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スピリチュアルな新トレンド「シャドウワーク」とは?

  • 2022.7.5
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日頃からメンタルヘルスのケアを積極的にしている人は、“シャドウワーク”という言葉を聞いたことがあるかもしれない。でも、その具体的な意味や方法は?

アメリカのイェール大学医学部の臨床指導医で精神科医のガウリ・クラナ医学博士によると、シャドウワークとは、その名の通り、自分の無意識の部分=影(シャドウ)を知ること。これは、無意識の自分は有意識の自分を補っている、つまり、無意識における自己は有意識における自己と対を成すという考え方に基づいている。シャドウワークで重要になるのは、あなたのポジティブな側面よりもネガティブな側面。ネガティブな側面は、私たちが無意識のうちに抑制しているものだから。

シャドウワークの概念を生み出したのは、精神科医/精神分析医として有名なスイス人のカール・ユング。ユングいわく影は「その人の盲点」で、他人の欠点となって現れる。人にはみな影があり、自分の影を理解すれば、人に対する怒りや批判の源が見えてくる。

「自分の影は自分では見えません。他人に投影されて初めて、私たちは自分の影を目にします」とクラナ医師。「私の患者さんのなかにも、他人の一面に過剰反応して激怒する人がいますが、これは通常、自分が作り上げてきた自分のなかに、自分でも知らない側面があることを意味しています」

ガウリ・クラナ医学博士は精神科医で、イェール大学医学部の臨床指導医でもある。開業医として幅広い年齢層の患者を持ち、人間関係や家庭の問題、仕事のストレスで悩む人々をサポートしている。

シャドウワークに興味はあっても、始め方が分からない? そんな人のためにクラナ医師がアメリカ版ウィメンズヘルスにシャドウワークの基礎を教えてくれた。

シャドウワークとは

Women's Health

クラナ医師によると、シャドウワークの目的は統合。統合とは、自分の盲点を認識することで、それを日頃から意識して、健全な形で表現できるようにすることを指す。

シャドウワークを始めると現実逃避をすることが減り、人の特定の側面が気に障るワケも見えてくる。また、子どもの頃の体験が自分に与えた影響や、一部の衝動や感情を健全な形で表現できない理由も分かってくる。その一例がジェンダー・アイデンティティ。クラナ医師によると、一部の人がオープンなゲイに対して批判的な態度を取るのは、その人自身が自分の性を自由に表現できていないから。

「シャドウワークをすると、その人がなぜそういう性格になったのか、なぜそういう強い感情を持つようになったのかが見えてきます」とクラナ医師。「シャドウワークの主な目的は、影の部分に光を当てて、無意識の部分と有意識の部分を可能な限り統合すること、といえるかもしれません」

シャドウワークのメリット

シャドウワークには科学的なエビデンスがないため、その有効性を実証するのは難しい。でも、数々の患者を見てきたクラナ医師によると、シャドウワークは自分の異なる側面を統合し、思考と人格の一体感を養ううえで効果的。

シャドウワークをすると、自分が特定の行動を好む/嫌う理由が分かるので、自分に対する信頼感も増してくる。例えば、あなたが自分に厳しかったり、自由奔放な人にイライラしたりするのは、子どもの頃に衝動で動いたり、大声を出したりして怒られた経験があるからかも。このような気づきを得ると、ありのままの自分を受け入れ、自分を素直に表現するのが楽になる。

クラナ医師の話では、あなたが自分に対して引いている境界線と、他人に対して引いている境界線を変え、いまより自分に忠実に生きられるようになるのもシャドウワークの大きなメリット。自分に忠実に生きていれば、子育てをするなかで大切にしたいメッセージや戦略も決めやすい。

影はストレスに対処するための依存や飲みすぎといった破壊的な行為を促すので、シャドウワークはポジティブな習慣を築きたい人にもオススメ。

シャドウワークの始め方

Women's Health

クラナ医師によると、シャドウワークに必要なのは好奇心、偏見のない心、そして人と上手く付き合いたいという気持ちだけ。

「シャドウワークの長所は、自分ひとりでもセラピストとでも行えることですね」とクラナ医師。「事前に知らされていなかったけれど、セラピーでしたことが実はシャドウワークだったというケースもあります」。困難な状況に対する患者の理解を深めるために、セラピストが“こっそり”シャドウワークを用いるのは珍しいことじゃない。

「まずは、自分がよく口にする他人の批判を分析することから始めてみましょう。通常、人を批判してしまうのは、自分が知らぬ間に抑制している嫌な部分がその人に反映されているからです」とクラナ医師。「日記を書いたり、家族や幼馴染に話したりして抑制の起源を知れば、自分の強い感情の起源も分かります」

人に対して強い負の感情を抱いたり、自分の盲点を知ったりしても、自分を責めないことが大切。クラナ医師の話では、自分を責めても影が濃くなり、負の感情が一段と強くなるだけ。

シャドウワークで使える“問いかけ”

クラナ医師によると、特定の人や人の側面に対して、過度にポジティブまたはネガティブな反応が現れたときは、その理由を自分のなかに探してみるべき。

「あなたが執着したり批判したりしている他人の側面は、あなたが自分や世界から必死に隠してきた自分の嫌な側面に関係していることが多いです」とクラナ医師。

シャドウワークでは、自分に以下の質問をしてみよう。

・どうして私は〇〇に対して、これほど強いプラスまたはマイナスの感情を抱いたのだろう?

・これは私の子どもの頃の体験と関係している?

・どうして私は〇〇のことばかり考えているのだろう?

・自分にあったらいいなと思う側面は? 逆に、そういう側面を隠してしまうのはなぜ?

エビデンスがないとはいえ、シャドウワークのおかげで自分や人に否定的な態度を取ることが減る可能性は十分にある。シャドウワークがメンタルヘルスに与える影響をもっと詳しく知りたい人は、セラピストに相談を。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Emilia Benton Translation: Ai Igamoto

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