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クールな銭ゲバ弁護士を熱演 「元彼の遺言状」で見えた綾瀬はるかの“ブランド力”

  • 2022.5.2
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綾瀬はるかさん
綾瀬はるかさん

綾瀬はるかさんが主演を務める月9ドラマ「元彼の遺言状」(フジテレビ系)が好発進。初回の視聴率が12.1%と好スタートを記録したことから、ドラマ界における「主演・綾瀬はるかブランド」が確立しつつあると言えるでしょう。

同作で綾瀬さんが演じるのは、お金にならない仕事はしない主義のクールな銭ゲバ弁護士・剣持麗子。ドラマの第1話は、彼女が学生時代に付き合っていた元彼・森川栄治(生田斗真さん)が、謎の死を遂げるところから物語がスタートします。その後、麗子は謎の男・篠田(大泉洋さん)に導かれ、栄治を殺した真犯人を探すことに。

普段のゆるふわな雰囲気は鳴りを潜め、尖(とが)った切れ味で容赦ない言葉を突きつける、綾瀬さんの新たな魅力がさく裂しているドラマです。

新川帆立の大人気ミステリー小説

同ドラマの原作は、作家・新川帆立さんによる同名小説。真っ赤な背景に、りんとした女性のイラストが映える表紙を、書店でご覧になった方も多いのではないでしょうか。

敏腕弁護士である主人公・麗子の元彼は、莫大(ばくだい)な遺産を持つ大手製薬会社の御曹司・栄治でした。とある日、その栄治が「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」と意味深な遺言を残し、謎の死を遂げます。

栄治の友人であり、麗子が在籍していたゼミの先輩・篠田から連絡を受けた麗子は、不可思議な依頼を持ちかけられることに。それは「自分を犯人にしてくれないか」といったものでした。

最初は乗り気でなかった麗子ですが、元来お金には目がない性格で、報酬の多寡で受ける仕事を決める彼女にとっては、無視できない要素が。それはもちろん、莫大な成功報酬です。

普通の弁護士なら受けないであろう依頼を請け負うことに決めた麗子は、篠田とともに難事件に挑みます。同作は、そんな“敏腕弁護士”麗子と不可思議な殺人事件を主軸に展開される、新感覚のミステリーです。

高視聴率が相次ぐ綾瀬はるかのドラマ

前述したとおり、初回の視聴率が12.1%と好発進した同ドラマ。4月18日放送の第2話が10.3%、4月25日に放送された第3話も10.3%を記録し、依然として2桁をキープしています。

その要因として、同作が魅力的なストーリーであることはもちろん、「綾瀬はるか主演ブランド」の力も発揮されていると言えるでしょう。近年の主演ドラマにおいても高い水準を保っているのです。

・「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ系)最高視聴率14.5%・「義母と娘のブルース」(TBS系)最高視聴率19.2%・「天国と地獄~サイコな2人~」(同)最高視聴率20.1%

「奥様は、取り扱い注意」では、特殊工作員(スパイ)だった過去を持つ伊佐山菜美(いさやま・なみ)を、「義母と娘のブルース」では、感情を表に出さない元・キャリアウーマンの宮本亜希子(みやもと・あきこ)を、「天国と地獄」では、殺人の容疑がかけられた男と中身が入れ替わってしまう刑事・望月彩子(もちづき・あやこ)を演じています。

それぞれに共通するのは、普段の様子と大きなギャップを感じる綾瀬さんの演技力と言えるでしょう。

2019年の第70回「NHK紅白歌合戦」で見られた、彼女の司会が記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。“ゆるふわ”といった言葉が似合う受け答えと進行に、改めて「これぞ綾瀬はるかだ!」と思えたことでしょう。バラエティー番組やCMで見る彼女の姿も同じく、天真らんまんで朗らかな在り方が印象的です。

そんな普段の様子からは、ドラマで演じる綾瀬さんの姿はとても想像できません。

とりわけインパクトが強かった作品は、昨年放送された「天国と地獄」でしょう。高橋一生さん演じる連続殺人の容疑者と、体の中身が入れ替わってしまう刑事・望月を演じた綾瀬さん。手柄を立てようと一生懸命、捜査に乗り出すも、空回りが多いキャラクターでした。

しかし注目したいのは、連続殺人の容疑者と入れ替わった後の望月です。外見はこれまでと変わらないものの、中身は冷酷で頭の切れる男になってしまいました。その変貌ぶりも、綾瀬さんは見事に演じ分けています。

そんな“演技のギャップ”の振り幅が大きいからこそ、視聴者は目が離せなくなるのではないでしょうか。その変貌ぶりはそのまま、彼女の役者としての力量と比例しています。

予想できないストーリー展開に注目

原作と同じように、ドラマ「元彼の遺言状」も予想できないストーリー展開を見せていましたが、なんと、4月18日に放送された第2話の時点で、原作の内容を描き切ってしまっているのです。

4月25日放送の第3話以降は、麗子と篠田がバディーのような関係となり、次々と降りかかる難事件を解決していく流れに。第3話では早速、原作の続編である「剣持麗子のワンナイト推理」から、不動産屋の主人が殺害されるエピソードがピックアップされました。

ホストクラブに勤める“武田信玄”と名乗る男から、不動産屋の主人が殺害された事件について弁護依頼を受けた麗子。お金にならない仕事はしない主義の麗子ですが、この不動産屋を巡る立ち退き問題を解決すれば、数珠つなぎに莫大な報酬が得られると知り、態度が一変します。

今後はさらに“敏腕弁護士”麗子と“小間使い”篠田のバディーが織りなすコミカルな展開や、練られたミステリー要素も合わせて楽しめそうです。

ちなみにドラマ版の篠田は、栄治の所有する別荘(第1~2話の舞台となった)の管理人をしている設定ですが、原作では単に大学時代の先輩とされています。ミステリー作品にはバディーがつきものですから、設定を変更し、篠田を相棒としたのも納得です。

この先も、原作の魅力を踏まえた上で、ドラマオリジナルの展開を見せてくれることでしょう。ドラマ放送で初めて同作を知った方も含め、原作ファンの方も、双方の違いを比較しながら楽しめるのではないでしょうか。

やはり何といっても楽しみなのは、綾瀬さん演じる麗子と、大泉さん演じる篠田のやりとりでしょう。一体どんなバディーの在り方を見せてくれるのか、名役者同士の演技にも期待したいところです。

ライター 北村有

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