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家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.59小売店とスーパー

  • 2022.7.22

クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。27歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回はvol.58血液型占い

vol.59小売店とスーパー

本は本屋さんで、お肉はお肉屋さんで、お豆腐はお豆腐屋さんで、野菜は八百屋さんで買うのが好きだ。小売店だと、品物を買いに行く、という現実的な目的に、人と関わる心がプラスされる気がするのだ。

スーパーだとお肉のグラム数やカットの仕方が決まっているけれど、小売店だと、「1人前なんですけど…」なんてちょっと気の引けることにも笑顔で対応してくださったり、美味しい調理法まで教えてくれたり。食べることって生きることで、人と繋がっていくことでもあるんだなぁと思う。

もちろん街のスーパーにだってとってもお世話になっているし、就業時間が不規則な仕事をしているので夜遅くまで営業しているお店があることは本当に有り難い。

楽曲制作や打ち合わせで1日中室内にいる日々が続くと、常にフル回転している頭と椅子にただ座っているだけの身体とのエネルギー消費量のバランスが乱れてしまって、すごく独特な疲れ方をする。魂が身体を留守にする時間が増え、頑張っているか完全に休息しているか境界線が濃くなる。

暗闇の中に浮かぶスーパーの煌々とした灯り。夜の色に慣れた目を瞬かせながら自動ドアを潜り、ペダル式スタンドで手を消毒した後買い物カゴを片手に店内を回る。「豆乳ヨーグルトの買い置きはあったっけ。あれ賞味期限いつだったかな」「このトマト少し元気がないけど、アボカドは明日の昼食べるのにちょうど良いかも」「牛肉に割引シールが貼ってあるから買って冷凍しておこう」パッグを手に取り傾けながら、「ちょっとドリップが多いから豚肉は普通に買うかー」そんな暮らしのなんでもないことを考えていると、不思議とちゃんと現在(いま)ここに私が戻ってくる。生きてる、そう思う。

最近忙しさにかまけていたけど、そろそろ自炊を再開するか〜、と簡単なものからスタート。やっぱり手作りって良いなぁとしみじみ。と言いつつなんでもバランス。自分で作ったり、自分では作れないものを食べに行ったり。正しさより、気持ち良さをバロメーターに生きていたい。

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