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胸を打つ感動作。吃音に苦しむ息子に父がかけた言葉とは

  • 2022.5.17
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幼少期には20人に1人、大人になっても100人に1人が症状をもっているといわれる吃音。うまく話せないことでからかわれたり、コミュニケーションに不安を感じたりと、悩んでいる人は多い。

2021年7月に発売された『ぼくは川のように話す』(偕成社)は、吃音をもつカナダの詩人、ジョーダン・スコットさんの体験から生まれた絵本だ。邦訳版がこのたび、第69回産経児童出版文化賞の翻訳作品賞を受賞した。

主人公は、吃音に悩む男の子。症状のひどいある日、憂うつな気持ちのまま学校へ行った。放課後になり、迎えに来た父親は、「うまくしゃべれない日もあるさ。どこかしずかなところへいこう」と少年を川へ誘い出す。そして、川を眺めながら、息子にこう声をかけた。

「ほら、川の水を見てみろ。あれが、おまえの話し方だ」
見ると、川は......あわだって、なみをうち、うずをまいて、くだけていた。
「おまえは、川のように話してるんだ」

絵は、いま世界で最も注目されている絵本作家の1人、シドニー・スミスさんが担当。吃音のみならず、人と同じようにものごとが「なめらかに」できないことに悩む子どもたちを、「言葉と絵のイメージ」で救う。

作者は「あとがき」で次のようにメッセージを寄せている。

「川には河口があり、合流点があり、流れがあります。川というのは、永遠に、自分より大きなもの、広い場所をめざして、気負わず、たゆまず流れていきます。ところが、川は流れていく途中でどもることがあり、それはぼくも同じなのです。(中略)
父が川を指さしたとき、ぼくはそこに、自分にしかわからない恐ろしいものを、言葉にするためのイメージや表現があることを知りました。こうして、父が吃音を自然の中の動きにたとえてくれたおかげで、ぼくは自分の口が勝手に動くのを感じるのが楽しくなりました。(中略)
ぼくはときおり、なんの心配もなくしゃべりたい、「上品な」、「流暢な」と言えるような、なめらかな話し方であればいいのに、と思います。でも、そうなったら、それはぼくではありません。 ぼくは、川のように話すのです。

世界中で多くの人が悩みを持つ吃音をテーマにした作品。繊細かつダイナミックな表現が、多くの人の心に響く。ぜひ、親子で読んでほしい。

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