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カプセルトイの“当たり”が出ない…実は入っていなかった!法的問題は?

  • 2022.6.6
“当たり”が入っていない場合、法的問題は?
“当たり”が入っていない場合、法的問題は?

ここ数年、お金を投入してレバーを回すと、おもちゃなどカプセル入りの商品が出てくる「カプセルトイ」の人気が再燃しています。限定品だったり、高額だったりする“当たり”の商品を引き当てるため、何度もお金を投入して挑戦する人もいますが、ふと感じたのが「“当たり”はどれくらい入っているのだろう?」ということです。中が見えにくいカプセルにすれば、“当たり”を入れていなくても判別できません。もし、カプセルトイの中に“当たり”が入っていない場合、法的な問題はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

“当たり”の確率、ゼロでなければ合法

Q.そもそも、カプセルトイには「一定の割合で“当たり”を入れなければならない」といった規則や法律があるのでしょうか。

牧野さん「現在、カプセルトイなどについて、『一定の割合で“当たり”を入れなければならない』ことを直接規制する規則や法律はありません」

Q.では、カプセルトイの中に“当たり”を入れていなかった場合でも、法的な問題はないのでしょうか。

牧野さん「先ほど述べたのは、あくまで『直接規制する法律がない』というだけであって、販売の仕方によっては、法的問題が生じることはあり得ます。

利用者は、“当たり”が入っていないことを知っていれば、お金を使ってカプセルトイを買いません。実際は当たりが入っていないのに入っているように装い、当たりくじ(今回はカプセルトイ)を販売する行為は、購入者から金銭をだまし取る行為で、詐欺罪(刑法246条1項、10年以下の懲役)に該当する可能性があります」

Q.例えば、1000個のカプセルが入っているカプセルトイで“当たり”が1個だけなど、“当たり”を引き当てる確率をかなり低くした場合、法的な問題はあるのでしょうか。

牧野さん「先述したように、『一定の割合で“当たり”を入れなければならない』ことを直接規制する規則や法律はないので、当たる確率が低くても、ゼロでなければ法的問題は生じません。

ただし、『“当たり”が10個に1個は出る』と表示しておいて、実際には『1000個に1個』の当たり確率(期待値)であった場合には、景品表示法で禁止されている『不当広告』の優良誤認表示、または有利誤認表示に該当する可能性があります。

景品表示法で禁止されている『不当広告』には、(1)実際より著しく優良な商品やサービスであると一般消費者に示す『優良誤認表示(同法5条1号)』(2)二重価格を設定するなど、取引条件が実際より著しく有利であると一般消費者に誤認させる『有利誤認表示(同法5条2号)』─があります。

業者側は、合理的なデータの裏付けや根拠が示せない場合には、優良誤認表示、または有利誤認表示に当たる可能性があります。消費者庁が調査して、優良誤認表示、または有利誤認表示に当たる場合には(是正の)措置命令を出し、当該措置命令に違反した事業者は、個人は2年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり)、法人・団体は3億円以下の罰金の刑罰が課される可能性があります」

Q.数万円を使っても“当たり”が入っているカプセルトイが手に入らなかったとき、「当たらないのは確率的におかしい」と設置業者を訴えることはできますか。

牧野さん「カプセルトイの“当たり”が出るかどうかは、あくまで確率論です。詐欺や優良誤認表示、または有利誤認表示に当たらない場合には、全体の確率で当たりが出るようになっているのですから、購入者が設置業者に対し、当たりの商品を請求する権利は、法的にはありません」

Q.カプセルトイの購入で、お金を使い過ぎないために、事前にすべきことは何ですか。

牧野さん「カプセルトイには、知らず知らずのうちに、お金を使い過ぎてしまう要素もあると思います。例えば、使う予算(例えば当たりの金額相当分)を決めて、それ以上は使用しないようにするなど、自制措置を講じておくのがお金を使い過ぎないために必要です」

オトナンサー編集部

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