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『どうぶつせんきょ』【今日の絵本だより 第300回】

  • 2022.7.19

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

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『どうぶつせんきょ』 アンドレ・ホドリゲス、ラリッサ・ヒベイロ、パウラ・デスグアウド、ペドロ・マルクン/作 木下眞穂/訳 ほるぷ出版 1650円

7月10日に行われた参議院選挙。 町なかに貼られたポスターやニュースをきっかけに、「せんきょって、なあに?」とお子さんに聞かれた方もいるでしょうか。 でも、選挙についていざ説明しようとすると、なかなかに難しいですよね。 そんな時はこちらの『どうぶつせんきょ』を、親子で読んでみませんか。

森の王のライオンが、川の水の流れを変えて、自分の巣穴の前にプールを作ってしまいました。 勝手に水をひとりじめされて、森のみんなはかんかんです。 「プールはみんなのもの!」 「#森をとりもどそう」 と書いたプラカードを掲げて、みんなでデモをしますが、ライオンは全然へっちゃら。 フクロウの 「みんしゅてきにいこう! せんきょをしよう!」 という呼びかけで、森では初めてリーダーの選挙をすることになりました。

立候補したのは、ライオン、サル、ヘビ、ナマケモノ。 先祖代々森の王であると、由緒正しさを強調するライオン。 ライオンのしわざを非難し、改革を訴えるサル。 森をすみずみまで知っていると、一致団結を呼びかけるヘビ。 ひとりひとりの声を大事にする、と主張するナマケモノ。 候補者はテレビに出たり、チラシを配ったり、討論会をしたりして、選挙運動を繰り広げます。 さあ、選挙の当日、投票で選ばれた新しいリーダーは?

子どもたちが選挙や民主主義について考えるきっかけになるよう、ブラジルの子どもたちが行ったワークショップをもとにしてつくられた一冊。 選挙の決まりや仕組みがわかるのと同時に、「自分だったら誰に投票するか」を親子で話すこともできます。 巻末の解説には、「お互いの考えを大事にし、違いを認め合い、理解を深める努力が大切」と、民主主義の根幹がわかりやすく説かれています。 「選挙」が「よくわからない」ものになる前に、お子さんはもちろん、大人にも改めて学びの多い作品です。

選書・文 原陽子さん

はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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