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ジェンダー・ニュートラルに向け、米国のパスポートで性別「X」が選択可能に

  • 2022.5.7
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世界には、自己を男性でも女性でもなく、ノンバイナリー、インターセックス、ジェンダー・ノンコンフォーミングとして認識している人がいる。その人たちの権利を認め、米国が性別「X」のパスポート第1号を発行した。あらゆる側面で自分のジェンダーが認知されることを求め、長きにわたり闘ってきたLGBTQ+コミュニティにとっては画期的な出来事。米国務省いわく2022年初頭には、パスポートに限らず広い範囲で「性別X」の使用が可能になるとのこと。オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

LGBTQの人権擁護活動を取り仕切る米国特使のジェシカ・スターン氏によると、パスポートの性別の選択肢に「X」が加えられたのは、歴史的であるとともに国を挙げて祝うべき重要な出来事。ご存じの通り世の中には、男女という2つの選択肢だけでは到底反映しきれない幅広いジェンダーがある。スターン氏いわく今回の出来事は、その“現実”に政府関係の書類が(やっと)追い付いてきたことを示すもの。

「本人確認の書類に真のアイデンティティが反映されると、その人の尊厳が守られて、自尊心が高まります」とスターン氏。

性別「X」のパスポート第1号を受け取った人の身元は公表されていないけれど、2015年から政府と法廷で争ってきたコロラド在住のインターセックス、ダナ・ズィム氏ではないかとの見方がある。『The Guardian』誌によると「ズィム氏は、申請用紙の男にも女にもチェックを入れなかったことを理由にパスポートの発行を拒否された。裁判文書によるとズィム氏は、“M”と“F”のチェックボックスの上に“インターセックス”と書き、性別を“X''にしてほしいと頼んだという。ズィム氏は、性別の判断基準となる身体的特徴(生殖器や染色体など)が男女の中間またはどちらとも一致しない状態で生まれたが、男の子として育てられた。何度か手術を受けたものの、見た目が100%男性になることはなかった」

ノンバイナリー、インターセックス、ジェンダー・ノンコンフォーミングの人々に向け、米国務省が第三の性別を加える方向性を明らかにしたのは昨年6月のこと。同省は、この導入に時間がかかることも認めており、米国全土のパスポート申請システムに性別「X」が追加されるのは、米国行政管理予算局の承認が下りてからとなる。

今後、本人確認書類のジェンダーが真のジェンダーと合致していない場合には、医師の診断書を提出しなくても、自分の意思でジェンダーが選べるようになる。ニュージーランド、ネパール、カナダ、オーストラリアは、パスポートの性別に男性・女性以外の選択肢を設けている数少ない国の例。そこにアメリカが加わるのは、その国で暮らすLGBTQコミュニティにとって間違いなくうれしいニュース。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: WH Staff Translation: Ai Igamoto

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