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桐谷広人さんに聞く「株主優待で人生が好転?上手に投資と付き合うコツとは」【後編】

  • 2022.7.17
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投資に興味を持ち始めた“はるっぴ”こと、元HKT48メンバーの兒玉遥さんが、「自腹100万円で投資します!」という企画。第2回目のゲストは、株主優待で大人気の桐谷広人さんです。前編・中編に引き続き、株式投資についていろいろ教えていただきました!

※株価や配当利回り等の数字は、すべて2022年4月18日時点

桐谷広人さんに聞く「上手に投資と付き合うコツとは?」

兒玉遥さん(以下、はるっぴ):桐谷さんが、株主優待の魅力に気づいたのはいつごろですか?

桐谷広人さん(以下、桐谷さん):私は、昔は値上がり益を狙った投資をしていたんですよね。ただ、株主優待をしている企業は4割ほどあるので、わざわざ優待を狙わなくても、いつの間にか優待株もたくさん買っていたんです。

株主優待がいいと気づいたのは、リーマンショックの後です。2008年にリーマンブラザーズという会社がつぶれてしまって、世界中の株がいっきに下がったんですね。当時私は、信用取引といって、借金をしながらギャンブルのような投資をしていたんです。

自分の財産を担保に、何億円も借りて投資をしていたら、リーマンンショックで全部下がってしまって、借金を返さなくてはならなくなって…。持っている株を売って返済したら、貧乏になっちゃったんです。

会社の業績が悪くなると配当金も出ませんし、株価は3分の1や5分の1になってしまって老後が真っ暗で…。当時、株で3億円くらいの財産があるから老後は安泰だと思って、57歳で棋士を引退していました。

ところが、リーマンショックで、2億数千万円を失って、57歳だからまだ年金も受け取れないし、家賃は払わなきゃいけない。ああ、どうしよう…と思っていたら、株主優待が届き始めました。お米や缶詰め、食事券が届いて、食いつないでいったんです。

数年間、貧乏暮らしをしながら、「株式投資は、値上がり益を追求するのではなく、株主優待をいただいて生活の足しにしながら、人生を楽しんだほうがいい」と気づきました。いただいたチケットで映画を見たり、友達とご飯を食べに行ったりすることが楽しいなと気持ちを切り替えて、そこから急に私の人生がよくなっていきました。

それまでは、株を始めて38年間、プロ棋士もやっていたのですが、対局をしていても、お金をすべて株にかけていたので、株価が気になって仕方がなくて…。

株が下がると、どーんと気持ちも下がって気分が悪いですし、株が上がるとすごくうれしくてね、うきうきしちゃって「仕事なんでどうでもいいや!」なんて思ったりしてね。

一喜一憂した結果、リーマンショックで財産のほとんどを失いましたが、株主優待に救っていただき、心を入れ替えました。ギャンブル的な投資ではなく、優待のある株を安いときに買って、優待品で人生を楽しむ方がいいんだなって

出典: 美人百花.com

はるっぴ:ものすごい説得力です…。人生がいっきによくなったのですね。

桐谷さん:そうなんです。投資は、余ったお金でやることが大事ですね。借金をしてやったらダメです。上がればいいんですけど、下がったら大変なことになりますから。

はるっぴ:お金に余力をもっておくことも大切なんですね。

桐谷さん:そうですね。ギャンブルのような投資になると、投資ではなく“投機”ですからね。私は今は、全部のお金を株に投資していなくて、常に現金もたくさんとっておくようにしています。

はるっぴ:コロナショックもありましたが、そういうときは株を買われるのでしょうか?

桐谷さん:はい、値下がりしたものをチェックしていますね。Twitterでも「これを買いました」と、具体的に発信することもあります。

本当はTwitterはやりたくなかったのですけれど、偽物のアカウントがたくさん出てきてしまって、友達が「桐谷さん、やったほうがいいですよ」とセッティングしてくれたんです。本物のアカウントがあまりつぶやかないのは申し訳ないので、ときどきつぶやいています。
(ちなみに、桐谷さんの公式アカウントは@yuutaihiroto)

お財布のなかにレシートがいっぱいですけれど、ちょっと見ますか? しゃぶ菜というレストランも、磯丸水産も、クリエイト・レストランツも…とにかく、株主優待で暮らしているのでね。

こちらは、優待券を使ったので現金は0円。これは優待でいだいたジェフグルメカードを使ったので、現金は差額の30円だけ…(と、どちらもほぼ優待券でお支払い!)。早くしないと優待券の期限がきてしまうので、現金を使うヒマがないんです。

はるっぴ:わ!本当だ…。これだけたくさん優待券があったら「使わなきゃ」と追い立てられそう(笑)!

桐谷さん:私みたいに、こんなにたくさん持たなくていいから、兒玉さんはまずは5万円くらいで始められるものを買ってみてほしいですね。少しずつ増やしていって、20~30万円くらいかければ、リスクも分散されて、大きな損をすることはないと思いますから。

はるっぴ:ぜひやりたいです!

