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ハルミ・クロソフスカ・ド・ローラの新作。

  • 2022.4.29

秋にはパリ6区のアートギャラリーで、その後はニューヨークでと個展の開催が予定されるアーティストのハルミ・クロソフスカ・ド・ローラもまた植物や動物など、自然界にインスパイアされた創作活動を続けている。彼女が暮らすのはスイスの山小屋。彼女の周りには狼、サーバル、犬、猫……彼らは彼女の彫刻のモデルにもなるのだ。

この春、2017年に始まったゴッサンスとのコラボレーションによる詩情あふれる新作が発表された。「ジュエリーもオブジェとして創造を始めます。身に着けられるにせよ、着けられないにせよ、そのもの自身の命を持ってほしいので」と語るハルミ。メゾン・ゴッサンスとの3回目のカプセルコレクションは、トンボと蝶々をモチーフにしたブレスレット、ピアス、リング、ペンダント……。イヤリングとネックレスのトンボの翅鞘(ししょう)は繊細なレースのようで、軽やかな飛翔と同時に生命の儚さを感じさせる美しさだ。蝶々のデザインは羽が植物の葉を連想させ、マットに仕上げられている。日本人を母に持つが日本語はあまり達者ではないと謙遜しつつも、「わびさびを愛でる心が私の中にあります」と語っていた。

ハルミ・クロソフスカ・ド・ローラとゴッサンスの第3回目のカプセルコレクションより、トンボのジュエリー。左からイヤリング(450ユーロ)、ブローチ(470ユーロ)、ネックレス(810ユーロ)。photos:Olivier Saillant

このは蝶のファンタジー。左から、ブレスレット(950ユーロ)、ティアラ(1395ユーロ)、リング(390ユーロ)。photos:Olivier Saillant

ジュエリーと同時に、インテリアピースも発表された。彼女は過去にヤドリギ、イチジク、ザクロの3つをテーマにした制作をゴッサンスとコラボレーションしているが、今回、そのうちのヤドリギのシリーズに直径1.6mの大きなペンダントライトが追加されたのだ。ヤドリギの束を家の柱に吊り下げる、といったイメージのデザインで、半透明の実はハンドカットのロック・クリスタルで再現され、枝の先に光の粒を輝かせる。明かりが灯ると、天井から吊るされた複数の枝が壁に美しいシルエットを描き出す。このペンダントライトの下のテーブルに展示された新作は、ザクロのように歪な丸型のボックス。ライオンが覆いかぶさるような器の蓋を開けると、中には小さなネズミが!

新作発表の会場に選ばれたのは、17区の「Féau Boiseries(フェオ・ボワズリィ)」だった。1875年からボワズリー(木工細工)の歴史とサヴォワールフェールを守り続け、室内建築家たちの頼もしい味方のアトリエだ。小さな扉の奥に広がるスペースに、フランスが誇る装飾芸術の名残が多数保存された驚きの場所である。アトリエなので一般公開されていないのが、残念だ。

左:鏡の中にも映り込んでいる、ヤドリギのペンダントライト。下の左右にはヤドリギの燭台が見られる。中:その一部。ロック・クリスタルが枝先にポエジーを添える。右:ヤドリギのミラーフレーム。photos:(左)Adrien Dirand、(中・右)Mariko Omura

左:ライオンが覆いかぶさるザクロ型のボックス。中:ネズミとライオンという珍しい組み合わせは、ジャン・ドゥ・ラ・フォンテーヌによる物語を思い出させる。右:ライオンはココ・シャネルに結びつく動物だ。photos:(左・右)Adrien Dirand

ゴッサンスがシャネルのメゾン・ダールのひとつであることは、いまさら語るまでもないだろう。クチュールジュエリーの製作で有名だが、ガブリエル・シャネルのアパルトマンのためにインテリアピースも手がけたメゾンである。創業者ロベール・ゴッサンスが手がけた麦の穂のテーブルや水晶球を抱えるライオン像などを彼女のアパルトマンの写真で見たことがあるのでは?ジュエリーのブティックとは別に2020年、ゴッサンスはカンボン通りに室内装飾専門のギャラリーをオープンし、ハルミとのコラボレーションアイテムもここで見つけられる。

Goossens Paris416 rue St.Honoré75008 Paris営)11:00〜19:00無休www.goossens-paris.comGalerie Goossens20, rue Cambon75001 Paris営)11:00〜19:00休)日

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