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「マイファミリー」「わたナギ」…多部未華子が醸し出す圧倒的“ヒロイン力”

  • 2022.5.1
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多部未華子さん(2017年6月、時事)
多部未華子さん(2017年6月、時事)

息もつかせぬノンストップな展開で注目を集めている日曜劇場「マイファミリー」(TBS系)。嵐の二宮和也さんが主演を務める同作は、冷めきった夫婦が誘拐された娘を取り戻すために奔走するストーリーです。

夫の鳴沢温人を演じる二宮さんに対し、妻の未知留を演じるのは、二宮さんと2007年放送のドラマ「山田太郎ものがたり」(同)以来、15年ぶりの共演となる多部未華子さん。

多部さんといえば、2019年に写真家の熊田貴樹さんと結婚。2021年3月に妊娠を発表した後、プライベートでも1児の母親となりました。

出産後初のドラマ出演となった同作では、大切な一人娘が命の危険にさらされ、焦燥に駆られながらも犯人に懸命に立ち向かう母親を熱演しています。

等身大の演技と身近な存在感

多部さんは、NHK連続テレビ小説「つばさ」(2009年度前期)で主演の座を射止めて以降、数々の作品で印象的なヒロインを演じてきました。ブレークのきっかけとなった「デカワンコ」(日本テレビ系)では、フリフリの衣装に身をまとった、警察犬並みの嗅覚を持つ新人刑事を好演し、「第68回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」で主演女優賞を獲得。

この頃からコメディー路線のヒロインを演じる機会が増え、「ドS刑事」(同)では人が困った顔を見るのが大好きな前代未聞の刑事を、映画「君に届け」(2010年)では見た目の印象と口下手な性格から「貞子」とあだ名をつけられた女子高生を、「あやしい彼女」(2016年)では20歳に若返った73歳の老女を体当たりで演じています。

みんなが「多部ちゃん」と、つい気さくに呼んでしまうような親しみのある多部さん。どこか素朴な雰囲気がそうさせるのかもしれませんが、何より多部さんの演技が等身大で、一人一人のキャラクターを身近な存在に感じさせてくれるからでしょう。

コメディエンヌとしての才能を開花させながらも、多部さんの芝居は決して大げさではありません。

記憶に新しいのは、2020年に放送された「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)です。同作は、仕事はできるのに家事と恋には不器用な独身女性・相原メイ(多部さん)が、おじさん家政夫を雇うことで巻き起こるラブコメディー。多部さんは、いろんなことに全力で取り組むヒロインをポップに演じながらも「完璧でいなければ」「仕事も家事も両立しなければ」と自分を追い詰めてしまう苦しみを映し出し、働く多くの女性から共感を得ました。

代表作の一つでもある「これは経費で落ちません!」(NHK総合)では、堅物で奥手な経理部の女子社員に。淡々と真面目に仕事をこなす、一見共感が得られにくいキャラクターでも、多部さんが演じればたちまち人間味があふれ出します。

恋愛に依存しがちで、流されるままに男性を受け入れてしまう芯が弱い20代の女性を体当たりで演じた「ピース オブ ケイク」(2015年)や、両親の急死後、叔父夫婦の計らいでタワーマンションに住むことになった30代の女性が、日本を代表するスター俳優との逢瀬(おうせ)に溺れながら、夢と現実とのはざまで静かに葛藤するさまを表現した「空に住む」(2020年)など、自身と同年代の女性をみずみずしく演じられるのも多部さんの魅力。

多部さんが演じるキャラクターに自己投影して共感したり、身近な友達を応援しているような気持ちになったり、視聴者がスクリーンやテレビの前で一喜一憂できるような、圧倒的なヒロイン力を多部さんは持っているのです。

「マイファミリー」で見せる絶妙な温度感

現在放送中の「マイファミリー」でも、家庭を顧みない温人に無関心を装いながらも、温人のビジネスパートナーである女性の存在が気にかかったり、娘を犯人から取り戻そうと少しずつ変化を見せる温人を見て心が揺れ動いたり、夫に対してまだ愛が残っているのかいないのか、自分でもよく分からない妻を絶妙な温度感で演じている多部さん。

一方で、大事な娘が危険にさらされたときは、取り乱して泣き叫ぶなど、これまで以上に感情をさらけ出している姿が印象的です。

4月24日放送の第3話で「誘拐編」が完結し、温人と未知留の娘は無事に戻ってきましたが、またしても彼らに困難が襲いかかりそうで……。これまでとは一味違う、多部さんの「マイファミリー」で見せるヒロイン力にご注目ください。

ライター 苫とり子

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