてくださるので、安心して過ごせるはず。そうした情報を得るためにも、キャンプ場を選ぶときはHPなどのレビューをしっかり読むのが重要です。利用者の雰囲気やオーナーさんによって、実際に訪れたときの印象がだいぶ変わるので」

TINY CAMP VILLAGE内部
「『TINY CAMP VILLAGE』はたき火台や食器などのレンタル品も充実しているので、道具がそろいきっていない人にもぴったり。あとは、急に雨が降ったときに避難できる共用ロッジがあるのも助かります」

「キャンプ場が決まったら、事前にテントを立てる練習をしておくと心配なく当日を迎えられます。時間に余裕があるなら、近所の公園やおうちの中で立ててみてください」

今やプロキャンパーの森さんも、ソロキャンプデビューは大学生になってからでした。「その頃は実家暮らしだったので、一人で一から準備して出かけることが自信にもつながりました。キャンプは自然の中でリラックスできるという魅力もありますが、私は子どもの頃からひと通りのアウトドアを経験済みだったので、私だけの空間づくりができるという点で、おままごと的な楽しさからハマりました。これからキャンプデビューする人は、一度行ってみると自分がハマるポイントやこだわりたい部分がわかってくると思います。身軽に気軽に行けるキャリーキャンプが、そのきっかけになればとてもうれしいです」

PROFILE
森風美

キャンパー

1994年、千葉県生まれ、神奈川県育ち。アウトドア好きな家族の影響でキャンパーとして育ち、大学3年時に1年間休学しキャンプの仕事をスタート。4年生で復学したと同時に女性向けアウトドアWebメディア「なちゅガール」編集長に就任する。その後も継続してキャンプ活動を続け、自身が確立した「キャリーキャンプ」をはじめ、車中泊や釣りなどさまざまなアウトドアを楽しんでいる。各種メディアやイベントへの出演など幅広く活動中。著書に『はじめよう!ソロキャンプ』(山と溪谷社刊)がある。

HP:https://www.morifuumi.com/

Instagram:https://www.instagram.com/fu_u.m/

CREDIT

取材・文/金城和子 構成/田中朝子(Roaster) 撮影/菅原景子

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