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ドストエフスキーってハードルが高い?入門におすすめの3冊

  • 2022.5.25
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『地下室の手記』ドストエフスキー 著、『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー 著、『罪と罰』ドストエフスキー 著

教えてくれた人:三宅香帆(書評家)

あらすじと登場人物を把握してから読む。

名作の誉れ高い文学の中でも、とりわけハードルが高いのがドストエフスキーの小説だ。実際、書評家の三宅香帆さんも「登場人物が多くて、名前も覚えにくいんですよね」と話す。
そんな三宅さんが編み出した打開策が、「ネットや文庫解説であらすじと登場人物を把握してから読む」というもの。

ネタバレ厳禁な人にはご法度にも思えるが、「ドストエフスキー作品の面白さは、登場人物が思想を戦わせる会話場面など、物語からは脱線した部分にもある。あらすじなどを頭に入れておいた方が、その魅力に気づけると思います」と三宅さん。

「もちろん、それでも難しい部分もありますが、わからないところは気にせず飛ばして、『カラマーゾフの兄弟』であれば“あそこの兄弟、仲悪いらしい”という世間話を立ち聞きするみたいに読んだり、あるいは一人の推しキャラを見つけてその人物に注目して読み進めたり、まずは気張らずに接してみるのがいいんじゃないでしょうか。

登場人物がひたすら思い悩む話が多いので、仕事を辞めて休職中のタイミングや、人生がうまくいってないときに読むと、染みますよ」

入門におすすめの3冊。

Information

『地下室の手記』ドストエフスキー 著

『地下室の手記』江川卓/訳

一般社会から距離を置き、地下室に引きこもる自意識過剰な男の独白が描かれる。「主人公がずっと暗い話をしていて、ここまで悩んでいいんだと思えます」。新潮文庫/¥605。

Information

『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー 著

『カラマーゾフの兄弟』亀山郁夫/訳

それぞれに個性的なカラマーゾフ家の3兄弟が集結し、財産相続について議論を重ねる中で、何者かに父が殺される。三宅さんは次男イワン推し。全5巻。光文社古典新訳文庫/1巻¥796。

Information

『罪と罰』ドストエフスキー 著

『罪と罰』亀山郁夫/訳

正義のために殺人を犯した主人公を通して、「道徳とは何か?」を問う。「ドストエフスキー自身の思想がわかりやすく出ている作品」。全3巻。光文社古典新訳文庫/1巻¥901。

profile

三宅香帆(書評家)

みやけ・かほ/1994年高知県生まれ。著書に『人生を狂わす名著50』『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』など。

twitter:@m3_myk

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