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宇多田ヒカルで話題になったノンバイナリーの私。子どもは持ちたいが、好奇の目を向けられる不安が…

  • 2022.8.4
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私は、ノンバイナリーとして生活しています。ノンバイナリーとは、自らの性を男性・女性どちらかに分けて認識しない人たちの性別の名称です。世間では、歌手の宇多田ヒカルさんがカミングアウトしたことで話題になりました。私はノンバイナリーでありながら、パートナーとの間に子どもを授かりたいと強く思うようになりました。でも、ママでもパパでもない、ノンバイナリーとしての子育ては不安なことが多くあります……。

ベビーカレンダーは、多様化している家族のあり方=“新しい家族のカタチ”について発信する取り組みを開始しました。当事者のリアルな声を紹介していきます。多様な幸せを実現できる社会、そして、もっと「家族を持ちたい」「赤ちゃんを産みたい」と思う人が増える世の中づくりの一助となりますように。

ノンバイナリーの私と、そのパートナー

ノンバイナリーの私とパートナーの男性。私たちが2人で親しげに歩いていると、見知らぬ人からじろじろ見られたり、時には何か奇妙なものを見るような目で見られたりします。


おそらくこれは、私たちが「普通」のカップルに見えないからでしょう。パートナーはシスジェンダー(出生時割り当てられた戸籍上の性別と性自認が一致している人)の男性ですが、私はノンバイナリー。戸籍上の性別は女性ですが、できるだけ男性にも女性にも見られたくなくて、胸をつぶして男性的な服装と振る舞いをすることで、男性・女性どちらかに断定されにくい見た目をしています。

「普通」の親じゃない、ノンバイナリーの子育て

そんな「普通」のカップルに見えない私たちですが、夢があります。それは2人で子どもを育てること。特にコロナ禍に入ってからは、お互いより家族としての絆が大切になり、私たちの子どもに出会って、共に生きたいという思いが強くなりました。でも、私たちが「普通」の親にはなれるのかという不安があります。今、私たちが外を歩けばじろじろ見られるように、私たちの子どもも、好奇の目を向けられるかもしれません。学校の先生から、他の生徒から、親御さんから……。そして、私たちが今まさに感じているように、この社会での居場所の無さを感じるかもしれません。

私たち流の家族の姿を探して

子どもをそんな目に合わせたくないけれど、どうすればいいのかわかりません。ノンバイナリーの子育てに関する情報はほとんど見つからないし、他のノンバイナリーの親から子育ての経験を教えてもらいたくても、なかなかカミングアウトしている人には会えなくて、話を聞くことは叶いません。


そこでパートナーと話し合い、子どもを育てることになった場合の2つのルールを決めました。1つは、子ども本人とよく話し合うこと。2つめは、そのために、子どもが望むときにどんなことでも私たちに思いを伝えられる親子関係を構築すること。これらができれば、子どもと一緒に、「私たち流の家族の姿」を探せるのではないかと考えたのです。


このことを希望とし、今は仕事との兼ね合いを考えながら、私たちの親へのカミングアウトも視野に入れつつ、子どもをもつ計画を練っています。そしてノンバイナリーの親や、トランスジェンダー女性ママやトランスジェンダー男性パパ、ママ、パパ、ママふうふ、パパふうふたちと試行錯誤しながら、どんな家族のあり方も当たり前に受け入れられる社会を一緒に作っていけたらと思います。

一般的でない、ノンバイナリーとしての子育て。不安なことやわからないことだらけですが、パートナーと決めたルールは、子どもとよく話し合うことと、それができる関係性を作ることでした。今後、実際に育て始めると想像しなかった困難にも直面すると思います。でも、そのときもこの2つのルールを大切にして、私たち流の家族の姿を探していこうと思います。


著者:林本 れいか

ノンバイナリー、バイセクシュアル。LGBTQやフェミニズム関連の文章の執筆や講師業をしながら、男性パートナーと2人で暮らす。趣味はレコードでの音楽鑑賞や、サイクリング、鉄道旅行。今後子どもを産み、パートナーと3人家族になることを計画中。

ベビーカレンダー編集部

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