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未来のためにも! オーガニックの食材を選ぶべき10の理由

  • 2022.5.28
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どのミールプランでも、オーガニックの食材を選ぶのは賢い選択。有害な化学物質を含まない上に栄養価が高く、おいしくてサステナブルなオーガニックの食材を優先すれば、自分のためにも、地球のためにも、次世代のためにもなる。そう言い切れる理由はたくさんあるけれど、ここではそのうちの10個をチェックしてみよう。

1.化学物質を避けられる

商業栽培の食物に含まれる有害な化学物質を避けるには、有機栽培の食物を選ぶしかない。アメリカでは600種類以上の活性化学物質を農業に使用することが認められており、使用量は年間数十億ポンドにもなる。これを1人あたりに換算すると、1年で約7.3キログラムの化学農薬を摂取していることになるというから恐ろしい。しかも、米国環境保護庁は大規模な食品検査を行うことなく、この化学物質の多くを認可している。

全米科学アカデミーによると、食物に使われる化学物質の90%は、それが健康に及ぼす長期的な影響の調査を待たずに“安全”と判断される。しかも、米国食品医薬品局の残留農薬検査を受ける食品は、全体の1%にすぎない。最も危険で有害な農薬には特別な検査が必要で、それを米国食品医薬品局が実施することは、あったとしても非常に稀。

2.栄養価が高い

有機栽培を名乗るためには、厳格な基準に沿った土壌づくりや養分管理が必要になるため、オーガニックの食物には、商業栽培で育てられた食物よりも養分(ビタミン、ミネラル、酵素、微量栄養素)が多い。代替医療専門誌『The Journal of Alternative and Complementary Medicine』は、関連する41本の論文を考察し、有機栽培のフルーツ・野菜・穀物と、従来の栽培方法で作られたフルーツ・野菜・穀物の栄養価を比較した。すると前者には、いくつかの栄養素が後者とは比べ物にならないくらい多く含まれていた。

また、有機栽培の野菜(レタス、ホウレン草、ニンジン、ジャガイモ、キャベツなど)を1日5皿分食べれば、適量のビタミンCが摂取できることも分かった。従来の野菜を同じだけ食べても、この結果は得られない。

平均して、有機栽培の食物には従来型栽培の食物よりも鉄が21.1%、ビタミンCが27%、マグネシウムが29.3%、リンが13.6%多く含まれる。

3.おいしい

これは食べてみれば分かること。栄養たっぷりでバランスの良い土壌では、健康で丈夫な作物が育つ。だから有機栽培の食物は味が良い。特に在来品種は見た目より味を重視して作られるので、とりわけ美味。

4.遺伝子組み換え食品を避けられる

遺伝子組み換え食品は、私たちの食生活を驚異的な速さで汚染し、理解に苦しむような事態を生み出している。アメリカでは2020年まで遺伝子組み換えの表示が義務付けられていなかった。表示があろうとなかろうと、有機栽培では作物の遺伝子を組み換えることが許されないので、遺伝子組み換え食品を避けるためには、オーガニックの食物を選ぶのが一番確実。

5.動物にホルモン、抗生物質、薬品が投与されていない

食肉と乳製品は、有害物質で汚染されている可能性がもっとも高い食品。アメリカ人が摂取する農薬の9割以上は、食肉と乳製品の脂肪と組織に含まれている。

米国環境保護庁の報告によると、私たちが摂取する農薬の大部分は、牛肉、豚肉、鶏肉、魚、卵、乳製品に由来する。これは、このような食品が食物連鎖の一番高いところにいる動物から作られたものだから。とても小さい魚を食べる大きな魚の体内には、食物連鎖内の毒素(特に脂肪組織)が全て蓄積される。牛、鶏、豚には、毒素と化学物質が蓄積した動物の部位や副産物、魚粉、穀物が飼料として与えられる。毒素と化学物質は脂肪組織に溜まるので、低脂肪の動物性食品は危険度が低い。

抗生物質、薬品、成長ホルモンも、食肉と乳製品に直接注入されているようなもの。動物用飼料には、毎年何百万ポンドもの抗生物質が使われている。この事実に懸念を示す科学者たちによると、アメリカで生産される抗生物質の推定約70%は治療以外の目的で動物に使われている。アメリカの畜産農家は、飼料を増やさずに牛肉と牛乳の生産量を増やす目的で、畜牛に6種類のホルモンと成長ホルモンを投与している。牛に投与されたホルモンは高温で処理しても分解されないため、肉と一緒に完全な形で消費者の体に入る。

