1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. センスのいい人に学ぶ、心地よい部屋の工夫|カフェ運営会社勤務・ごとうゆうこ『ナチュラルもシンプルも、好きなものミックスの家』

センスのいい人に学ぶ、心地よい部屋の工夫|カフェ運営会社勤務・ごとうゆうこ『ナチュラルもシンプルも、好きなものミックスの家』

  • 2022.6.3
  • 8473 views

物件そのものの良さだけでなく、素敵な部屋には家主の持つさまざまな“工夫”がちりばめられています。実例をお手本に、センスアップのヒントを学びます。今回は、カフェ運営会社勤務・ごとうゆうこさんのお部屋をご紹介します。5月27日(金)発売Hanako1209号「優しい気持ちを作る、理想の部屋づくり。」よりお届け。

玄関を開けると、そこはいきなりクローゼット。まるでブティックに来たような。しかも真っ先に洗面台が目に入る。その奥にはカフェのような明るいリビング。好きなものを存分に楽しむために、「やりたいことを全部詰め込みました」という。

右ページのリビングダイニングから、クローゼットルームを見る。吊るす、畳む、並べるなど、衣類はすべてインテリアとして見せている。バーの高さや照明の当て方など、アパレルの店舗を参考に研究。床は絨毯。
クローゼットルームとは対照的に、モザイクタイル張りのキッチンカウンターやナラ材の床など、ナチュラルテイストのリビングダイニング。壁際の収納の上には、日常で使う家電は出さずに好きなアートを飾る。

「服はもともと好きでしたけど、より楽しめるようになりましたね。着なくなっていた服も、また着るようになりました」とごとうゆうこさん。52㎡あるマンションの、半分をクローゼットが占めるという斬新な間取り。オープンキッチンならぬ、オープンクローゼットだ。住み始めたのは昨年8月のこと。

【POINT 1】『見せるもの/しまうもののメリハリをつける。』キッチンカウンターの上には、ものを出しっ放しにしないと決めている。リモートで仕事をするときはパソコンや資料も広げるし、食事もここでとるけれど、片付けはすみやかに。炊飯器などは収納棚へ。
【POINT 2】『仕切りの壁をつくらない。』もともと3LDKだったところを、スケルトンにして改装。キッチンとクローゼットは分けたいが、壁で仕切るのではなく、ガラスの引き戸で開閉自在にしている。閉めても見通しがきき、光も届く。
【POINT 3】『好きなものを主役にした場所をつくる。』〈GUBI〉の鏡ありきで、洗面台を玄関脇にしつらえた。本来は壁に掛けて使うものだが、天井から吊って、揺れないように脇からスチールの棒で支えている。まるで床の間の軸のような存在感。

「うれしくて、引っ越した当初はクローゼットで飲んだりしていました。〈knof(ノフ)〉さんの設計のおかげです」という。何度となく引っ越しをしながら賃貸で暮らしてきたけれど、元同僚で友人の建築家、菊嶋かおりさんと永澤一輝さん(一級建築士事務所knof)に物件探しから相談して、3LDKの中古マンションを購入。ほぼ全面改装した。玄関側にクローゼットルーム、その向こうの窓側にリビングダイニングと寝室を兼ねたスペースが広がる。大きく2つの部屋に分かれているが、考え方としては大きなワンルーム。部屋を壁ではなくガラスの引き戸で仕切るようにして、開放感を大事にした。

「服が多いので大きめのウォークインクローゼットが欲しいと言ったら、隠すのはもったいない、全部見渡せるようにしましょう、と提案されて。何案もつくってくれたなかから、このプランに落ち着きました」。ほかにも、以前から憧れていたデンマークのブランド〈GUBI〉の革製の鏡を使いたいと伝えると、せっかくならいい場所にと、玄関脇に大理石の洗面台を据えて、その上から吊るすことに。これまた斬新なディスプレイだ。こうしたシンプルでダークな色のインテリアが好きな一方で、ナチュラルテイストも好きなごとうさん。

【POINT 4】『収納ボックスはサイズ違いで揃える。』大中小とサイズ違いの収納ボックスは、以前から使っているもの。こまごましたものを入れて、帽子の収納ケースと一緒に棚の上に並べている。統一感が出て、眺めて楽しい収納になる。
【POINT 5】『同じ幅で畳んで、絵になるように積む。』ハンガーに掛けて吊るすだけでなく、トレーナーやデニムなどは均一に畳んで棚に並べて見せている。「おかげできれいに畳むようになりました」とごとうさん。好きな服を並べてみたら統一感が出た。
【POINT 6】『シンプルな場に、ファブリックでスパイスを効かせる。』リビングダイニングはものを置かずシンプルな空間だが、ベッドやソファなどに〈ペンドルトン〉のブランケットを掛けてアクセントに。「いいなと思って買ってあったもの。ようやく出番が来ました」
【POINT 7】『主役になる個性派の照明を使う。』ナチュラルな質感でまとめたリビングダイニングには、あえてキラキラした照明器具を選んで華やかさをプラス。その存在感が、甘くなりすぎる雰囲気をほどよく引き締めてくれる。

とはいえ、甘めのほっこり系にはしたくない。リビングダイニングはナラ材の床やモザイクタイルなど、あたたかみのある素材でまとめつつ、カーテンは使わず木製ブラインドにする、生活感の出る家電は収納棚に収める、飾るものはグラフィカルなアートに絞るなど、スッキリとシンプルに見える工夫が効いている。

室内に飾る植物は、花ではなく初心者でも扱いやすい観葉植物や乾いたグリーン系のもので統一。ともするとケンカしそうなスタイルも、ごとうさんの「好きなもの」という統一感で、空間すべてが心地よくまとまっている。

【DATA & PROFILE】ごとう・ゆうこ

【PROFILE】
カフェ運営会社勤務。4年に一度は都内のいろんな場所に引っ越していた人生から、定住を決意。街が快適で、窓からの眺めがいいマンションを選んだ。

【DATA】
広さ:52㎡
所在地:東京23区 駅徒歩11分
築年数:47年
居住歴:1年

(Hanako1209号掲載/photo : Keisuke Fukamizu text : Yuka Sano)

元記事で読む
の記事をもっとみる