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絢爛豪華という言葉は【ホテル雅叙園東京】のためにある!驚きの「雅叙園アートツアー」

  • 2022.7.31
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昭和3年(1928年)の創業以来、時の名匠・名工に依頼した2,500点もの日本画や工芸品が飾られる【ホテル雅叙園東京】。ミュージアムホテルとも称される館内は、贅をこらした極彩色の世界です。そのうえ通常は立ち入ることができない館内施設を、宿泊者に限り見学できる「雅叙園アートツアー」を毎日開催。日本の美を極めた絢爛豪華な世界に包まれる唯一無二の体験です。

「雅叙園アートツアー」で極彩色の世界を体験

宿泊者限定の「雅叙園アートツアー」は、毎日9時から平日は約90分、土日祝日は約45分。利用日前日の17時までにフロントに申し込むか、ホームページからのオンライン予約が可能です。数々の日本画はもちろん、日本画をレリーフにした「彩色木彫板」や、貝殻の真珠層を黒漆に貼った「螺鈿細工」、細部まで彫り込まれた「木彫刻」、そして障子を飾る「組子細工」など、千紫万紅の館内は驚異の体験です。

絢爛豪華という言葉は【ホテル雅叙園東京】のためにある!驚きの「雅叙園アートツアー」

▲ホテル雅叙園東京では、人が行き来する廊下にも無数の芸術品が飾られます

館内のほとんどの彩色木彫板は、画家の原図を元に漆塗師・木彫刻師の盛鳳嶺(さかりほうれい)が立体的に制作したものです。

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▲どの角度からでも顔が見えるよう立体的に作られ、見る角度によって表情も変わります

彩色木彫板は合わせ目に切れ目ができるため、檜の一枚板に彫られています。

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▲「雅叙園アートツアー」では担当のスタッフが見どころを説明

絢爛豪華な装飾に圧倒される「和室宴会場」

館内ツアーの目玉のひとつが、結婚式や宴会で利用する以外立ち入る機会のない会場を見られること(平日のみで、利用状況により見学できない日があります)。その贅を尽くした光景は、誰もが圧倒される素晴らしさです。

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▲4階の和室宴会場は圧巻の煌びやかさ

和室宴会場の入口は旧目黒雅叙園の創業当時の玄関を移築し、ほぼ同じ構成で再現しています。天井は、四大大名行列の彩色木彫板。欄間は江戸城大奥の年中行事を描いた彩色木彫板で、左右の螺鈿細工は、目黒に竹が多く生えていたことから竹林を描き、反対側には夫婦愛の象徴として鶴の家族が描かれます。

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▲4階の和室宴会場を入口付近から見た写真。螺鈿細工のタンチョウヅルは、1羽、3羽、7羽で、めでたいとされる奇数で構成します

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▲和室宴会場の入口を入ると、それぞれの宴会場の受付として使われるスペースです

広い受付スペースにも日本画が飾られ、吊り下がる照明も天井の扇絵を照らすように設計。コロナ以前は宿泊者限定のモーニングヨガを開催していました。

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▲檜でできた床柱には七福神や縁起物の鶴や鹿などが彫られています

床柱は長年にわたり利用者の手で触れられたため、低い部分はぴかぴかに磨かれています。

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▲糊や釘を一切使わない組子は、今では失われてしまった昭和初期の匠の技が見られる貴重なものが多数あります

螺鈿細工、木彫画、組子障子は、ホテル雅叙園東京に飾られる美術品の3大特徴と言われ、館内いたる所で目にすることができます。

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▲昭和初期に作られた組子は、畳の上に座ったときの目線の高さから最も映えるように作られています

特に組子障子の下部分など密度の高い箇所は、見る方向によって万華鏡のように様々な表情を楽しめる趣向。ぜひとも座って眺めてください。

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▲組子の修復にたずさわる現代の職人たちにとって、ホテル雅叙園東京は貴重な技術を知る機会とも言われます

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▲和室宴会場「竹林」

大小23の宴会施設を有するホテル雅叙園東京。「竹林」は組子障子をしつらえ、欄間には色鮮やかな孔雀の絵が描かれます。その昔、庭園では孔雀を飼っていたのだとか。ホテル客室階へ昇るエレベーターに描かれた螺鈿の孔雀の原図です。

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▲「竹林」の天井は格式の高い折り上げ格天井で、花が描かれています

「竹林」の天井画には、ホテル1階にあるPATISSERIE「栞杏1928」で売られている「天井画ショコラ」の原図もあります。

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▲「東海道中膝栗毛」の木彫画。人物の表情もユーモラスです

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▲宴会場「牛若」の床柱には宙を舞う牛若丸の姿も!

