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株主優待投資家・桐谷広人さんに聞く「株主優待の魅力ってなんですか?」【前編】

  • 2022.7.10
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投資に興味を持ち始めた“はるっぴ”こと、元HKT48メンバーの兒玉遥さんが、「自腹100万円で投資します!」という新企画。第2回目のゲストは、株主優待で大人気の桐谷広人さんです。1年365日、ほぼ株主優待と配当金で生活しているというその生活を伺いながら、株式投資のいろはをレクチャーいただきました。

※株価や配当利回り等の数字は、すべて2022年4月18日時点

はるっぴの投資プロフィール

コロナ禍で時間ができ、投資に興味を持ったはるっぴ。YouTubeなどの動画解説を見てネット証券の口座を開き、投資信託の積み立てをスタート! さらに「株」にも本格的に投資をしてみたいなと思ったけれど、いったいどのように選べばいいかわからず……。「いろいろなプロに直接聞きたい!」と美人百花編集部を訪れ、自腹の100万円でいざ投資にチャレンジすることに!

株主優待投資家・桐谷広人さんに聞く「株主優待の魅力ってなんですか?」

出典: 美人百花.com

兒玉遥さん着用:カットソー¥12,100、スカート¥30,800、イヤリング¥7,150/JILLSTUART

兒玉遥さん(以下、はるっぴ):こんにちは! お会いできてうれしいです。今日も自転車でいらっしゃったんですね!

桐谷広人さん(以下、桐谷さん):はい、都内23区の移動は、だいたい自転車ですね。今日は雨が激しく降りそうなので、雨合羽を持ってきました。そしてこのリュックは、株主優待券が入った財布と、優待で買ったものがたくさん入っているんですよ。

はるっぴ:わ~! 実物が見られるんですね!! ワクワクします! 今回、「自腹100万円で株式投資にチャンレジ!」という企画で勉強中なんです。桐谷さんは、株主優待で生活されているとのことですが、株主優待って、いったいどんなものなのでしょうか。

出典: 美人百花.com

桐谷さん:まず、株主優待をいただくには、株主優待を実施している企業の株を買うところから始まりますね。

日本では上場企業が3800社ほどありまして、そのうちの約4割の1500社ほどで株主優待を実施しています。

株で利益を得る方法は、大きく2つあります。買った値段よりも高くなって売って“値上がり益”を狙う方法と、株をずっと持ち続けて“株主優待や配当金をいただく”という方法です。私は、今は後者の株主優待や配当金をいただくスタイルで生活しています。

はるっぴ:株主優待を扱っている企業は、1500社もあるんですか!

桐谷さん:そうなんです、結構多いですよね。株主優待は日本独自の制度なんですよ。配当金は、持っている株数に応じてもらえるのが基本ですが、株主優待は「100株以上」「500株以上」などと企業によってもらえる条件があって、多くの企業では「100株」という最小単位で株を持っていると、受け取れる株主優待の利回りが高くなるんです。

例えば、「持っている株数に限らず、誰でも1000円のクオカードをあげます」という場合、100株でも、1000株でも、1万株でも、いただけるクオカードは一律1000円分ですから、100株持っている人が一番お得ですよね。

はるっぴ:確かに…。少ない株数でも株主優待を受け取れるというのは、投資初心者にとってもうれしいですね!

桐谷さん:はい、株主優待は、少額投資ほど利回りが高いところも魅力ですね。

とはいえ、株主優待は、途中で変わってしまったり、なくなってしまったりすることもあるので要注意ですよ。

例えば、「サノヤスホールディングス」という造船会社は、東京・お台場のパレットタウンにある大観覧車などもつくっていて、株主に大観覧車に乗れる優待券をくれるんです。私はもう何回も乗ってきたんですが、今年8月末に大観覧車が営業終了で撤去されてしまうんですね。残念ですが、9月からはもう乗れません。他にも、横浜にある大観覧車の優待券もいただけますが、さすがに横浜まで自転車で行けないので……。

これは一つの例ですが、株主優待はずっと約束されたものではないことに、注意が必要です。

はるっぴ:そうなんですね…。いろいろな企業に投資しておけば、それだけ株主優待もいろいろな種類をもらえるから、何かあってもガッカリすることはないですかね?

出典: 美人百花.com

桐谷さん:そうなんです! 分散投資をしていれば、株主優待は利回りもいいですし、リスクが分散されて、比較的安全ではないでしょうか。

また、株を長く持っていると、株主優待の内容がグレードアップするものもあるんですよ。例えば、「プロネクサス」という会社の優待は、最初にもらえるのは500円分のクオカードですが、1年以上株を持っていると1000円分にグレードアップして、3年以上なら1500円分、5年以上なら2000円分、10年以上なら3000円分と金額がアップします。

この株は今は11万円くらいですが、私は10年以上前に4万3000円くらいで買って、今はクオカードが毎年3000円分もらえるのでうれしいですね。

長期保有優遇制度があるのは、株主優待を行っている1500社のうちの4割ほどの、600社くらいです。

はるっぴ:株をずっと持っていたら愛着もわきそうだし、さらに株主優待がグレードアップするなんて、うれしいです。ちなみに、株主優待は、どうやったらもらえるんですか?

