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つながる日常を、つくる【わたしのまちのつくり手 vol.3 東京】

  • 2022.7.30
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つながる日常を、つくる【わたしのまちのつくり手 vol.3 東京】
出典 FUDGE.jp

 

「なんでか、カウンター席から埋まるんです」

と、店主のサクライさんは朗らかに話を始めてくれた。

カウンターに面したキッチンの中には、エプロン姿の大柄な男性が1人。

とってもファニーな眼鏡をかけている。

神保町の駅から、徒歩3分くらいの、白い外壁に大きな窓のあるお店「edge(エッジ)」。

ワインボトルのない、ワイン酒場、とのこと。一体、どういうことなのだろう。

 

少し早めのディナータイム。確かに、カウンター席ばかりが埋まっている。

ゆったりとしたテーブル席もあるのに、とても不思議な現象である。

 

つながる日常を、つくる【わたしのまちのつくり手 vol.3 東京】
出典 FUDGE.jp

 

ゲストの気分や好みを聞き出し、”グラス提供”でのみ、ワインをサーブする。

ユーモアたっぷりなコンセプトで、ワクワクしてしまう。

キッチンが見えるカウンター席は、劇場のようだ。横並びのゲストたちは、友だちの舞台を見にきたように、調理の様子を眺めている。

 

「”日常”をちょっと彩る気軽な”酒場”でありたくて。」

ボトルではなく、あえて”グラスだけでワインを提供する”のも、価格を気にしてワインを飲むようなことはして欲しくないから、だとか。

「それぞれのワインの生産者や卸の方とお話しして、有機のBIBのものを卸してもらってます。ボトルものより安いですが、どの作り手も情熱があって、丁寧で良いワインなんです。それを沢山の人に知ってもらう為に、グラス売りにこだわります」

BIB(ボックスインバッグ)、いわゆる箱売りワインを、センス良く、赤白、常時5〜7種類を揃え、ロゼやオレンジワインも用意している。全てナチュール(自然派/有機)で、”箱なのに美味しい””美味しいのにお手頃”という、新しいワインの販売形態を堂々と打ち出している。

BIBであれば、消費された後のゴミも少なくて済むそうだ。

 

つながる日常を、つくる【わたしのまちのつくり手 vol.3 東京】
出典 FUDGE.jp
「メニューがあると、メニューを越えてこないので、それは残念だな。って」

そういえば、ワインボトルもないが、固定のメニューもない。サクライさんはファニーな眼鏡を光らせ、教えてくれる。

それは、ゲストのその時の気分に添う為、それと、畜産、農業の現場の人たちの熱量を届けるため、なのだそう。

全国の若い女性農家さんたち総勢25名が、それぞれ育てた”わが子”をedgeに持ち寄り、ライブパフォーマンス然り、その場で調理してワイワイとPR。一般のゲストも交えて、畑と食卓を繋ぐ食イベントも開催している。

その日仕入れた、大事な食材たちを、特徴を交えて紹介し、ゲストの好みに合わせてアドリブで調理してゆく。

 

つながる日常を、つくる【わたしのまちのつくり手 vol.3 東京】
出典 FUDGE.jp
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出典 FUDGE.jp

 

「大体、お任せで!って言ってもらえますけど」えへへ、とサクライさんは笑う。

人気の薄いメニュー、というものがなくなる為、食材のロスもほとんど出ないそうだ。

 

話好きだからこそ、できる営業スタイルである。

ゲストを主役に、コミュニケーションを第一にしたい姿勢が良くわかる。

サクライさん自身が、ライトを浴びている黒子のように見えてきた。

つながる日常を、つくる【わたしのまちのつくり手 vol.3 東京】
出典 FUDGE.jp

edgeに通うゲストも、サクライさんと話がしたくて仕方ない。

隣合うゲスト同士が、「サクライちゃんはさぁ〜」と、食事をしながら話しているのだ。黒子にファンがついている。

聞けば、ゲストはなかなかの曲者揃い。気鋭のプロデューサーであったり、世界的な技術者であったり、老舗レストランのオーナーであったり…と、それぞれが大人で、文化的な世界観がたっぷりの、ユーモアが過ぎる方たちがチラホラと混じる。

 

「自然と28禁になっちゃうの笑」とサクライさんが言うのもうなずける。

だからといって、決して一見さんが入りにくい、ということはない。

ファニーな眼鏡のサクライさんに興味を引かれ、まるで昨日も来たかのようについ、”入ってきてしまう”のだ。

”入ってきてしまう”ゲストも、ユーモアたっぷりな人種である、というだけで。

 

 

「edge」には「日常と友情」が溢れている。

edge」のつくりて、サクライさんが、ワインと食材、その生産者たちと、ユーモアなゲストを友だちのように、今夜もフラットに繋げている。

つながる日常を、つくる【わたしのまちのつくり手 vol.3 東京】
出典 FUDGE.jp

 

 

店舗情報

edge

所在地:東京都千代田区神田神保町2丁目4-6-9 第2十勝ビル 1F

TEL:03-6256-8184

Imstagram: https://www.instagram.com/edge_jimbocho/?hl=ja

※京都の「樽生てぐみ」生スパークリングワインも扱ってます。

 

text:三雲さちこ

駆け出しライターです。低山登山と銭湯が好きです。美味しい蕎麦とコーヒーを探しに、都内を日々散策しています。

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