桐谷さんが、アメリカ株も始めたって本当?

出典: 美人百花.com

はるっぴ:最近、桐谷さんがアメリカの株にも投資を始めたと伺いまして…。きっかけはどんなことだったんですか?

桐谷さん:そうなんです。2014年にテレビのロケでアメリカのラスベガスにいったんですけど、無理やりギャンブルをやらされましたね(笑)。いただいた500ドルをルーレットで3500ドルほど儲かってしまったんです。それで、元手の500ドルを返して、3500ドルが手元にあって、いつかアメリカ株に投資してみたいなと思っていました。

今年になって、ネット証券で、日本円で気軽にアメリカ株に投資をできることがわかりまして、始めました。始めてから1年弱なので、買値よりは少し下がっていますが、配当金をもらっているので、トントンですね。円安になったおかげで、日本円で考えれば利益が10%以上出ています。

はるっぴ:それはすごい! 円安のニュース、話題になっていますものね。

桐谷さん:はい、でも、株価が上がるか上がらないで利益を出すのではなく、日本株の株主優待と似たような形で、アメリカ株では配当金をいただこうと思っています。

日本では、この20年ほど実質賃金が上がっていませんが、アメリカでは賃金も物価もどんどん上がっていますよね。アメリカは株価も上がり、配当もどんどん増えているものも多いんですよ。50年間、配当金が増え続けている企業もたくさんあります。

よい株を見つけて、何年も持っておいて、配当金をいただきながら、値上がり益も狙えたらいいなと思っています。

はるっぴ:やはりアメリカ株でも、じっくり投資をするスタイルなんですね。それも、投資初心者の私たちも、真似ができそうです!

桐谷さん:そうですね。ただしアメリカ株を買う場合は、為替の関係もあるので要注意です。今は円安ですが、もし1ドル80円なんていう時代がきたら、アメリカ株を売って日本円にしたら、大きく損をしてしまうでしょう。為替には常に注意を払う必要がありますね。

アメリカ株投資なら、株価上昇と配当金のアップ、さらに為替を考えて、日本株の場合は、株主優待のある企業に分散投資、という考えでトライしてみるのが、私個人的にはおすすめですね!

はるっぴ:優待株投資にアメリカ株…今日は本当にたくさん勉強しました!

出典: 美人百花.com

桐谷さん:はい、初心者の方は、投資で大きな値上がりを狙う“猛獣狩り”をしたくなるかもしれないけれど、うまくいかないと、やられちゃうんですよね。ライフルで猛獣を撃とうと思っても、弾が外れれば、襲われて殺されちゃうわけです。常に危険と隣り合わせだから、投資というよりも、ギャンブルですよね。

そういう値上がりを狙う投資ではなく、いい優待がある株を安く買って、優待品をもらって、牛丼を食べたり、映画を楽しんだり、友達と食事をしにいったりしてね。そういう投資は“農業的な投資”だと思っています。種をまいたら、じっくり育てて収穫を楽しむわけですね。安全なんです。

猛獣狩りのような投資でしっかり儲けている人は、日本人で10人くらいしかいないんじゃないかなあ。それを真似してもうまくいきません。

農業は、種をまく時期もわかるし、手順さえわかれば、実がなるわけですね。

たくさんできたら、友達に優待券でご馳走してもいいですね。友達の輪も広がりますし、人に親切なことをすると、長生きするらしいです。いい株を長く持つことは、その企業を応援することにもなりますしね。

はるっぴ:優待株投資、いいことずくめですね。今から5万円くらいで買える株、探してみようかな!

桐谷さん:いいですね! 少しずつ増やしていけば、私くらいの年齢になるときには、もう優待券が使いきれない生活になるかもしれないですよ。

はるっぴ:憧れの生活です(笑)!

Profile

●兒玉遥さん
1996年9月19日生まれ、福岡県出身。HKT48の元メンバー。第1期生。2012年5月、AKB48のシングル「真夏のSounds good!」で初選抜入り。2014年、AKB48兼任が発表され、同年9月HKT48のシングル「控えめI love you!」で初センター。16年には第8回AKB48選抜総選挙で第9位に輝く。19年6月に卒業し、女優としての活動を本格化。舞台「私に会いに来て」「改竄・熱海殺人事件」等に出演。現在は、ドラマや舞台など幅広く活躍中。

●桐谷広人さん
1年365日、株主優待と配当で生計を立てる投資家。プロ棋士七段。バブル絶頂期の1984年に株を始め、バブル崩壊やITバブル、リーマンショックなど相場の浮き沈みを経験。『一番売れてる月間マネー誌ZAiと作った 桐谷さんの株入門』(ダイヤモンド社)等の著書やテレビ出演等多数。

カメラマン/楠本隆貴(will creative) 取材・文/西山美紀

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