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『私たちのブルース』が伝えた“ありきたりな”メッセージ「愛と幸せ」、ここまで胸に響く理由

  • 2022.6.14
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「私たちが忘れてはならない明確な使命のひとつ。私たちはこの地に苦しむために生まれたのではなく、ただ幸せになるために生まれたということ。皆さん、幸せになってください!」

Netflixで配信中のドラマ『私たちのブルース』(tvN、脚本ノ・ヒギョン、演出キム・ギュテ)が、万人の幸せを願いながら6月12日に幕を閉じた。

作品の骨子は「人に傷つき、人に癒される」だ。もっと簡略的にいえば、「愛」と「幸せ」に対する話だ。最終回の後半部に挿入されたOST『With you』は、そのメッセージにさらに強調した。同曲は3分21秒間、ずっと愛を歌った。

最後まで見え見えだった。「愛して幸せになれ」という言葉だけを見てもそうだ。どれほど常套句だろうか。しかし当然だと思うことほど、時間をかけて努力をしないものだ。これを実践して生きることは決して容易ではない。

“爽快な復讐劇”が脚光を浴びている最近では、宗教施設で聞くような言葉として感じられる。

ありふれたメッセージが響く理由

『私たちのブルース』は、そのありふれたメッセージをありふれた人物たちの叙事で解きほぐした。お金の前に無力な一人暮らしの父親、うつ病を患うが子供を諦められない主婦、ダウン症候群の姉を持つ海女、一言で仲が悪くなった相棒、幼い頃の自分を無視した母親にわだかまりのある息子。いずれも見慣れたキャラクターだ。

(画像提供=tvN)『私たちのブルース』

彼らは大海原のように先が見えない状況でも、漕ぐようにゆっくりと進んでいく。ミン・ソナ(演者シン・ミナ)はイ・ドンソク(演者イ・ビョンホン)の慰めで少しずつ生きる意志を回復し、愛を信じなかったイ・ヨンオク(演者ハン・ジミン)はパク・ジョンジュン(演者キム・ウビン)に徐々に心を開き、イ・ドンソクは一生憎んだ母親カン・オクドン(演者キム・ヘジャ)に手を差し伸べる。

童話のような完璧なハッピーエンドではないが、与えられた場所で幸せになろうと最善を尽くす姿は、むしろ現実感を加える。

また、登場人物は友人、恋人、犬猿の仲、母子、嫁姑など様々な関係で結ばれた人物たちだが、動因が“愛”という共通点がある。これは済州(チェジュ)プルン村の人々が“私たち”に縛られる理由であり、『私たちのブルース』のオムニバス構成が力を持つ理由だ。同時に脚本家ノ・ヒギョンが長い呼吸で伝えたかった話が、最終的に“愛”であったことを推察できる。

『私たちのブルース』は、偏見に対する質問も投げかけた。現実で他人と違うと簡単に排除されるダウン症候群の患者、責任感なく事故を起こしたと後ろ指を差される高校生の夫婦を前面に掲げた。しかし作品のなかのイ・ヨンヒ(演者チョン・ウンヘ)は限りなく愛らしく、チョン・ヒョン(演者ペ・ヒョンソン)とパン・ヨンジュ(演者ノ・ユンソ)はとうとう子供を守り抜いた。

陸地の人々に観光地としてだけ知られる済州島を、陸地のように人が暮らす空間として活用したという点も同じ脈絡と読むことができる。

(画像提供=tvN)『私たちのブルース』

それらの面は、俳優たちの熱演でさらに輝いた。何よりもイ・ビョンホン、シン・ミナ、チャ・スンウォン、ハン・ジミン、キム・ウビン、オム・ジョンファなど主演級の俳優たちは、憂慮とは異なり、従来のイメージから脱して配役に完璧に溶け込んだという評価を受けている。彼らが自分のエピソードではない物語で“周囲の人”に終わるという点も、新鮮な面白さを与えた。『私たちのブルース』でなければできない珍しい経験に、視聴者たちは肯定的な反応を示した。

『私たちのブルース』は、「人生の終わり、絶頂、あるいは始まりに立っているすべての人々の甘くて苦い人生を応援」し、好評のなかで終わった。最終回の視聴率も14.6%(ニールセンコリア全国基準)と自己最高記録を達成した。有終の美を飾ったわけだ。

とある放送関係者は6月13日、本紙『スポーツソウル』に「最近は独特なテーマと刺激的な展開のドラマでなければ注目されにくい雰囲気だ。そんななかで『私たちのブルース』は、ヒューマニズムドラマの生命が尽きなかったことを証明した。特にオムニバス形式なので、ノ・ヒギョン作家特有の人類愛と細かい構成力がより一層引き立った」と伝えた。

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