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身体ナビゲーションVol.73「肝硬変と肝臓がん」

  • 2015.10.16
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こんにちは。健康管理士のSAYURIです。

前回は脂肪肝についてご紹介しましたが、繰り返される間違ったダイエットでも脂肪肝になることに驚かれた方も多いでしょう。 また、アルコール性の脂肪肝は重症化すると肝硬変・肝臓がんになる可能性もあります。

そこで、今回は肝硬変と肝臓がんについて見ていきたいと思います。

●肝硬変

肝硬変とは字のごとく、肝臓が委縮して硬くなり、滑らかな表面がデコボコになってしまった状態を指します。超音波検査やCT検査だけでは肝硬変の診断がつきにくく、画像診断と合わせて線維化マーカーである血小板の数が10万以下であれば肝硬変の疑いが強くなります。

肝硬変の多くは、ウイルス性肝炎が長期間続くことで発症します。日本では、アルコール性肝炎が原因で肝硬変に進行するケースは全体の約10%ほどといわれています。

●代償期と非代償期

肝硬変は、肝機能がある程度保たれている代償期と肝機能障害が進行した非代償期に分けられます。代償期ではほとんど自覚症状がありませんが、非代償期になると、黄疸(おうだん)・腹水・肝性脳症を中心とした症状や合併症が現れてきます。また、肝がんへも進行しやすいので注意が必要です。

肝硬変によって肝臓の機能が低下すると代謝機能に障害が起こります。アンモニアなどの有害物質が肝臓で処理(分解・解毒)されないまま血流に乗って脳へと運ばれると、意識障害や『羽ばたき振戦』という手先の震えが見られる、肝性脳症を起こします。また、胆汁色素であるビリルビンの代謝ができずに、黄疸を起こします。

●肝臓がん

独立行政法人国立がん研究センターによれば、日本人の肝臓がんの死亡率は年々減少傾向にあります。しかしながら、がんで亡くなる人のうち、肝臓がんによる死亡率は男女ともに4位です(2012年度)。

肝臓がんは、肝臓から発生する『原発性肝臓がん』と、他の組織から発生したがんが肝臓に転移する『転移性肝臓がん』があります。原発性肝臓がんのうち95%が肝細胞に由来する『肝細胞がん』で、残りの5%が肝臓内の胆管に由来した『胆管細胞がん』です。『肝内胆管がん』も胆管細胞がんに含まれますが、今回は肝臓がんの大部分を占める肝細胞がんについて詳しく見ていきたいと思います。

●肝細胞がん

肝細胞がんの1番大きな原因はC型肝炎ウイルス(75%)、続いてB型肝炎ウイルス(15%)があり、ウイルス性肝炎から発生する肝細胞がんは合わせて約90%です。その他の10%は、アルコールの過剰摂取や喫煙など生活習慣に由来するものです。

また、肝細胞がんの多くは肝炎ウイルスに感染した後、慢性肝炎・肝硬変を経て発症しますが、肝硬変を経ずに慢性肝炎から肝細胞がんが発症する場合もあります。

【参考文献】

・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行

●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)

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