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『えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの いそがしい毎日』【今日の絵本だより 第295回】

  • 2022.5.24
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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

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『えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの いそがしい毎日』 松岡享子/原案・文 降矢なな/文・絵 福音館書店 1320円

春から初夏にかけては、青いおまめがおいしい季節。 発売中のkodomoe6月号「季節の絵本ノート」でも、えんどうまめやそらまめの絵本を5冊紹介しています。 今回はそれに加えてこちらでも、おまめの絵本をもう1冊。 先月発売になった新刊、『えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの いそがしい毎日』をご紹介します。

赤い屋根の小さな家に仲良く暮らす、えんどうまめばあさんと、そらまめじいさん。 ふたりともそれは働き者で、朝から晩までくるくると、まめまめしく働いています。 ただ、ひとつだけ困ったことが。 何かをしている途中でも、他のことが気になると、すぐに始めないと気が済まないのです。

今日はお昼ごはんの時に、おばあさんが、庭のえんどうまめに支柱の棒をたてなくてはいけないことを思い出しました。 お昼もそこそこに畑に行くと、草がぼうぼう。 おばあさんは棒をたてるのを忘れて、草取りを始めます。 今度はぬいた草をうさぎに食べさせようと、うさぎ小屋へ。 うさぎ小屋の金網が壊れているのを見て、うさぎに草を食べさせるのを忘れて、おじいさんに修理を頼みに行き……と、最初の目的はどこへやら。 おばあさんだけでなく、おじいさんもこの調子ですから、ふたりの一日はあっという間です。

お話の原案は、『しろいうさぎとくろいうさぎ』や「くまのパディントン」シリーズ(福音館書店)の翻訳で知られる松岡享子さん。 児童文学者として、東京子ども図書館名誉理事長として、子どもの本や読書活動の発展に長年尽力されてきた松岡さんは、今年の1月に永眠されました。 最後に遺された新刊は、おばあさんとおじいさんの、おうちでの一日のお話。 魔法や冒険のお話も心躍りますが、こんなふうに普通の暮らしの中にも、小さな物語はいくつも輝いている。 ふたりの家と庭を描いた最初の見返しと最後の見返し、その違いをくらべると、改めてそれを実感します。 次から次へあれこれバタバタと、忙しい毎日も悪くない。 あわただしい日々の暮らしも、少し愛おしく思えてくる、楽しくて温かい一冊です。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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