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『ありんこトロッコ』【今日の絵本だより 第305回】

  • 2022.7.31

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ありんこトロッコ』【今日の絵本だより 第305回】の画像1

『ありんこトロッコ』 おおいじゅんこ/作 アリス館 1320円

夏休みといえば、自由研究。 自由研究でありの巣の観察をしたことがある方もいるでしょうか。 便利な観察キットもある昨今、今はお子さんと観察中、という方もいるかもしれませんね。 ありが主役の絵本もあれこれありますが、今回は「虫はちょっと苦手……」という大人にもおすすめの一冊をご紹介します。 表紙からすでにかわいい、『ありんこトロッコ』です。

表紙を開くと、赤い帽子のありんこが、こちらに向かって手をあげています。 「トロッコ トロッコ ありんこトロッコ わたくし しゃしょうの アリポンが ありんこのすを ごあんない おたのしみください しゅっぱつしまーす」

トロッコは、赤、緑、黄色の3両編成。 アリポンを先頭に、たくさんのおきゃくさんとお菓子をのせて、地面の中のありんこの巣へ入りまーす、ごとごとごと。 工事現場や、ありんこたちが体を鍛える訓練所をぬけたら、「こうじょうえき」に到着です。 積んできたお菓子をここでおろして、ありんこマシーンで粉々にします。 それを混ぜて丸めたら、ありんこおやつのできあがり。 できあがったおやつと、アリポンのお友達、青いリボンのアリコさんをのせて、トロッコは出発します、ごとごとごと。 お次はどこへ行くのかな?

なるほど、地面の中には、こんなに楽しいありんこワールドが広がっているんですね。 「こうじょうえき」の先にも、心躍る駅が次々に登場。 デパート、温泉、遊園地、いろいろな場所でさまざまに過ごすありんこたち、それぞれの様子がすみずみまで楽しめます。 虫が苦手な方だけでなく、「子どもって、何でそんなに探し絵が好きなんだろう……?」と、探し絵の絵本にあまりピンとこない大人にも、この一冊はおすすめ。 おおいじゅんこさんの柔らかく温かな絵で、のんびりと優しい気持ちのまま、「探す」楽しさを味わえます。 (探し絵って、ミッション感と緊張感が好き嫌いのわかれめかな? と個人的に推測。) リズムのよい言葉も、声に出していると幸せな気分になりますよ。

神奈川県横須賀市の「うみべのえほんや ツバメ号」では、2022年7月8日(金)〜8月30日(火)まで、おおいじゅんこさんの絵本原画展を開催中(水・木、8月12日(金)〜14日(日)は休業)。 『ありんこトロッコ』をはじめ、合計6作品の絵本原画が楽しめる贅沢な機会です。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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