ホルモン添加は、牛肉、乳製品、養殖魚を買う上で最大の懸念点。ヨーロッパの科学団体は、現在アメリカで使われているホルモンには安全と言える量がないとし、成長ホルモンの使用を全面的に禁止した。

ホルモン添加がもたらす悪影響には、思春期の早発、腫瘍の増殖、がんリスクの上昇、遺伝学上の問題などがある。また、牛乳に含まれる遺伝子ホルモン(rBGHやrBST)は、遺伝子が組み換えられており、特に女性のがんのリスクを高める。

ペニシリンやテトラサイクリンといった抗生物質が飼料に大量添加されていることを受け、多くの科学者と専門家は、人間の体に抗生物質が効かなくなる日も近いと考えている。天然資源保護協議会の上級研究員、カリム・アハメド博士によると、これはアメリカが直面している最も深刻な公共衛生問題の1つ。「もっとも重要な抗生物質の多くが効かなくなるわけですからね」

だから動物性食品(特に子供や妊娠中・授乳中の女性が摂取するもの)は、絶対にオーガニックでなくてはならない。

6.生態系の保全につながる

有機農業では、生態系の持続性や自然との調和が重視される。

有機農業で行われる土壌の管理と輪作は、農地を健康な状態に保つ。また、化学物質が使われないため、生態系が守られる。野生生物、虫、カエル、鳥、土壌生物も、複雑な生態系の中で各々の役割を果たしている。私たちも、生態系を壊すことなく、私たちの役割を果たすべき。

7.環境汚染の削減と水質・土壌の保全につながる

農薬、殺虫剤、化学肥料は、貴重な水を汚染して、肥えた農地の価値を下げる。有機栽培・農業では、有毒な化学物質の使用が認められず、土壌の養分管理と生態系の保護を徹底して行う必要がある。

米コーネル大学の昆虫学者、デイヴィッド・ピメンテル博士によると、散布された殺虫剤が目標の害虫に届く確率はわずか0.1%。残りの99.9%は環境を汚染するだけ。

8.農業の多様性が維持できる

品種の大幅な減少は環境上の大きな問題。この1世紀で、農業作物の遺伝的多様性の75%が失われたと言われている。特定の作物の特定の品種に依存しすぎると、農業は確実に荒廃する。かつては品種が無数にあったジャガイモも、いまではひと握りの品種だけが市場を独占している状態。

19世紀半ばのアイルランドでは、当時の食卓の主役ともいえるジャガイモが葉枯病で全滅した。数少ない品種に頼りきっていたことも災いし、何百万もの人々が飢餓で亡くなった(俗に言うジャガイモ飢饉)。現代の商業農家の大半も、1つの土地で複数ではなく単一の作物を育てている。知らぬが仏と言いたいのかもしれないけれど、過去の過ちを忘れれば、災難が繰り返されるだけ。輪作は、殺虫剤の必要性を下げ、土壌肥沃度を高めるために有機農業で使われるシンプルかつ効果的なテクニック。

現代の農業では、干ばつや害虫といった地域特有の条件に強い伝来種を幅広く育てる代わりに、大きくて魅力的な作物を育てるための品種改良も広く行われている。その一方で、多くの有機栽培農家は、自然条件と伝統を考慮して、幅広い作物を育てている。人間が生き残るには、多様性が絶対不可欠。

9.農家を直接サポートできる

オーガニックの食材は高いけれど、将来のことを考えれば安い。アメリカでは、従来の商業型農業が多額の補助金を受けている。この補助金の出どころは税金。米コーネル大学の調査では、通常49セントで買えるレタス1玉が、隠れコストを算入した途端3ドル以上になることが分かった。この隠れコストには、政府の補助金、殺虫剤の規制と検査、有害廃棄物の処理などのコストが含まれる。

アメリカでは毎年、農業法で優遇される商業型アグリビジネスに何十億ドルもの税金が使われている。要するに本当の値札というのは、なかなか出てこない。そして、その値札には、先ほどの隠れコストに加えて、健康被害、環境汚染、野生生物の減少や絶滅、生態系の崩壊といった計り知れない規模の関連コストが含まれている。

10.子どもたちと未来を守れる

市場規模が1兆ドル(約120兆円)とも言われる米国の食品業界を変えるには、行動を起こすしかない。オーガニックセクターに投資するのは、次世代を担う子どもたちの健康とサステナブルな未来に直結する行動となる。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Renee Loux Translation: Ai Igamoto

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