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もしパリで1時間あったら、どの展覧会に行こうか?

  • 2015.9.30
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建物に巨大な顔の写真を貼り付ける作品で知られる JR。最近のパリでは、工事中のパンテオンの周囲を彼の写真が囲って話題となった。目下ギャルリー・ペロタンで彼の5回目の展覧会が開催されている。「Decade. Portrait d'une génération (10年。1世代の肖像)」と題され、ビデオ、写真など彼のこの10年間の作品がギャラリーの2つのスペースに豊富に展示されている。

作品の舞台はパリ郊外クリシー・モンフェルメイユ。2005年に北アフリカ出身の3名が警官に追われ逃げ込んだ変電所にて感電し、2名が死亡したことがきっかけで大きな暴動が起きた場所だ。JRは事件前にそこの集合住宅ボスケの住民たちを撮影していて、その後、彼の写真を貼り付けた建物が取り壊されることを知り、その解体の瞬間も撮影した。ギャラリー内で、この映像は床への写り込みを意識した広い個室で流されている。さて、2014年にニューヨークシティ・バレエ団のために作品制作を依頼されたJRは、パリ郊外に住むJRの友人と、その友人が暴動の際にジャーナリストの物語をテーマに作品を作った。その後、JRは2005年の暴動の地に戻り、オペラ座バレエ団のダンサーたちでそれを撮影。こちらの17分の映像は、ギャラリー奥からつながるl'Impasse St Cloudeの会場にて見ることができる。

JRの10年間の作品である写真も2つの会場にて展示されている。

「Decade. Portrait d'une génération」展
会期:2015年10月17日まで
Galerie Perrotin
76, rue de Turenne
75003 Paris
開館:11:00~19:00
休)日、月
www.perrotin.com


パリの貨幣美術館。昨年はポール・マッカーシーが18世紀に建築された壮麗な建物をチョコレート工場に変身させ話題となったが、9月16日に開催が始まった「Take Me(I'm yours)」展も、すでにパリっ子の興味を引いている。作品の脇に「Don't touch」と書かれているのが約束事の美術館にあって、なんとこの会場では作品のお持ち帰りを提案しているのだから。これは1995年にすでにロンドンのギャラリーで開催された展覧会の新バージョンで、キュレーターはクリスチャン・ボルタンスキーとハンス・ウルリッヒ・オブリスト。来場者は会場を巡って作品を眺めるだけではなく、実際に作品に手を触れ、袋に入れて自宅に持ち帰り、それを別の環境、別の方法で展示するなり......ということによって作品が完成するという"新しいゲームの規則"は興味深い。古着の山、骸骨の骨(フェイクだけど)、キャンディー......。ロンドン開催時にも参加したボルタンスキー、ギルバート&ジョージ、ウォルフガング・ティルマンスなどに加え、この貨幣美術館では新たにダニエル・スポエリ、ヨーコ・オノ、ベルトラン・ラヴィエといったアーティストが参加している。

18世紀の美しい建物と現代アート作品がコントラストをなす会場。

「Take me(I'm yours)」展
会期:2015年11月8日まで開催
Monnaie de Paris
11 , quai de Conti
75006 Paris
Tel. 01 40 46 58 18
開館:11:00~19:00(木曜は~22:00)
休)なし
入場料:12ユーロ
www.monnaiedeparis.fr


10月5日までの開催なので、急がねば! というのは、セーヌ河岸のエルメスによる「Dans l'œil du flâneur」展だ。これは今春にロンドンのサーチギャラリーで「Hermes Wonderland」というタイトルですでに開催されたもの。やっとエルメスの本拠地パリにやってきたというわけである(年末はミラノで開催予定)。今年のエルメスの年間テーマ「フラヌール いつでも、そぞろ歩き」にちなんだこの巡回展。現代アーティストのユベール・ル・ガルがボックスの中に構成した9つの空間を、私たちはファンタジーに導かれてそぞろ歩きするのだ。展示品にはエミール・デュマのコレクションやエルメスのアーカイブからの作品も含まれている。詳しくは見てのお楽しみ!

エルメスのファンタジーを存分に味わって。

「Dans l'œil du flâneur」展
会期:2015年10月5日まで開催
パリ左岸 Port de Solférino(コンコルド橋とLéopold-Sédar-Senghor 歩道橋との中間)
開場:13:00~19:00(木曜は~22:00)
休)なし
入場無料
http://lesailes.hermes.com/dansloeilduflaneur

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