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小説に登場する料理が食べられる! 本好きにはたまらない日本近代文学館のカフェ

  • 2015.10.2
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目黒区・駒場公園にある日本近代文学館には、文学カフェ「BUNDAN COFFEE & BEER(ブンダン コーヒー&ビア)」が併設されています。こちらで楽しみたいのは、小説に出てくる料理を再現したメニュー。主人公になった気分を味わえ、物語の世界が身近に感じられるようになります。

何時間でも過ごせそうな居心地のよさ

日本近代文学館は京王井の頭線駒場東大前駅から歩いて約7分。国指定重要文化財の「旧前田家本邸」の洋館と和館を保存する駒場公園の中にあります。館内には本や雑誌、作家の直筆原稿など100万点以上を収蔵。1階はそれらを閲覧できる閲覧室、2階は年に4回展覧会が開催される展示ホールなどに分かれています。

「ブンダン コーヒー&ビア」は1階の奥。店内でまず目に入るのは、天井までびっしりと2万冊の本で埋めつくされた書棚と、ゆったりと配置された居心地がよさそうな椅子やテーブル。やわらかな静けさが漂い、窓の外に目を向けると木々の緑があざやかです。書棚の本はすべて自由に手に取ることができ、読書を楽しむには最高の環境が整っています。

また、文学館入口の横に広がる屋外スペースもテラス席として利用できます。こちらも緑を眺められる落ち着いた空間で、のんびりと過ごせそうです。

メニューを読みふけるお客さんが多くいます

テーブルに置かれたメニューを開くと、ドリンクやフードのメニューひとつひとつが文学と関わりをもっていて、そのバッググラウンドストーリーが説明されています。たとえば、ブラジルコーヒー「芥川 AKUTAGAWA」(700円)は、日本のコーヒー発祥の地といわれる銀座のカフェーパウリスタが当時提供していたと思われる味を再現。芥川龍之介が通っていたことからその名を付けたとし、カフェーパウリスタについて記述がある芥川の短編小説「彼 第二」の一部も紹介されています。 コーヒーはほかにも、マンデリンは「鴎外 OUGAI」、モカは「寺山 TERAYAMA」、モカジャバは「敦 ATSUSHI」と名付けられ、作家とコーヒーをつなぐストーリーが同じように掲載されています。店長の宮崎絵美さんによると、お客さんのなかには注文の品を待っている間や味わっているときにメニューをじっくりと読みふける人が多いそうです。

料理を味わって物語の世界へトリップ

フードメニューは小説に登場する料理のほか、作家ゆかりの料理もあります。「『ハードボイルド・ワンダーランド』の朝食セット」(1000円、ドリンクセット1300円)は、村上春樹の長編小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で主人公が“最後の晩餐”として食べた朝食を再現したものです。 ソーセージを食べると、プリプリの食感とハーブの香りが口の中に充満し、トマトソースの甘酸っぱさがあとを引きます。カリカリに焼かれたフランスパンも添えられていて、噛みしめるごとに小麦の甘みが広がります。これを主人公はどんな気持ちで食べたのだろうと小説の場面を思い描くうちに、物語の世界に入り込んだような気分になってしまいます。

料理はほかに、谷崎潤一郎の小説「夢喰う虫」に登場する「レバーパテトーストサンドイッチ」(1000円)、片山廣子の随筆集「燈火節」に出てくる「ローストビーフごはん」(1200円)、また、梶井基次郎の短編小説「檸檬」の一場面をもとに創作した「檸檬パフェ」(800円)といったデザートも用意されています。

これらの料理をただ食べるだけでなく、食べることによってそれぞれの文学作品の世界を体感できるのが、こちらのカフェの魅力。読んだことがある本はもう一度読み返したくなり、読んだことがない本は読んでみたくなります。

店内では人気作家が愛用した原稿用紙や眼鏡などの雑貨をはじめ、カフェのフードメニューを含む34の本に出てくる料理のレシピ本「食べ物語る BUNDANレシピ」(BUNDAN COFFEE & BEER著 主婦の友社発行 1728円)も販売されています。おうちの食卓で文学の世界を再現するのも楽しそう。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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