桐谷さん:「権利日」という日が、年に1回、または2回ありまして、権利がつく日に株を持っていれば、優待をもらえます。権利日については、企業のホームページや証券会社のサイトなどで確認できます。

株主優待は、権利日の3カ月後くらいに届きます。権利日は3月が多いので、ちょうどそろそろ、我が家に優待がたくさん届く時期ですね。

株主優待は、投資した金額に対してどれくらいの価値があるかという“利回り”を考えてみることもおすすめです。先ほどのプロネクサスは、私は10年以上前に安い株価で買ったので、今後も株主優待が続けば、利回りは14パーセントくらいかな。

はるっぴ:すごい…! 今は預貯金ではなかなか増えないから、魅力的な数字です。

桐谷さん:私は、配当金と株主優待を合わせて、利回り4%以上あれば合格だと思っています。それには、株価が安い時に買うのもコツですよ。

ニュースで取り上げたり、話題になったりすると株価が高くなってしまうので、そういうときは買わないほうがいいですね。優待をもらっても、株価が下がったらがっかりしちゃうので。

はるっぴ:買うタイミングも大事なんですね。ちなみに…株主優待という制度は、なぜつくられたんですか?

桐谷さん:明治時代に、日本に株式制度が入ってきたのですが、鉄道会社が株主に「無料乗車券を差し上げますよ」としたのが、株主優待の始まりだとされていますね。

ところが、バブル崩壊で日本株が大きく値下がりして、株をたくさん持っていた人は大損してしまったんです。特に、外国人の投資家はすぐに手を引いてしまいますね。そんなときに、日本の個人投資家が多ければ、株価の大きな値下がりを少しでも防げるかもしれないと注目されたのが、株主優待でした。

その後、「うちは映画を毎日上映しているから、株主になったらチケットをあげますよ」「うちのこの製品をプレゼントします」という株主優待から、さらに個人株主を増やすために、クオカードやお米券など、金券などを株主優待として取り入れるところも増えてきました。

ですから、株主優待を実施している企業は「個人投資家を大切に考えている企業」とも言えますね。

はるっぴ:そうかあ、なんだかうれしいです。気持ちよく投資ができそうですね。

桐谷さん:ですが、要注意点もありまして、例えば日本航空は、今は再上場していますが、2010年に一度つぶれてしまったんですね。私は広島に実家があるので、それまでは日本航空の株主優待券を使って、安く帰省していたのですが、1250万円くらい投資をして、経営破綻のときにすべて紙きれになってしまった失敗があるんです。

株は何があるかわかりませんし、時々つぶれる会社が出てくるので、分散投資が大切です。5社や10社などに分散投資していれば、もしつぶれる会社があっても、その影響は5分の1や10分の1になりますから。

はるっぴ:はい、分散投資、心に刻んでおきます! 桐谷さんは、どのような投資生活でいらっしゃいますか?

桐谷さん:私は、専業投資家の方のように、パソコンをずっと見ていられないんですよね。日中は株主優待を使うために出かけて、夜に原稿を書いて、寝るのがだいたい朝の8時や9時。午後1時に目覚ましで起きたら、株主優待でいただいたコーヒーを飲みながらパソコンをつけます。“年初来安値”といって、今年一番安い値段をつけた銘柄をチェックします。

株主優待制度があるかを見て、気になるものがあれば、配当金とあわせて利回りが何パーセントかを見て、4%以上なら買おうかどうか検討しますね。株価がどんどん下がる可能性もありますが、その日が“年初来安値”なら、今年のなかで一番今日、安く買える日だと思うので、いいやと思って買うこともよくあります。利回りをあげるには、株価が安い時に買うこともやはり大事ですね。

はるっぴ:そうか、「株主優待が欲しい!」と思うと急いで買いたくなってしまいますが、株価が安くなった時がねらい目ですね。焦らずに、じっくりと見極めようと思います!

次回は、桐谷さんがどんな株主優待で楽しんでいるのか、また初心者におすすめの優待について、じっくり伺っていきます。

Profile

●兒玉遥さん
1996年9月19日生まれ、福岡県出身。HKT48の元メンバー。第1期生。2012年5月、AKB48のシングル「真夏のSounds good!」で初選抜入り。2014年、AKB48兼任が発表され、同年9月HKT48のシングル「控えめI love you!」で初センター。16年には第8回AKB48選抜総選挙で第9位に輝く。19年6月に卒業し、女優としての活動を本格化。舞台「私に会いに来て」「改竄・熱海殺人事件」等に出演。現在は、ドラマや舞台など幅広く活躍中。

●桐谷広人さん
1年365日、株主優待と配当で生計を立てる投資家。プロ棋士七段。バブル絶頂期の1984年に株を始め、バブル崩壊やITバブル、リーマンショックなど相場の浮き沈みを経験。『一番売れてる月間マネー誌ZAiと作った 桐谷さんの株入門』(ダイヤモンド社)等の著書やテレビ出演等多数。

カメラマン/楠本隆貴(will creative) 取材・文/西山美紀

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