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▲館内いたる所で美しい螺鈿細工が見られます

日本料理の「渡風亭」

ホテル雅叙園東京のアトリウム(ガラス張りの大規模空間)には、かやぶき屋根のレストラン、日本料理「渡風亭」が立っています。

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▲日本料理「渡風亭」とその庭園

日本料理「渡風亭」の8部屋はすべて個室で、装飾を手がけた日本画家の名前がついています。

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▲フォトスポットとして人気の渡り廊下。水の流れる庭園を見られます

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▲日本画家・松林桂月の名を冠した「桂月」からは、京都の貴船川床を思わせる庭や水音を楽しめます

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▲日本料理「渡風亭」の個室「竹坡」の入口は、螺鈿細工で伊勢海老が描かれる豪奢な造り

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▲黒漆に螺鈿細工を徹底した「竹坡」。照明の形なども含め、非日常を味わえる個室です

日本画家の尾竹竹坡(おたけちくは)が手がけた部屋で、部屋全体に螺鈿を多用。欄間には、竹坡が一時居住していた北海道の、阿寒湖、屈斜路湖、摩周湖の景色が描かれています。天井画は、前にしか進まない縁起のいいウサギの螺鈿細工。会社の接待などで使われることが多いそうです。

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▲「竹坡」の隠れアート

普段覗くことがまずない床の間の天井にも、日光菩薩と月光菩薩の螺鈿細工が施されます。見えない場所からも神様が守っている。そんな願いが込められます。

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▲「竹坡」の床框にある螺鈿細工の雷紋(らいもん)。雷雨を表す紋様は豊作の象徴です

館内の美術品には、めでたいことや縁起のいいことが徹底して織り込まれ、訪れる人を祝福します。創業者の細川力蔵は、美の力を借りてパワースポットを作りたかったのかもしれません。

現存する最古と言われる回転テーブルも必見

旧目黒雅叙園は1931年(昭和6年)に本格的な北京料理と日本料理を提供する料亭として目黒に開業。現在はホテルの最も奥に中国料理「旬遊紀」があり、ランチとディナーをいただけます。特に、創業者の細川力蔵が昭和10年に考案したとされる回転テーブルは現存するものでは世界最古と言われ、今も個室「玉城」で使われています。

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▲中国料理「旬遊紀」

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▲低い位置にある扉の取っ手

中国料理「旬遊紀」には旧目黒雅叙園から移築し再現された個室が2部屋あり、「玉城」と「南風」はどちらも扉の取っ手が低い位置にあります。当初畳部屋だったため、ひざまずいてドアの開け閉めをしていた頃の名残りです。

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▲個室「南風(なんぷう)」

建物の設計は、鹿鳴館や神田駿河台のニコライ堂を設計したイギリス人建築家ジョサイア・コンドル。壁画や天井画は日本画家の堅山南風の手によるもので、細川力蔵がとても気に入り、社長室として利用しました。

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▲「南風」の回転テーブルには螺鈿細工で鳳凰の姿が描かれます

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▲現存する最古の回転テーブルがある個室「玉城(ぎょくじょう)」

扉は朱塗りで、美人画の大家益田玉城が壁の絵を描いています。モデルは新橋の芸者たちですが、みな顔が似ています。これは玉城が愛妻家だったため、似てしまったと伝わります。

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▲現存する最古の回転テーブル。その螺鈿細工をよく見ると、無数の穴が……

螺鈿細工に点々と残るタバコの焼け跡。残された焦げ跡もホテルの歴史の一部として、どんな人物が焦がしたのか思いを馳せるのもまた一興。ホテル雅叙園東京の美術品を見てまわると、あえて補修していない作品も多く、90年を超える時を感じられます。

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▲益田玉城による壁画や天井を彩る装飾は絢爛豪華。ここでも天井を照らす照明器具が使われます

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▲館内の瓦にも注目。丸い巴瓦にロゴが入る特注品です

「神は細部に宿る」とは、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの言葉。細部にまで徹底してこだわった【ホテル雅叙園東京】は、創業者細川力蔵の情熱と画家や職人たちの技巧を凝らした技により、“絢爛豪華”という名の小宇宙を作りあげています。そんな奇跡に出会うひと時を、ぜひ楽しんでみてくださいね。<text&photo:みなみじゅん 予約・問:ホテル雅叙園東京 https://www.hotelgajoen-tokyo.com/>

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